「文明の変わり目、裂け目を突く」

■私の主張

「文明の変わり目、裂け目を突く」  

高宗 昭敏
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 文明の変わり目、裂け目には、新旧の思想、価値観が衝突し、先の見えない混沌の中から、地球規模のスケールでの革命的な理論、技術の波があらわに台頭する。混沌の度合いが深まれば深まるほど、旧秩序や伝統の中からいさぎよくとび出す志とエネルギーのある人びとが社会の各分野に突出してくる。

 私にも小さな革命が起こった。資本主義とか社会主義とか、人間中心の「経済」観から、宇宙、地球、生命という視点から「経済」を根底から捉え直そうと想い立ち、1991年に『地球経済学』(自由社)を世に問うた。ところが世の同憂の士から呼びかけ相次ぎ、新たな「地球文明」革命への旅にたった。

 幾多の先達との出会いから始まったが、その中に比較惑星学の世界的パイオニアでノーベル賞候補といわれる松井孝典氏(東京大学大学院教授)がいる。以下、松井語録の引用である。

 「21世紀の未来は20世紀の延長では語れない。地球システムにおける人間圏の境界条件が20世紀と21世紀とで大きく異なっているからである。地球システムからの魚の影響は、すでに地球環境問題、資源、エネルギー問題などに顕在化した。われわれは地球システムと調和的な新しい地球文明のあり方を追求すべきだ」。

 まさか、あの人にこんな発言がとび出すのも文明の裂け目である。

 「エコロジーは、グローバルな新しい宗教となりつつある。日本はエコロジー先進国になることによって、この世界的な超宗教の聖地として世界に向かって規範を示すことが出来ると思う」。(外交評論家・加瀬英明氏)

 「規範」とは、既存の民族、宗教、イデオロギーを超えた地球社会の普遍的な思想である。

 現代文明がつくりだした負の遺産は、地球上の人間だけでなく、すべての生命をおびやかしている。否応なく現代文明の総決算が迫られている。これが地球環境問題の核心である。

 「人間の経済あっての地球環境問題から「地球環境問題あっての人間の経済」への命がけの発想の転換が不可避である。

 地球文明革命の戦略的なポイントは地球温暖化ストップ、エネルギー革命である。石炭、石油、原子力など有限の資源エネルギー依存社会から太陽光、太陽熱、風力、地熱、小水力、水素など再生可能エネルギー依存社会への大転換である。太陽光発電、風力発電、燃料電池、太陽電池が間もなく家庭、事業所、公共施設、自動車まで席巻することにならう。

 新しい文明社会の風景も一変する。

 新エネルギー(再生可能エネルギー)革命は、すでにIT,バイオ、ナノテクなどの次世代技術とが一体となって小資源、省資源、省エネ、環境共生型、小規模分散型の新産業(Fine,Micro,Soft)を目指しつつある。

 もっと大きな視野に立てば、中国も含むアジア、アフリカを新エネ、IT新文明の大実験地域戦略構想を日本が率先して提唱すべき時期、新旧文明の変わり目、裂け目の岐路に立っている。

                   (筆者は九州東海大学名誉教授)