【沖縄の地鳴り】

「辺野古新基地」問う選挙、再び

平良 知二


 衆院選が公示され、22日には結果が出る。
 「大義なき解散」が震源となり、希望の党の結成、民進党が分裂という大揺れ・混乱の中で、自公 vs 希望、維新 vs 立憲民主党、共産、社民という構図となり、三すくみの戦いになってきた。自民党が何議席減らすのか(「安倍1強」が続くか)、希望や立憲が手ごたえのある数を確保できるか、政権運営のあり方、消費増税、北朝鮮危機、憲法改正の是非などの論争を通じ、緊迫した選挙戦だ。

 沖縄にとっては、「政権選択」「安倍1強」の行方への関心とともに、今回もまた前回同様、「辺野古新基地」を問う選挙となる。沖縄の4選挙区とも有力候補者は前回と全く同じ顔ぶれで、自民と維新の5氏は各選挙区で落選、比例で復活当選した前職である。今回は雪辱戦となり、選挙区での当選を期す。候補者によって温度差はあるものの、「辺野古」問題については前面に据えていない。

 一方の、対する4氏は「辺野古新基地」に反対の「オール沖縄会議」が推す前職で、「辺野古に基地は造らせない」とする翁長雄志県知事とともに運動の先頭に立っている。2014年11月の県知事選に続く前回衆院選(同年12月)で4氏が勝ったことで、「辺野古新基地」に対する沖縄の民意ははっきりした、と評価された。2区で得票率62%余、3区60%弱の圧勝であった。1区は自民、維新を共産が破った。共産の得票率40%は3人の争いとしては低くはない。

 先日(10月7日)、キャンプ・シュワブ基地(名護市辺野古)のゲート前で「辺野古新基地」反対の県民決起集会が開かれ、1,000人の参加者が選挙への決意を新たにしていた。この集会は、やや停滞気味の「辺野古新基地ノー」の闘いにカツを入れようと、オール沖縄会議が「土曜日県民大行動」として設定したもので、その1回目であった。これから毎月第1土曜日を行動日、と決定している。今回は解散・総選挙と重なり、選挙に向けた決起集会ともなったのだった。

 「辺野古ノー」の前職4氏のうち3人が演壇に立ち、「大義なき解散」を批判しつつ、この選挙をチャンスととらえ、改めて「辺野古新基地ノー」の民意を突きつけようと全員当選を訴えた。

 有識者や県民の間でも、今回の選挙を「辺野古新基地」に対する民意を問う絶好の機会だとする考えが強い。新基地建設の埋め立て工事が進む中、翁長知事は何よりも「埋め立て承認の撤回」を急ぐべきだとする声は以前からあり、一方で「撤回」前に県民投票を実施して直接民意を明確に示すべきだ、とする声も少なくない。方法論をめぐってやや膠着気味であった中での今回の選挙である。全国の動向とはまた違って「基地沖縄」を改めて問いただす色合いが濃い。

 「辺野古新基地」問題では、埋め立て予定の海にある岩礁の破砕をめぐって新たな裁判が始まっている。沖縄県は「国が無許可で岩礁を破砕するのは違反。知事の許可を求めるべきだ」として、工事を差し止めるよう訴えている。10月10日の第1回口頭弁論で翁長知事が意見陳述した。国は、県の訴えは「裁判所の審判の対象外である」として却下を主張している。この訴訟が辺野古関係の5件目である。

 「ノーを突きつける選挙」とはいえ、オール沖縄会議の4氏は厳しい戦いになると予想されている。裁判の行方とともに、選挙戦からも目が離せない。

 (元沖縄タイムス編集局長)

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