『子犬が来たー!』

深センから 

『子犬が来たー!』        佐藤美和子

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 8月の44号でお話した、『中国人、犬を飼う』の続き?をご報告します。
  結果的に、子犬を貰ってしまいました!でも私が思っていた展開とは、全然違うんです・・・・・。

 私たちと同じマンションの住人のところに子犬が産まれるとのことで、産まれたら見せてもらう約束は以前からしてありました。ところが我々が夫婦だと思っていた飼い主の男女2人、実はまだカップルで、しかも最近ケンカ別れしたらしく、なーんと香港人の彼女はさっさと香港へ帰ってしまっていました。彼の方も追い出されちゃったのか?いつの間にやら、遠くのマンションへ引っ越していると言うのですよ~。子犬見学の日は彼らと一緒に飲茶(ヤムチャ)屋さんで夕食をとって、そのあと彼らの家へ子犬を見せてもらいに行く約束だったのに・・・・・なんだか彼と連絡を取るたびに、そんな真実が、小出しするように次々と判明してくるのです。

 数回目に連絡を取ったときには彼、我々に子犬を見せたあとはその足で別れた彼女と話し合うために香港へ行くつもりだ、ついては残っている3匹全部まとめてあなたたちが引き取ってくれ、だなんて言い出したのですよ~。こちらとしては、犬を飼う決心すらまだ付いていなくて、取りあえず子犬を見せてもらうってだけの話だったはずなのに、イキナリ子犬3匹って、えええーっ?!

 いや、飼うにしてもせいぜい1匹だよ、3匹は絶対無理!と言うと、じゃあ僕が香港に行っている間だけでいいから、残りの2匹も預かってくれないか?ですって。それってあなたが本当に引き取りに来る保障はあるわけ?同じマンションに住んでいるわけでもないのに、あなたが逃げちゃったらその子犬、どうするのよ~?!ですよね。彼に限らず中国ではよくあることなのですが、本当に安易に、赤の他人に頼みごとをしちゃうんですよねぇ。

  結局、もうすぐそちらに着くから!と半ば強引にやってこられ、結局1匹だけは押し切られるように引き受けてしまいました。しかも更に!今から別れた彼女に会いに香港へ行くのだけど、彼女とよりを戻すためには是非とも香港で就職しなければならない、ついてはあなた(ウチの相方)の会社は日系企業だと言っていたが、何とかあなたの力で自分をおたくの香港営業所に入社させてほしい、とまで言い出す始末。えっと、私達って確か子犬の話しをしていたはずですよねぇ???

 その彼、見た目は優男風のそこそこイケ面にーちゃんですが、香港で就職すれば労働ビザが手に入り、香港に住む事ができる、そうなれば彼女がよりを戻してくれる!と、何を根拠にか信じ込んでいるようで、どうやらオツムはちょっと弱そうです(あら失礼)。

 最近、中国人男性と結婚する香港人女性が増えています。これまで香港では、ホワイトカラーより収入が低めのブルーカラー男性が40代になっても結婚相手がみつからず、仕方なく中国に来て貧しい内陸出身の若い中国女性と結婚する、というのがこれまでのパターンでした(実際ウチのマンションにも、そういう年の差20以上?みたいな夫婦がたーくさん住んで居ます)。ところが近頃では、逆の現象が起こっているのだそうです。というのも、香港人女性の中でも高学歴のホワイトカラーは、配偶者にもそれなりの社会的地位を望みます。ところが気が強くてプライドも高めな香港人女性、選り好みしすぎて婚期を逃してしまい、結局は結婚相談所で紹介された、若くて見目の良い?中国人男性との結婚を選ぶケースが増えてきているのだそうです。

 彼らカップルも途中までは、その典型的なパターンだったのでしょう。でも、英語も日本語もできず、これといった技能も持っていないのにコネで就職しようとか、一度会っただけの人にビザだのなんだのとややこしい香港での就職を世話してもらえるとか、とにかく香港で働けば彼女とも上手くいくとか、ビックリするほど安易な考え方をする若者で、なんだかややこしい人と知り合いになっちゃった気がします・・・・・。実際、給料ナシでもいいから香港で就職したい、などと毎日のようにウチの相方に電話してきて泣きついているそうなのですよ。彼に教えたのが私の携帯番号ではなくて、よかったわ~(笑)。

 子犬を貰い受けたその日の晩、彼は本当に観光ビザで香港の彼女の元に行ったらしいのですが、結局彼女には門前払いを食らい、会っても貰えなかったそうです。かといって彼女に会うことしか考えていなかった彼には香港で泊まるアテもなく、一晩中香港をほっつき歩き、朝になるのを待って深センに戻ってきたとか。でも、我々のマンション目の前の税関、24時間オープンなのですよ。香港で泊まるところがなければ、深夜早朝を問わずいつだって深センに戻ってこれるのに、何のために朝まで時間を潰す必要があったのか・・・・・彼の思考回路、私にゃぁサッパリ分かりません。

 ウチの相方は、他人に頼る事しか考えない彼に紹介できる会社なんてないし、例え紹介しても能力のない労働者には、香港労働ビザは下りないからまず無理だ、放って置くしかないと言います。でも、彼には私が日本人である事も、時々日本へ帰っている事も知られてしまっているんですよねぇ。私の想像を超える言動をやらかしてくれる彼、次はどんな事を言い出すんだろう?という好奇心がないではないのですが・・・・・よくあるパターンで、日本で働きたいから保証人になってくれだのナンだのと、そのうち私にも頼みごとをしてこられたら、ちょっとイヤかも。なるべく、彼らとのご縁はこれまでになればいいのですが、さーてどうなることやら。

               (筆者は在中国深セン・日本語教師)

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