■【オルタのこだま】

『小島の春』                      今井 正敏

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  「オルタ」55号の「編集後記」に小川正子の『小島の春』のことが書かれて
いましたが私も少年時代にこれを読んで大変感動した記憶がありましたので書架
を探したら『小島の春』の現物がありました。奥付は「昭和14年3月10日発
行第6刷となっていたので昭和14・15年頃買って読んだのだと思います。私
の年齢では14・15歳で中学2年生位だったと思います。私事ですが私の生ま
れ育ったのは町の書店に行くのに6キロほどの距離がある農村で、こういう片田
舎の少年にまでこの『小島の春』が読まれていたということに私なりにビックリ
しています。
  「編集後記」にも「少年の私も・・・」と書かれ「戦火を越えて大切に保存さ
れてきたものだ。本も貴重だがハンセン病問題にともに涙していたことに驚きと
嬉しさがあった。 ・・夫婦でともに喜びを分かちたいが妻はすでに重度認知
症でそれができない」と書かれていましたが、このくだりを読んで思わず私の
目頭が熱くなりました。

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