【編集事務局便り】180

師走に入ったとたん真夏のような暑さになったと思えば真冬のような寒さになったりと、毎日の気候の変化に身体も驚くばかりです。今年も一年日本列島は豪雨や地震など多くの災害に見舞われることも多い一方、出入国管理法改正案や、防衛費予算の拡大など未来の日本に大きな影響をあたえるようなことが、ビジョンなく論議少なくきまっているようで不安を感じます。

今月号は、本年年初から新しい展開をみせた北朝鮮について、若手の朝鮮半島問題研究者の向坂氏にご寄稿いただきました。また、初岡氏からは、「韓国に対する最近の日本政府とメディアのバッシングは異常--私的な交流経験の回顧から見た日韓関係」のご投稿をいただきました。栗原氏から「神社の源流を訪ねて」を連載でお書きいただけることになりました。東日本大震災後、女性たちのニット制作でその自立を支えたHEART KNIT プロジェクトについて、中心的に活動された松ノ木さんからその経緯についてご寄稿いただきました。技術者の視点から、毎回30回にわたり連載いただいた荒川さまのエッセイ「技術者の視点~エンジニーア・エッセイ・シリーズ」は今回が最終回となりました。長い間ありがとうございます。

今までは、オルタの記事も、PCの前に座るか、印刷して読もうとしていましたが、今回は、タブレット(iPad)を利用してみました。活字も好みで大きくすることもできるため読みやすく、多彩な執筆陣の内容が大変興味深く読むことができます。特に、画面右わきの検索窓は重宝です。例えば初岡氏の原稿に出てきた「安東」といれて検索すると「安東」(「自由大学」)へ参加してご寄稿された方の記事も含め、過去の記事が40余りも抽出され、それぞれのオリジナル記事を読むことができます。又、メニューから、「執筆者一覧」をご覧いただくと、今までご寄稿いただいた方のお名前が掲載され、それをクリックすると執筆いただいた記事タイトルが抽出され、オリジナルの原稿をたどることができます。オルタの歴史のみならず、この15年余りの世の中の情勢も読み深めることができます。

この場に、皆さまと故加藤宣幸が一緒に過ごした時が積み重ねられていると感じました。また、皆様がおひとり一人とのつながりや、近隣諸国の方々とのつながりを大事にしてきたことを感じます。そして今もこの場を、皆様が繋げてくださることをあらためて大変ありがたく感じております。来年も引き続きご支援くださいますようお願いいたします。
寒さ厳しくなりますが、どうぞお体をお大事に、よい新年をお迎えくださいませ。(MK)

2018年が過ぎようとしている。安倍首相が平昌冬季オリンピックのための訪韓から始まり、7年ぶりの訪中、プーチンとの面談、トランプの顔色伺いと、自信の無さを剥き出しにしての”首脳”会談は、いずれも見ていて痛々しさすら感じる。一方、安倍政権肝いりのトルコ・英国での原発輸出案件が頓挫した事には安堵した。破綻が明白である技術に、どんなにお金(ファイナンス)を付けると約束しても、それが決定要因に成らなかったわけだ。原子力利用を含む技術と社会について教えてくれた荒川文生さんのエンジニア・エッセイの連載が終わってしまったのが残念である。一休みして、いつかまた教えて頂きたい。

 昨日は、イーロン・マスク氏のボーリング・カンパニー Boering Company の1.14マイルのトンネル開通式の実況中継を見た。技術の発展は、社会的ニーズを突き詰めるところから始まると言われたが、マスクは、今年はファルコン9ロケットの第一ブースターを回収して三回も再利用し、打ち上げコストを10分の1程度まで圧縮している。ロケットはZOZOの前澤友作氏を月一周に送るのが目的でなく、火星に「人類の生存」のための基地をつくるのが目的であるらしい。
 マスク氏が、宇宙から一転してトンネルに注目したのは、ロスでの渋滞がひどく、人生の貴重な時間を無駄にしたくないと言う痛切な実感から解決策を考え、交通網の3D化を図り、何層でも掘削可能な地中にトンネルを掘ることにした、という。情熱と強い意志があり、技術を極めれば、物事は実現可能であるらしい。
次の世代の技術発展、そしてそれに伴う社会の変化は、スピードも速く、とんでもないことが起こりそうな気もするが、凡人には想像もつかない。

 向坂氏の朝鮮問題での『大きな絵」をとの呼びかけと、初岡氏の1965年からの権重東氏との50年以上もの「私的交流経験の回顧からの日韓関係」は、対をなす形で理解も深まった。善意の人びとの友情や交流で育んだ歴史がすべての基礎になる。仲井さんの加瀬勉との交流は1955年から続いている。羽原さんの戦争を見る目も、人への優しさで溢れている。

沢山の良い方々に恵まれたオルタ広場です、技術がいかに発展しようとも、来年も、一人ひとりの生きる視点を忘れずに続けていきますのでご協力を切にお願いいたします。(HK)

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