お金の話し

【北から南から】■深センから  

お金の話し             佐藤美和子

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 この数年来ジリジリと追い上げつつあった中国人民元が、とうとうこの12月、
香港ドルとのレートを逆転したところが出てきました。ここ華南地方では、給与
の全額もしくは一部を香港ドルで受け取っている日本人が多いので、我々、外国
人@華南地方にとっては一大事!なニュースです。
 12月15日に香港へ行って確認してきたところ、香港では100人民元=99香
港ドルと、かろうじて等価を免れておりました。でも私が時々利用する、深セン
の両替のおじさん(雑貨屋さんが、裏商売で両替もやっているのです)のところ
では2週間前からすでに、99人民元=100香港ドルと逆転していました。あーあ、
手持ちの香港ドル、もっと早くに人民元に変えておくんだった・・・。

 ここ深センやお隣・東莞市では、以前から香港ドルも普通に通用しています。
香港ドルが強かった数年前までは、その辺のローカルスーパーであっても、100
人民元の買い物に100香港ドルを出すと喜んで受け取ってくれるばかりか、ちゃ
んとレート計算して数元のおつりをくれていたものです。私なんて、お客が出し
た香港ドルをレジに入れず、自分のお財布の人民元とこっそり入れ替えている、
ちゃっかりしたレジ店員さんを何度も目撃!してますもんね~。

 それがここ数年はまったく等価扱いとなり、なんと先日、深センで買い物した
ときに香港ドルを出すと、とうとう香港ドルの受け取りを拒否されてしまいまし
た。さらに今までも深センで買い物すると、ちょくちょく1~2香港ドルの小額
コインをおつりに混ぜて出されていたのですが、ここ最近は20~50香港ドル紙
幣の大きめな額を立て続けに出されてびっくり!

 レートが逆転した途端、わずかでも価値の低い方は受け取りを拒否するくせに、
手持ち分はおつりとして吐き出してやろうだなんて、まったく油断もスキもあっ
たもんじゃありません。香港ドルのおつりはヤだ!と文句言うと、素直に人民元
に交換してくれるものの、これからはおつりを受け取るたびに、(1)金額があって
いるか、(2)偽札が混じってないか、かてて加えて(3)香港ドルが混じってないか、
まで厳重チェックしなければならないとは・・・やーん、面倒!

そういえばここ数年で、香港のデパートや商店で『人民元でのお支払い大歓迎!
当店は等価レートでお買い物頂けます!』という看板がずいぶんよく目に付くよ
うになりました。深センでは香港ドルを拒否されるようになったというのに、逆
に香港で人民元がどんどん流通するようになっているんですから、本当に時代の
変化に驚きです。

 ということで、今日はいくつかお金にまつわる小話?をば。

 ちょっとお金を下ろそうと、東莞市でとある銀行に入ったときのこと。
「今日はもう営業終了!ほら、出て出て!」
 えっ、まだお昼前なのに、なんで?!―――――なぜだかその日はもう銀行に
お金が無くなっちゃったため、もう店じまいするとのこと。うーん、確かに商売
道具がなくっちゃどうしようもありませんが、銀行がそんなお気楽商売で、いい
の?

 また別の日の真昼間、やはり東莞でATMに並んでいたところ、前に並んでい
る人たちが騒ぎ始めました。ねぇねぇ、どうしたの?えぇっ、このエリア一体が
停電しちゃって、ATMも途中で動かなくなっちゃったですって?あ、ホントだ、
信号機もみんな止まっちゃってる・・・あらら、今ATM使用中だった人はカードが
機械の中だから、通電するまで出てこない?・・・そりゃまたお気の毒さまなこっ
て・・・。

 ご存知のように、中国では偽札・偽コインが氾濫しています。一番大きな100
元札(=1505.57円/12月15日現在)は勿論、流通数が比較的少ない50元も危
険なので、なるべくおつりに50元札を受け取らずに済むよう、創意工夫?しな
ければなりません。紙幣だけでなく、1元コインのニセモノも異常に多いです。
ある数年間に発行されたコイン以外は、周囲に「RMB(人民元の略)」と刻印が
あるはずなのですが、コインを受け取るたびに刻印の有無と発行年のチェックな
んて、やってられません。よって、刻印ナシはニセモノの可能性が高いとされて
いるため、よく受け取りを拒否されます。いま私のお財布を確認してみたところ、
5枚の1元コインのうち2枚が刻印ナシでした。ううむ、40%の確率かぁ・・・。
しかし不思議なのは、せっかく偽コインを作っても額面1元ぽっち。これって儲
かるんでしょうか?材料費だけで1元かかっちゃいそうな気がするんですが・・・。

 では運悪く、偽札や偽コインをつかまされたら、どうすればよいでしょう?お
人よしの日本人なら警察に持っていくでしょうが、中国でそんなことをしたら、
没収されてハイおしまい!銀行脇のATMで下ろした中に偽札らしきものが混じ
っていたため、窓口に持っていって苦情を言うと、それがうちのATMから出て
きたと言う証拠はない、でもとりあえずそれは偽札なので、没収します!いう目
にあった邦人もいるそうです。踏んだり蹴ったりとはこのことですね~。

 正直者が馬鹿をみるこちらでは、庶民は偽札を引いてしまったら、夜暗くなっ
てからとか、金銭の授受が慌しいタクシーでさっさと使ってしまいます。いうな
れば、中国13億人を相手にした、壮大なエンドレスばば抜きみたいなもんです
ね(笑)。ここだけの話、実はワタクシもプレーヤーの一人。たぶん2枚の1元
コイン、そのうちどっかで使っちゃうことでしょう。貧乏が悪いのです、貧乏が・・
・。
       (筆者は在中国・深セン・日本語教師)
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