アメリカにおけるBSE発生と日米政府の対応(要旨)

■運動資料:   

◇ アメリカにおけるBSE発生と日米政府の対応(要旨)     (農林中金総合研究所  大江徹男「農林金融 2004.11」)    ◇ アメリカのBSE    資料提供  野村かつ子;

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◇アメリカにおけるBSE発生と日米政府の対応 〔要   旨〕
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」1 アメリカの農務省(USDA)長官が2003年12月23日に行った牛海綿状脳症(BSE) 発生に関する記者会見は,世界,特にアメリカ産牛肉に依存するわが国に大き な衝撃を与えた。長官は,12月9日にBSE感染が疑われた牛から採取されたサン プルがBSE陽性反応を示し,12月25日にはBSE検査結果が最終的に確定した。

2 日本にとってアメリカはオーストラリアと並ぶ牛肉供給国であり,今回のBSE 発生によってとりわけ外食産業が大きな影響を受けることになった。その後, 日米両国で輸入再開に向けた交渉が行われ,日本政府は今年の9月に入って全 頭検査を廃止して部分検査に移行することで輸入再開のための条件を緩和する という方向性を打ち出した。

3 方向転換の根拠となる食品安全委員会の「中間とりまとめ」には幾つかの疑 問点がある。  BSE感染牛に関して,潜伏期間のどの時期(月齢)から発見できるのかという 点については断片的な事実しか得られていないなかで,20か月以下を検査対象 としないという決定はやや説得力を欠く。あくまでも現在の検査方法を使って ,全頭検査において約350万頭を検査した結果,最も若い感染牛が21か月で あったという事実のみに依拠しているだけで,科学的にBSEの発症メカニズム を解明した結果ではない。

4 また,アメリカのBSE検査に関しても問題点が指摘されている。ひとつは, 最初にBSE感染が確認された牛についてである。当初,USDAは,BSE感染牛はダ ウナー(歩行困難なへたり牛)と発表したが,その後USDAの主張とは異なる証 言が出てきた。また,BSEの擬似感染牛を検査をしないで処分したことも明る みになった。USDAの管理体制に問題があると指摘されている。

5 以上のような問題点があるにもかかわらず.日本政府は全頭検査を廃止して, アメリカからの輸入を再開しようとしているが,その場合でも問題がある。ア メリカには日本のような個体識別制度がないため,牛の月齢の確認と特定危険 部位の除去をどのように確実に実行するのかという問題が残されている。これ に対して,USDAの既存のプログラムで証明できると説明しているが,細部につ いては今後の交渉次第である。  

 (農林中金総合研究所  大江徹男「農林金融 2004.11」)

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