オルタを読んで 中国・吉林省から

【オルタのこだま】

オルタを読んで  中国吉林省から                         

町田 隆二


 昨日は片道3時間バスに揺られ吉林の北西に位置する舒兰の山に登り、今日は久しぶりに日曜日家にいてのんびりしようと思っていましたが、オルタ131号と2012年のバックナンバーを読みました。元朝日新聞羽原さんの解散総選挙批判は全く同感、土井たか子さん追悼とヘイトスピーチ特集は読み応えがありました。色平先生のマタハラ問題は医師ならではの内容で、オルタに掲載されたので知ることができた内容でした。

 陳燕さんの「甘い皮の肉まん」は自分が吉林にいて知った味覚の違いとてもよく理解できます。凌星光先生の論説はなるほどと、唸ってしまいました。
以下は私の近況報告です。

 吉林市が中国唯一省名を冠した市ということから、古くからの歴史があるのだろう、位の感じで、日本軍侵略の旧満州時代、ここでは何があったんだろう?と頭をよぎったことはあるが、自分は歴史研究者でもない、偶々漢語学習のため吉林市の大学に通い始めた。
 吉林にある万人坑(豊満ダム建設時、事故や病気で亡くなった犠牲者の記念館)や満鉄時代の鉄道関連施設は見に行ったことがあったが、吉林の歴史を詳しくは知りません。

 しかしこの冬を超えると吉林在住7年になります。
 カタコトの漢語を使う自分に現地の人は、「ニィ、ナーリレン?(あんたどこの人)」と問う。
 「サイサイ、カン(当てて見て)」と答える自分が不遜だなぁ、と最近感じるようになっています。
 と言うのは、直ぐに土地の者でないな、と見抜かれているからそう聞かれるのであって、もっとましな対応をしたいのだが今もってそれができない。

 その理由は、自分がマイノリティだという意識が強い上に、過去にこの周辺、旧満州へ嘘と欺瞞満載の侵略で、この地の人々のみならず、開拓団の名で送り込まれた人々、敗戦直後に彼らを置き去りにした関東軍と偽満州政府は日本国の傀儡だったことから、日本人であることに「やましさ」が拭えきれないからでしょう。
 日本人と聞けば憎悪を募らせる人は、決して多くは無いが必ずいるから日本人であることを積極的に表明することはトラブル回避上しないほうが良いと思っています。
 しかし一般の人の多くは予想以上に日本と日本人びいきは多い。
 毎週のように参加している流行りの戸外活動(登山クラブが吉林には現在100以上ある言われていて、リーダーと共に貸切バスで登山口まで行き、下山後バスで吉林に戻ります)で一緒になる人から、不快な思いを受けたことは一度もありません。

 また大学では韓国、ロシヤ、モンゴル、ウズベキスタン、ベトナム、インド、パキスタン、ソマリアなどからの留学生にいつも囲まれていて、ヘイトスピーチが流行った日本の偏狭者の存在は奇妙でしかありません。

 現在流行っている Web サイト微博で11月10日に亡くなった俳優高倉健の報を目にしたのは19日、彼が『君よ、憤怒の河をわたれ;中国題名「追捕」』を契機に多くの中国人に知られ、慕われていたのは知っていたが、日本人のニュースが少ないここ6年で、最も多くの文字で記事になった日本人と言えるでしょう。おかげで妻だった江利チエミが二度の流産を経て、その後二人の関係が冷えたのだと知りました。

 吉林に来る前、彼の出演映画は『幸福の黄色いハンカチ』、『野性の証明』、『八甲田山』は見てたが、上述の「追捕」や『遙かなる山の呼び声』、『居酒屋兆治』、網走番外地と日本侠客伝シリーズや遺作となった『あなたへ』そして中国人映画監督張芸謀作品『単騎、千里を走る』などは全て吉林で購入したDVD盤で見たものです。このように短い日本帰国時期以外、日本映画も最近は吉林で購入して見ています。DVDは1枚が以前5元だったのが現在9元(日本円で約170円)になっています。全て盗版(海賊版)だと言われていますが、正規のものを売っているところを知りません。正規のものは税金が付され販売価格が上がるので技術的に劣悪品が多く、盗版の方が画面が良いと言われています。DVDや音楽CDの価格について、日本は高すぎると感じますが、著作権などが無視されているのでしょう、中国の現状の方が異常なのでしょう。映画館はありますが若い人などはあまり行かない、封切り過ぎると遠くない内にインターネットで無料で見れるのですから。中国では知的財産権の侵害を取り締まる余裕がないのか、取り締まるほうがマイナスの事態が発生するのか、其の辺のことがよくわかりません。

 PM2.5いわゆる大気汚染は悲しいことに昨年冬から吉林に及び、今年はより空気汚染が進んでいると実感しています。雾霾(ウーマイ;汚染された霧状の空気で視界が悪くなり、煙い匂がします)は今年は家の中にいてさえ感じることがありますので、北京や天津、上海などの大都会、吉林省府のある長春などとても行く気になりません。それよりそこに住む子供達への影響が心配されます。
 日本の政官学、企業も大気と水質汚染対策に向けて真剣に共同対応の道を探るべきです。
 しかし、福島沿岸での海水汚染、福島復興支援策の不作為、原子力発電再稼働と輸出促進に向かおうとするのはお金のためなのでしょう。
 戦争もお金儲けと人減らしのために始めているとしか見えません。
 集団的自衛権容認閣議決定も特定秘密保護法も嘘とデタラメが極まっています。
 そんな自民党安倍政権のでたらめさをいくら低投票率といっても勝たせてしまう選挙制度のからくり。
 北東アジア圏の隣国を毛嫌いし、戦争への道をまっしぐらに進める首相はどうみても異常です。


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