一人の「ラルフネーダー」出でよ

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□一人の『ラルフ・ネーダー』出でよ!

     野村かつ子
     (消費者運動家・海外市民活動情報センター代表・94歳)
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 私はあいつぐ三菱自動車の欠陥車報道を読むにつけ、いまこそ、日本の「大 企業」の無責任さ・厚かましさが国民の前に暴露されたという怒りとともに、 一抹の淋しさを感じている。それは、これだけの事実が「日本の消費者運動」 の手によって告発された結果でないことにある。 アメリカの消費者運動をリードするラルフ・ネーダーはかってプリンストン 大学とハーバート大学で学んだとき、自動車事故で死傷する友人が多かった。 彼はGMの新車「コルベア」がよく横転事故を起こすことに疑問を抱き、たっ た一人で近くのマサチューセッツ工科大学に通い詰め、世界に君臨する自動車 メーカーを追及し、その責任を認めさせ、遂に1969年には「コルベア」の生産 を中止させた。これが彼の消費者運動の原点になったことは良く知られてい る。 私は敗訴した巨大企業GMのローチエ社長がTVの前で名もない青年に深々 と頭を下げて謝罪し、1億5千万円の損害賠償金を払った劇的なドラマにも感動 したが、同時に、このドラマがもたらしたもっとも重要なポイントは『全米道 路交通自動車安全法』が1966年9月に制定され、自動車業界のわがままな特権 が法的に中止されたことにあると考える。

 今回の「三菱自動車事件」を風化させないためにも関連法規の整備は必要な いのか。消費者団体・政党(特に自動車労連代表を抱える野党の民主党)の動 きに注目したい。長い間、自分自身も日本の消費者運動に身を置き、晩年は海 外の市民運動・消費者運動の情報を国内に伝えるのを天職と心得、ひたすら戦 ってきた私には「三菱自動車事件」で、なぜ日本に「一人のネーダー」が出な かったのかを深く考えさせ、一抹の淋しさを感じさせる。21世紀の消費者運動 を担う日本の若者よ出でよ。

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