不機嫌な太陽と揺らぐ温暖化人為説

不機嫌な太陽と揺らぐ温暖化人為説

                      濱田 幸生


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■太陽活動が弱まっている
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 太陽が実は不機嫌に冷め始めているのではないか? そのような衝撃が世界に走っています。
 皮肉にもまるで地球温暖化対策に関する国際会議COP19に合わせたように、太陽の活動が弱まっていることが観測されました。

 なぜなら、最近の太陽表面は、驚くほど「穏やかな状態」が続いており、黒点の数が20世紀のどの時期よりも少なくなっているからです。
 2008年から始まった観測単位であるサイクル24(第24太陽活動周期)は、過去250年間で観測された最弱なものだからです。 http://www.nict.go.jp/glossary/4otfsk000000k85f.html

 太陽活動はほぼ11年の周期で変動していて、1755年から数えて24番目のサイクル(周期)だとされています。この周期は2008年1月から開始したと考えられています。
 サイクル24の活動は、世界の温暖化対策を嘲笑うかのように長期に渡って黒点が観測できない状況が続いていました。

 NOAA(米国海洋気象庁)の観測データでも、11年から再度活発化トレンドに向かうかと思われた黒点数が、また13年を境にして下降に戻ったことが分かります。
 この長い黒点数がない時代は、1645年から1715年の異常に黒点がないマウンダー極小期の再来すら予感させるものでした。
 この時期はたまに小さな黒点が現れてもすぐに消滅してしまい、フレア(太陽面で発生する爆発)の現象も微弱でした。
 そう、太陽は不機嫌に冷めていたのです。

 グラフを見ると2002年から低下の一途をたどり、09年には最低の時期を迎えているのが分かります。むしろ、11年以降緩やかに回復基調ですらあります。
 しかし、やっと回復しているのかという微弱な動きが太陽表面で見られています。

 宇宙天気情報センターによると、最新の12月5日の観測ではこのような動きが見られています。
・太陽面でCクラスフレアが数回発生し、太陽活動はやや活発
・引き続き今後1日間、太陽活動はやや活発な状態が予想 http://swc.nict.go.jp/datacenter/daily_latestnews.php

 さて、今後このサイクル24がどのような動きを見せるのかは、今後数年の観測によらねばなりません。
 回復が弱く、そのまま09年より落ち込むことがあるなら、スベンスマルクの予測が正しいということになります。

 彼の「予言」は、いまや世界の定理となってしまった観のある地球温暖化を真っ正面から否定する内容でした。
 地球温暖化の本は掃いて捨てるほどありながら、科学界では高名なヘンリク・スベンスマルクの邦訳は、「不機嫌な太陽」(H・スベンスマルク/N・コールダー・恒星社厚生閣)のみです。
 彼は実に慎重な、そしてフィル・ジョーンズなどとは違って、非政治的な科学者らしい科学者なのです。
 それは地球温暖化説を唱えるマイケル・マンやフィリップ・ジョーンズとその亜流が、早々と政治的権力と癒着することで自説を万人をして疑うことを許さない「真理」にまで高め上げた態度と対局をなすものです。
 これらの野心満々の政治家的気候学者たちは、スベンスマルクの学説が彼らの説を否定しかねない異物として、「あたかも進入してきた虫けらのように踏みつぶした」のです。

 この本の初版が出た同じ2007年に、IPCCは「気候変動の政策立案者用最新概要」を発行します。
 これが、今や疑うことを許さない「真理」として世界を覆い尽くしている、本世紀中に気温が数度上昇し、地球規模のカタストロフが起きるというローランド・エメリッヒが好きそうな大予言でした。

 フィル・ジョーンズ率いるIPCCは、二酸化炭素のみの影響を過大に評価するために意図的に太陽活動の及ぼす影響は炭酸ガスのわずか7%にすぎないとして切り捨てました。科学の名を借りた暗黒裁判と言ってよいでしょう。
 この報告書作成には、スベスマルクの研究にいままで協力した科学者も多く含まれており、したがって彼の説を熟知する立場にあったにかかわらず、スベンスマルク説が「政治的に適切でない」ことに怯えて、次第に彼と距離を置くようになっていきました。

 そしてスベンスマルクの隣国ノルウェー議会は、彼ら野心的科学者たちにノーベル平和賞を授与しました。
 自らの学説が、全世界を動かすという科学者の見果てぬ夢の甘露をぞんぶんに味わったことでしょう。
 スベンスマルクはどのような気持ちで彼等の笑みこぼれる様を眺めていたことでしょうか。
 いや、あんがい平静だったのかもしれません。ヘンリク・スベンスマルクとナイジェル・コールダーは、地球温暖化が過度に政治的なテーマとなってしまったために、これに介入することをあえて慎重に避けていきました。
 しかし、彼らの説が討論されることに対して直接の妨害を受けた場合は別だったといいます。

 彼らは、寒冷化することによって特に発展途上国の農業生産において致命的なダメージを与えることを懸念していました。
 そして理由のいかんを問わす 現在なされている温暖化阻止の大号令の下に行われている低炭素化社会実現への努力が、寒冷化に対しても有効であると考えていたからです。
 世界は「間違った理由の下で正しい行為をすることをしていたのかもしれません。

 彼の説によれば、今後地球は太陽活動の低下傾向が観測されているため、マウンダー極小期のような寒冷期が到来する可能性があると思われます。
 仮に寒冷化となった場合でも、現在進められている低炭素化社会化、つまり化石燃料の節約、資源の有効活用と循環再利用システムの社会的実現は、そのまま有効な処方箋となりえます。
 つまり皮肉なことには、誤った原因説であったが、その社会的対策としては誤りではなかったということになります。

 しかし、寒冷化のほうが温暖化よりはるかに恐ろしいのです。
 日本に限って言っても、歴史的な大飢饉は必ず寒冷化によってもたらされています。農業技術が進んだ今でも、寒冷化によって茨城以北の米作は壊滅的な打撃を受けることでしょう。

 食物の端をかじっただけで捨てている飽食の時代は終わり、もうひとつの別な時代が始まろうとしているように私には思えてなりません。
 ですから私たちが今後なすべきは、炭酸ガスさえ削減できればいいというようなワンイッシュの方向ではなく、寒冷期の農業生産の縮小、生物資源の激変に耐える準備が必要なのです。

 エネルギー源、生物資源、農業資源、人的資源まで含むトータルな地球資源の確保と保全、再利用化が、人類という種が生き延びるためにリアルに必要な時代が来るかもしれません。
 そのとき、「国産農産物は高いから輸入品を買う」、「日本農業は盲腸」などと言ってきたツケを日本人はしっかりと払わされるでしょう。
 長い時間をかけて有機農業が蓄積してきた循環型資源利用の知恵と、最新の科学技術の融合がこれほど必要な時代は、今をおいてないはずです。

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■地球温暖化説の怪しい出生
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 地球はほんとうに温暖化しているのか? それとも正反対に寒冷化に向っているのか?
 実はこのことに対して、科学界はふたつに分かれているといったほうか公平でしょう。
 主流はいうまでもなくIPCC(気候変動に関する政府間パネル)を中心とする温暖化派で、それに反対する人たちは懐疑派と呼ばれています。

 簡単に温暖化説を誕生のいきさつをおさらいすると、1970年代後半からそれまでの寒冷化説に代わって人為的CO2の増加が温暖化の原因だとする学説が生まれました。
 88年には、NASA・ゴダード宇宙研究所のハンセン前所長の炭酸ガスの増加が地球温暖化を引き起こしているという爆弾証言があり、一挙に世界中で話題となりました。
 これは金星がぶ厚いガスに覆われていて、その雲の下は温室効果で焦熱地獄に違いないという考え方から来ています。

 それに歩調を合わせるように、9年後に有名なマイクル・マンのホッケースティック曲線が世に出て、米国政府まで動かすようになります。(当該グラフは Wikipedia をごらんください)
 これがホッケースティク曲線と呼ばれるのは、20世紀に入るやいなや炭酸ガスと気温が45度でドーンっと同調して上昇するという分かりやすいグラフだったからです。
 この図はIPCCの「気象変化2001」にデカデカと掲載されました。マンは若手の古気象学者で、主に気象代替指標といって年輪などを使って1000年〜1980年代までの気象変化を調べていた人でした。

 このホッケースティック曲線は、マン自身もIPCCの執筆者のひとりで加わっていた2001年のIPCC第3次報告書に公式文書に登場するやいなや、大騒動に発展しました。
 まず、米国のクリントン大統領(というよりゴア副大統領)が、いわば米国政権が公認の学説となりました。
 当時、米国海洋・気象諮問評議会副委員長をしていたS・フレッド・シンガーは、これに対して苦々しげに「クリントン政権とIPCCが気象変動に関してほしがっていたお手軽な答え」と評しています。

 つまり当時、石油資本の後ろ楯のある共和党政権から一線を画して新たなエネルギー政策を取りたかった米国民主党政権と、気候問題というマイナーな分野に多額の予算を欲しがっていたIPCCなどの気候マフィアが手を組んでこのマンのホッケースティック曲線を政治的に利用したというわけです。

 もちろんIPCCも一枚岩で温暖化を信じていたわけではなく、すぐに有名なホッケースティック論争が開始されます。
 というのも、多くの気象学者が関わったマンの発表の3年前95年にIPCC「気象変動1995−図22」としてこのような気象変動グラフが掲載されているからです。
 ここにはマンが意図的に無視した中世の農業発展を支えたといわれる中世温暖期と、その後にやって来るテムズ河も凍ったマウンダー極小期による小氷河期がしっかりと記されています。
 ちなみに図を見ると分かるように中世温暖期に至っては、現代より温度が高いのですが、当時にハンセンやマンが言うような「地球気候を変動させるような人為的炭酸ガスの排出」がなかったのはいうまでもありません。

 このような多くの批判を受けて2004年にマン自身も訂正に応じて、現在はこのようななんと11種類の曲線があるグラフに訂正されています。(修正図は Wikipedia をごらんください)
 ここには批判があったマウンダー極小期が小氷河期としてでてきます。(ただし、マンは訂正しても間違ってはいないと主張し続けています。)
 一見不動のように見える地球温暖化説は、多数の間違いやスキャンダルを引き起しながらも本質的にはまったく変更を加えられることなく現代に至っています。これについては後の回で触れる予定です。

 IPCC第5次評価報告書は、2013年9月26日から部分発表があり、最終報告書は2014年3月の横浜総会で出る予定です。

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■政治的宗教団体に堕したIPCC
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 予言者的なハンセンから、眉唾的ハッタリ屋マイクル・マンのホッケースティック曲線を巧みに利用しながらIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、温暖化の使徒として世界中の国々を巻き込んで行くようになります。
 このIPCCという科学者の国際団体は、1998年の設立趣旨でこう謳っています。http://www.ipcc.ch/pdf/ipcc-principles/ipcc-principles.pdf
 「人間が起こす気候変動の(クライメイト・チェンジ)リスクの科学面と影響、対策を考える」

 ここには「気候変動」とはありますが、その原因を温暖化とだけは書いていません。当然です。初めから結論を決めた科学などはありえないからです。
 IPCCの報告書は、科学面・影響・対策の分野に分かれていますが、なんと言っても「科学面」の知見かその大本です。
 「気象変動」という限りは、当然寒冷化の可能性も含まれた多様な議論が保障されるべきですが、そうではありません。
 初めから結論がガッチリ決まった「科学的団体」なのですから白けた自己矛盾です。

 IPCCは地球温暖化の研究及び対策を講じる組織として、異説を排した「疑う余地のない真理」として温暖化のみを主張し続けてきたのです。
 これでは科学的に公正な態度といえるでしょうか。
 これが小さな団体ならば、間違っていましたから解散しましょうか、で済むのでしょうが、ここまで肥大化し国家機関と密接に関わってくるとなるともはや後戻りはできないというところです。

 私はIPCCの人為的炭酸ガス温暖化説は「根も葉もある間違い」だと考えています。
 たしかに人為的温暖化は存在します。その影響は無視できません。しかし、炭酸ガスだけで、地球の気候変動をすべて説明しようとするにはあまりにも無理があります。
 地球の気候変動が周期的な理由を、右肩上がりに増大する人為的炭酸ガスひとつで見ようとするから無理がでるのです。

 なぜ、他の太陽の活動や海洋の周期を視野に入れようとしないのでしょうか。
 おそらく、私は人為的温暖化と、周期的寒冷化が綱引きをしている状態が現代ではないかと思っています。
 しかしIPCCは、温暖化の原因を過度に人為的炭酸ガスのみに求めた結果、その対策もまた炭酸ガス排出規制に一面化され、ともかくなんであろうと炭酸ガスさえでなきゃいいんだろうというようになりました。

 温暖化対策のためのCOPは既に19回開かれてきています。COPとは「気候変動枠組条約」の締約国会議のことです。
 COP会議には今年もグリーンピースなどの世界中の環境NGOが集結してプレッシャーをかけるのですが、温暖化対策の特効薬はこれら環境NGOの願望に背いて、今でも原発なのです。

 世界は福島事故以降にもかかわらず、原発大増産期に入っています。
 中国はこの10年で世界一の原発立地国となり、ヨーロッパ、米国も新規建設に入っています。発展途上国は建設予定が目白押しです。
 ドイツは世界唯一の例外的存在にすぎません。
 その増設の原因となっているのが、IPCCの地球温暖化対策なのです。

 正直、バッカじゃないかと思います。だから蓋を開けてみれば、栄えるのは小は100円ショップで売っているようなエコ商品から、大は「クリーンな」原子力産業、「あなたの国や企業が炭酸ガスで枠内を使い切ったのなら、どうぞわが国でお引き受けしましょう」という排出権ビジネスということになりました。

 意地悪く言えば、こういう構図です。
 温暖化という科学学説が、異様なほど世界各国政府に受け入れられたのは、原子力推進という流れを加速させることはあっても減速するものではなかったことがひとつ。
 CO2排出権売買で国際金融資本に巨額で金が転がり込む、という金融ビジネスの利害に合致したのがふたつめの理由です。

 日本はこれまでの8年間に、政府や企業合わせて20兆円以上を温暖化対策の肝であるCO2排出削減のために投じてきました。
 東日本大震災の被害総額17兆を越える巨費です。この結果、日本でCO2が減ったかというと、福島事故以降の火力発電の全面稼働も手伝ってまったく減らずという有り様です。

 その上、COP19を議論している直前に、太陽黒点の異常な減少が報じられてしまいました。
 前々から黒点異常は報じられてきたのですが、どうも太陽活動が完全におかしいということが分かりつつあります。
 となると、誰が考えても地球気候を直撃するはずですが、もはや温暖化教と化したIPCC一部幹部は、「太陽の活動の影響は炭酸ガスの7%ていどだ」だと言ったかと思うと、「また復活周期に入っている」と右往左往しています。
 いずれにせよ、いい機会です。今一度、いまや不磨の定理となってしまった地球温暖化説を再検証してもいい時期なのではないでしょうか。

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■ツバルが沈む?
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 地球温暖化説を唱えるIPCCは、北極やヒマラヤの氷河が溶けているだけではパンチに欠けると思ったのか、既に海水面上昇で南太平洋の島々が沈下して住めなくなっている、難民が沢山でるぞと叫びました。
 この話は、やがてオランダは水没、東京も半分水没、バングラディシュ水没と、どんどんと尾ひれがついて膨らんでいきます。

 その最初の人間の住む地域の水没の例としてIPCCが訴えたのが、「沈み行くツバル」でした。
 いつの間にかツバルは、地球温暖化の悲劇のシンボルになっていたわけです。今でも環境省のHPには大きくツバルが乗っています。
 ほんとうに温暖化による海水面上昇によってツバルは沈んでいるのでしょうか?
 結論から言いましょう。していません。上がったのは海面ではなく、逆にツバルが珊瑚礁の圧壊で沈んだのです。

 オーストラリア政府のSPSLCMP(South Pacific Sea Level and Climate Monitoring Project)のデーターをご覧頂きたいのですが、ツバルでは1mどころかわずか75mmの海水面上昇しか計測されていません。
 この記録は、ツバル近海のフナフチ環礁で1993年5月から2006年5月までの13年間の記録の累積の総計です。
 トレンド(傾向)の毎年の観測数値を13年間分足してみると75mmとなったというわけです。
 1年間に75mmだとすると、確かに危険な数字ですが、あくまでも13年間の総計です。1年にすると1cmにも満たないわけです。
 ですから、このデーターの見出しの書き方は、やや誤った印象を私たちに与えてしまいますので、ご注意のほどを。くどいですが13年間のトータルの数字です。
 *SPSLCMPのデーター http://www.tuvalu-overview.tv/?p=370

 もうひとつグラフを出しましょう。オーストラリア気象庁の公表データかあります。これは1993年からツバルの首都フナフチを測ってきた16年間のデータです。http://arinkurin.cocolog-nifty.com/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2013/12/11/photo_5.jpg

 どう見ても横ばいです。10年にはやや下がっているほどです。これを見てどうしてツバル周辺海域で海水面上昇が発生したといえるのでしょうか。

 3枚目にハワイ大学の観測記録をみます。これも1977年から99年までの23年間の計測データですが、上昇は0.9mmで1cmにも満たない数値です。http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/images/2013/12/09/_edited_31.jpg

 科学の世界では、複数の公的機関が10年以上の長期で継続して計測したデータが、一致して同じ結論を出した場合にはそれを有意として扱います。

 Tuvalu を英文で検索するといくつかの英文の論文にヒットしました。その中でサリー・バリューナス博士の「ツバルは沈んでいるのか?」という論文をご紹介します。
 この論文はふたつに分けられ、前半でツバルの海水面のデーターを見ています。そして後半はその原因を考えています。博士は、ポセイドン観測衛星の記録から海水面は約10cm落ちていると報告しています。
 また1978年以来の潮位記録から、1997年〜98年のエルニーニョ(4年に一回発生します)には約30cmも潮位が落ちているそうです。
 このようにエルニーニョは、太平洋を取りまく島々の海流や気圧に大きな影響を与えている最大のものです。

 また博士は、オーストラリアの潮位観測の責任者であるウオルフガンシェーファーさんの意見も取り上げています。この中でシェファーさんは「海水面の上昇があるという観測データーはどこにもない」と断言しています。
 さきほど3枚の公的機関の計測データを見ましたが、私が調べた限りで複数のデーターが同じ指摘をしています。最大で57mmです。
 どう考えても、13年間で最大58mm、最小で0.9mmていどの海面上昇でひとつの島の沈下が引き起こされると考えるほう無茶ではないでしょうか。

 さて、この1cmにも満たない海面上昇で、いかに海抜1mのツバルといえど果たして海に沈むでしょうか? 考えるまでもなく、ありえません。
 主要な原因は隆起珊瑚礁の浸食です。
 これは私自身沖縄に住んでいましたので、実感で理解できます。沖縄の八重山の先島に行くと、同じ隆起珊瑚礁ですので、少しずつ削られていくのが目でみえる地点がいくつかあります。
 これは別に隆起珊瑚礁のみならず、海岸淵の岩場に行ってみれば同じような浸食が見られます。年間70mmていどの浸食などザラでしょう。

 ツバル沈降の原因について、大阪学院大学教授で、太平洋諸島地域研究所理事の小林泉先生は以下のように指摘しています。このミクロネシアを知悉した小林先生のご意見は、私にもしごく妥当かと思われます。
㈰日本より稠密な人口密度が、狭いツバルの、しかももろい隆起珊瑚礁を圧壊している。
㈪アメリカ型の生活スタイルの定着によりペットボトルなどのゴミの散乱など島の環境破壊が進んでいる。

 また、この調査をしたSPSLCMPのプロジェクト・マネージャーのフョリップ・ハル氏は、このような海水面上昇は10年ではまだ短く、20年以上といった長期の観測が必要であると語っています。
 また、原因として、エルニーニョなどの異常気象を挙げています。
 2002年のオーストラリア政府の発表によると、1978年〜2001年の期間に、ハワイ大学と Australian National Tidal Facility(NTF)の共同研究では、データーの欠損を認めつつ、ツバルの首都フナフチ環礁での海面上昇は約1mm程度であり、危惧する必要はないという意見を出しています。
 沈下面積が増えるツバルの皆さんには大変に言いづらいことですが、公平に見て、島民の苦難とは別に、その原因は地球温暖化にはないと思わざるを得ません。

 こんなばかなことが起きたのでしょうか。それについて海水面研究の世界的権威であるストックホルム大学メルネル教授はこう言っています。
 「第3次、第4次IPCC報告書に載せたのは、そこに海水面上昇の専門家がひとりもいなかった。報告書を書いたのは、現地の観測者ではなく、ただのコンピュータ計算屋があらかじめ決まった「南太平洋諸島水没」モデルにあわせてモデルを作っただけだ」
 なんのことはない、IPCCがもったいぶって出した報告書で、ツバル現地で計測していた人間はおろか、海水面の研究者すらいなかったのです。まったくひどい話です。
 IPCCのコンピュータ屋が描いた初めに結論ありきのデマゴギー、それがツバル水没危機の正体なのです。

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■ホッキョクグマが絶滅する?
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 COP(地球温暖化締結国会議)か開かれるたびに、お決まりのように新聞はこのような詠嘆調の社説を書きます。
 「COPは先進諸国が、自国の利害だけ考えて失敗に終わった。南太平洋の島々が沈もうと、ホッキョクグマが絶滅しようとも、自分たちの国の経済が守れればいいのか」
 そして今に至るも、「ホッキョクグマが飢えのあまりコグマを食べた」という怪情報が飛び回ったりしていて、いっこうに下火になる様子もありません。
 地球温暖化の危機を叫ぶことと、事実かどうか疑わしい言説をその傍証に使うこととは、まったく別次元なはずです。

 私たち大部分の気象学の素人にとって、大気圏における二酸化炭素濃度と気温との相関関係、太陽の黒点変化と地球の気温変化との関連などと言われても、正直その気象データの読み方もよく分かりません。
 私たちが心動かされたのは、アル・ゴア氏が「不都合な真実」で紹介した北極で溺れるホッキョクグマの姿、北極の轟音をたてて大きく崩れる氷河、永久凍土の上で溶けて傾いだ家、毎年後退するキリマンジェロの冠雪などといったセンセーショナルで素人でも分かりやすい絵でした。

 これらの「不都合な真実」は、残念ながら前節で触れたようにほぼすべて捏造です。
 しかし、それを知ってか知らずか、マスメディアはその「絵」を煽りました。そして国際世論が出来上がっていったのです。このような手法を印象操作といいます。
 論理ではなく、ぱっと見た目の分かりやすい画像をなどを使うことで、見る人を支配することです。

 アル・ゴア氏の「不都合な真実」の中にある有名な写真は、アラスカ沖で砕氷船から撮られたもので、たぶんこのホッキョクグマの2頭の生存は厳しいだろうなと哀しい気持にさせられます。
 そしてこれがCO2の増大による地球温暖化説の証拠の一枚として人の心を大きく揺さぶりました。
 ゴア氏の「「不都合な真実」にはこうあります。

 「1970年代、北極の氷冠はかなりのスピードで縮小をし始めました。これは、ホッキョクグマにとっては悪い知らせです。ホッキョクグマはアザラシを追って氷盤から氷盤へと移っていきます。
 多くの氷が溶けてしまったために、クマたちはこれまでよりもずっと長い距離を泳がなくてはならなくなりました。次の氷盤にたどりつく前に、おぼれ死んでしまうホッキョクグマもでてきたのです。こんなことはこれまでなかったことです」(「不都合な真実」P86:87)

 私は動物が好きなので、このテの報道には極端に弱いので、湾岸戦争時のイラク軍による原油の海への放出による原油まみれになった水鳥の写真には怒りがこみ上げてきました。
 許せん、イラク! こらフセイン、ここに来て座りなさい、という気分に「操作」されたのです。
 後に、この原油まみれの水鳥の写真は、湾岸戦争とはまったく関係のない画像であったことが分かってしまいます。

 それを仕掛けたのは、米国大手広告代理店で、米国政府から依頼されていました。世界の人たちに米国の戦争が正しいと分からせる決め手の一枚だったのです。
 この手法を米国政府中枢にいたゴア元副大統領が知らぬはずがありません。彼はこの分かりにくい地球温暖化説を、分かりやすい紙芝居にして見せたのです。
 ホッキョクグマという北極圏の王を使って、その絶滅を訴えることで地球温暖化を説いたわけです。まことに見事なプレゼンシーション戦略だといえるでしょう。

 これが皆んな溺れ死ぬとは尋常ではない。世界野生動物基金(WWF)も「ホッキョクグマは歴史上の動物になる」といい、英国「インデペンデント」紙も「ホッキョクグマは動物園でしかみられなくなる」と叫びました。
 わが国のメディアに至っては調査力が貧弱ですからいうまでもありません。未だわが国ではホッキョクグマが地球温暖化の悲劇のシンボルとしてよく登場しています。

 結論からいいましょう、ご安心くだされ、絶滅していません。
 ハドソン湾のホッキョクグマ個体数調査のグラフ(1987年〜2004年)を見ると、1980年にはわずか500頭に過ぎず、乱獲により絶滅寸前であったということが見て取れます。
 ちなみに当時は海氷の融解は観測されていません。あくまで人為的な乱獲が原因です。
 これが保護政策の結果が出て、5年後にはハドソン湾だけで一気に1500頭まで回復していきます。
 以後1990年代からはほぼ横ばいという安定した状態が続いています。減少トレンドの線が引かれていますが、1980年代の絶滅の危機からは大幅に増加していると言っていいでしょう。

 今上げた2005年850頭という数字は、あくまでも北極圏のハドソン湾地域のみの数字です。他にいくつものホッキョクグマの棲息地があります。
 ホッキョクグマの総個体数は、北極圏というそれでなくとも厳しい自然の中で、おまけに広域に拡がっているために諸説あるようですが、おおむね総数2万5千頭(坪田俊男・北海道大学院教授・クマ生態学)という説が妥当なようです。
 少なくとも絶滅しそうだというデーターはありません。そう言っているのはマスコミと一部の環境保護団体だけです。
 それはこの北極圏で生活し、猟をしているイヌイットが年間なんと400頭ものホッキョクグマを狩猟していることでもわかるでしょう。
 イヌイットは合衆国政府が禁猟方針を打ち出したことに強く反発しています。もし絶滅寸前ならば、年間400頭もの狩猟はできないはずですから。

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■地球が水没する?
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 地球温暖化を訴える上で最もショッキングだった予測は、海水面の上昇、いや巨大な上昇でした。
 被害予測は、東京で322平方キロ、東京の人口は415万人に減少します。この59cmという数字は、IPCCの第4次報告書の数字に基づいています。
 ただしこれは2100年、あくまでも約100年先の予測数値だということをお忘れなく。
 実際には突然起きるものではなくジリジリと毎年1.4mmというmm刻みで上昇するわけですから、首都が水没するのを指をくわえて見ている国などありえませんから、防潮壁などを建設してくい止めることになるとは思われます。

 さて、地球温暖化問題の総本山、世界的権威であるはずのIPCCの発表する予測数値がだんだんと下方修正されてきているからです。http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/images/2013/12/11/photo_3.jpg

 1850とは1850年のことで2000年までの海水面のデータ(Jevlejeva2006)を見ると、記録されています。http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/images/2013/12/11/photo_2.jpg

 このグラフでわかることは、過去100年間の海面上昇が17cm(1年1.7mm×100)で、また1950年代を境にして上昇率が鈍化し、1960年代には1.4mmに落ちたことです。
 ここで一点ご注意を。地球の海面上昇という自然現象にはあたりまえですが、大きな地球の自然変動があるということです。すべてが人為的なものではないのです。

 2007年に発表された最新のIPCCによる未来予測、右端の薄いグレイ部分が海面上昇の予測の範囲を示しています。
 これを見ればお分かりのようにIPCCは18cm〜59cmとしています。中央の平均予測値で38.5cmです。しかも100年後です。

 実はIPCCはこの第4次報告書までに上昇率予測の書き替えを何度かしており、この回で海面上昇予測数値は下がるという奇怪なことになりました。
 まず、もっとも有名で、世界に衝撃を走らせた2001年報告では、9〜88cmという大きなものでした。
 これがよく言われる「88cm上昇すれば、高潮の時には1mを超えるだろう」という説の大元です。ツバルなどに関わるNPOの多くの方々はそのように言っています。

 この誤りは、ひとつにはIPCCの海面上昇の88cmという最大予測数値が、現在のものではなく、2100年のものであるということです。あくまでも100年弱先の数値であって、現実にはわずか数mmの海面上昇しか観測されなかったわけです。
 これを誤解して、100年先の確証もない、あくまでも予測数値でしかない88cmの海面上昇を、現に今の上昇の数値として理解してしまった。
 そしてこれを現在のツバルの沈降の主原因としてしまいました。
 これに地球が危なければ危ないほど売れるという傾向があるマスコミが飛びつき、かくしてひとつの地球温暖化の偶像が生まれてしまったのです。このような現象を情報の伝達の失敗、あるいは、その一人歩きと言います。

 IPCC自体は、このように一人歩きする地球危機の数値に気象学者としての危機感を感じたようです。そしてこれに下方修正をかけたのが2007年版第4次報告書です。
 ここで新たな数値予測として、最大値を88cmから59cmに修正しました。
これには地球が危ないと言われるほど妙に張り切るように見えるグリーンピースなどが大いに怒って「生ぬるい」と大騒ぎをしたようです。

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■不都合な広告塔・アル・ゴア
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 アル・ゴア氏はいささか引く言説も多々ある事で知られています。
 たとえば海水面上昇について、「グリーンランド、あるいは南極が融けるか、割れて海に流れ込むと世界中の海水は6.5〜7m上がる」(2006年)、いやそれどころか「最悪、12〜14mにもなります」(2006年)という説を出しました。
 この言説の影響力は、ハーバード大卒、元ジャーナリストにして前副大統領&ノーベル平和賞、ついでにアメコミ的なハンサムというイヤミなまでのカッコよさも手伝って、すさまじいの一語に尽きました。
 瞬く間に世界中のプレスとテレビ局が飛びつき、まさに誰しも否定したらバチが当たるというような「不都合な真実」になってしまったわけです。

 人の心理というのは面白いもので、破滅願望でもあるんでしょうかね。ゴア氏自身が一方で、6.5mと言っているのに、テレビが伝える時には、この激烈な14m説しか伝えないのですから。最大値というか、最大災厄のみが一人歩きしていきます。
 いわくバングラデシュは全水没、ペキンも水没、ミクロネシア諸島も全水没・・・、彼の説を基にしたハリウッド映画「ザ・デイ・アフター・トモロー」まで作られて、地球温暖化のために大津波に遭ったあげくカチカチになるというストーリーです。
 あの映画の愚かな副大統領がチェニー現副大統領のソックリさんだということに気がつきました(笑)。ゴアさんの怨念が忍ばれます。そして大ヒット。

 たぶん、この14m説に一番ぶったまげたのはIPCCであったと思われます。
 「こんな素人のヨタ話と一緒にされてはたまらん」とでも言いたげなIPCCの報告は、ゴア氏14m説の翌年の2007年にそそくさと発表されました。これが先ほど見た3番目の図のIPCC第4次報告書です。
 このIPCC第4次報告書の最小予測値18cm、最大予測値59cmです。
 最小予測値の場合、小波ていどでしかありません。しかも年間の上昇は1.4mmというさざ波レベルです。
 こうなるともう、「不都合な真実」を大絶賛していた太田光さんではありませんが、もはや爆笑問題の次元の話になってしまいます。
 その差を図式化したのが次の図です。(典拠・ビョン・ロンボルグに拠る)http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/images/2013/12/11/photo_4.jpg

 最後に、気象庁が測定している日本海沿岸の海水準(1971年から2000年)29年間の規約がありますが、上昇トレンドは測定されていません。
 IPCCの海水面上昇でハルマゲドンという予測には科学的根拠がないといわざるをえません。
 私たちは、地球環境の危機を危機としてとしてとらえるためにこそ、センセーショナリズム(煽り)を排して見る必要があるのではないでしょうか。

 (筆者は茨茨城県・行方市在住・農業者)


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