中国暮らしでよかったな~と思うこと、その1

■【北から南から】深センから                  

『中国暮らしでよかったな~と思うこと、その1』 佐藤美和子


 新年好!(シンニィェン ハオ=あけましておめでとうございます)
と言っても春節(旧正月)を祝うここ中国では、新年はお休みも1~3日間のみ
という人が多いので、平日とあまり変わりのない静かな年越しでした。2008年
の春節は2月7日ですので、最近やっと春節のお飾りなどが出回りだしたところ
です。季節外れに感じられるでしょうが、中国は今がやっと忘年会シーズン突入
なのですよ~。

 私の中国生活も、今年で通算8年目。ここまで長くなってくると、生来の出不
精や面倒くさがりな性格も手伝って、外出先もいつもの決まったところばかり、
中国語力もちっとも伸びずですっかり新鮮味を失ったマンネリ生活になってし
まっています。
  それでも未だに、「日本とは違うなぁ、深センで生活しててよかったなぁ」と
ふとした拍子に感じる事もあります。いつも私がオルタで突拍子もない?中国事
情をご披露していますし、日本でも中国のマイナス面ばかりクローズアップして
報道されていますので、日本の知人たちにも私がとっても可哀想な?暮らしをし
ていると勘違いされることが結構あります。時にはそんな中国に暮らす私を気の
毒がって、ご馳走してくれる人もいるので、ワタクシ的には棚ぼたな面もあるの
ですけどね(笑)。

 もちろん我が家なんて、海外駐在手当てが付いたり家賃が月何十万円もする高
級マンションをあてがわれたりする駐在員さんとは比べようもないですが、深セ
ンのような大都会では実はけっこう快適な暮らしができるんですよ。
中国都市部では、数棟でひとくくりの大型高層マンションが多いです。例えば私
の住処などは、32階建てが15棟、少なくとも3500世帯はあろうかという巨大
マンション。ここまで来ると、マンションだけで一つの町みたいなもんですね。
ですので、マンション敷地内にはざっと挙げるとスーパー、十数軒のレストラン
(美味しくないけど回転寿司屋も!)、パン屋、果物屋、コンビニ数軒、クリー
ニング店、美容院数軒、24時間営業の薬局、DVD屋、屋外プールが二つ、テニ
スコート、スポーツジム、サウナマッサージ店、芝生庭のお散歩コース、子供用
プレイジム、アヒルが泳ぐ人口池、銀行2軒、簡易診療所、警察詰め所、私立の
幼稚園と高校があります。その他、小規模個人商店として、ネイルサロン、ペッ
トショップ、パソコン周辺機器屋、衣料品店などもあり、お店は日本人的にはあ
まりキレイではなかったりするものの、マンション敷地から一歩も出ずに何ヶ月
だって生活できちゃうのです。マンション下に店舗やレストランが付設、程度な
ら日本でもアリでしょうが、銀行併設はそうそうないですよね。ATMもあるの
で24時間いつでもOK、これとっても便利です。

 うちは2人揃って機械オンチなため、パソコンにトラブルがあるといつも馴染
みのパソコンショップのお兄さんを呼び出します。同じ敷地内なので電話すると
すぐ来てくれ、引越しして再設定が必要な時や、私が間違って何か設定を変えて
しまいネットに繋がらなくなった時など、いつもあっという間に直してくれます。
私のパソコンはもちろん日本語仕様なのに、日本語ができないはずの彼がどうし
て画面を見てわかるのか?パソコンを扱う小さな個人商店を営む彼らは普通、特
に高学歴というわけではありません。それでも読めない外国語表記のパソコンを
いとも簡単に扱えてしまう中国人の頭脳って、やっぱりスゴイです。

 呼び出しといえば、ミネラルウォーターの配達も日本では馴染みのない便利な
システムです。水道水が硬水の中国では、生水は飲めないので水道水を一旦沸か
すか、ミネラルウォーターを購入して飲み水にします。最近ではリビングにウォ
ーターサーバーを置き、それに5ガロン(20リットル弱)入りの大きなボトル
を設置する家庭がほとんど。このサーバーはお湯と冷水が出るので、いつでも熱
いお茶や冷たい水が飲める便利なものですが、まさか5ガロンものボトルを自分
で買ってくるのは重すぎて出来ません。そこで中国では、色んな業者が電話一本
でお水をキャリーで各家庭に運んでくれるのです。5ガロン入りで10~40元(約
150~590円)、送料なしです。あんまり安いと水道水をそのまま詰めている悪徳
業者もあるそうなので、うちでは36元の名の通ったメーカーのお水を頼んでい
ます。
  ただこのお水の配達人さん、小遣い稼ぎのために小銭をわざと持ってこないの
で、お釣りは貰えないことが多いです。えーっ小銭持ってきてないの?しょうが
ないなぁ、お釣りはもういいや、と言ってくれるのを期待しているんですよね。
私は夜遅くに配達を頼んだ時だけはお釣はいらないよ、と言う事にしているので
すが、普段はつり銭ネコババ防止のため、ミネラルウォーター用貯金箱に小銭を
たっぷり常備しています。わずか数元のことなんですが、いつもいつも「小銭、
持ってな~い♪」をやられると、腹が立ちますからねぇ。

 更に、これは広東省だけかな?レストランの料理配達サービスも一般的です。
玄関によくマンション内外の出前をやっているレストランのチラシが差し込ま
れていて、一品わずか20元程度のものでも、発泡スチロールの容器に入れてす
ぐに持ってきてくれるのです。これ、一人暮らしの人が病気して外出できないと
きや、ご飯作る閑もないほど忙しいときなんかにはいいですよね~。いつぞやウ
チの相方が、家で食べようと日本料理屋さんで買ってきた幕の内弁当を持ってマ
ンションのエレベーターに乗っていたら、透明のお弁当蓋で中身が見えたのでし
ょう、知らない住民に「それなかなか美味しそうだね、ウチにも一つ配達してき
てよ」と注文されてしまったとか。出前スタッフに間違われたなんてウチの相方、
丁稚小僧さんにでも見えるのかしら?

 出前を頼まずとも、広東省ではマンション近辺には小規模レストランや食堂が
必ずあって、安く手軽に食事ができます。ウチのマンションを例に挙げると、炒
め物など料理一品にご飯、日替わりスープが付いて20~30元ほど。一食300~
500円で済むので、ありがた~い存在です。東莞の田舎に住んでいた頃は、安食
堂で一杯3元のラーメンもよく食べていましたから、それでも中国人に言わせる
と深センの物価は高い!なんですけどね。
  このレストランがまた、遅くまで営業しているのですよ。飲茶レストランなら
たいてい深夜24~26時頃まで営業しているし、うちのマンション内には24時
間営業の店も!広東人は、夜中でも小腹が空いたらふらっと出かけたりするんで
すって。さすが食の都、広東省でしょう?

 宵っ張りなのはレストランだけではありません。スーパーも遅くまでやってい
ます。深センジャスコは店舗によって22:00か23:00閉店、米系スーパーの
ウォルマートは平日10:00~22:30、週末は23:30までやっています。美容
院も、飲茶レストランと同じくらい遅くまで営業している店が多く、思い立った
らいつでもカットできちゃいます。これはたぶん、広東省の美容院ではシャンプ
ーマッサージをやっているので、按摩屋さんに行く感覚でしょっちゅう利用する
人が多いからかと思われます。50分ほど頭を中心に、仰向けになったまま肩や
腕までマッサージしてもらって15~25元。中国人の知人は、疲れてシャンプー
するのも面倒だなぁという日はよく近所の美容院でシャンプーマッサージして
から帰宅するよ、と言っていました。マッサージで疲れが取れたら帰宅してさっ
とシャワー浴びるだけですぐ寝られて、便利ですよね~。

 ただ、こういう深夜営業は広東ならではの習慣です。外地出身の人たちは、ひ
とたびこの便利な広東生活に慣れてしまうともう故郷では暮らせない、と言いま
す。中国東北の農村出身の知人は、
「春節休みに里帰りしたらね、夕方5時くらいでお店みんな閉店しはじめちゃう
のよ!そりゃ実家の辺りでは冬は極寒だし夜に外出する習慣はないけれど、自分
の実家なのに夜中することがなくて持て余しちゃったわ。たった2年で、私もす
っかり広東人なのね~」と言っていました。かくいう私も一時帰国中、大阪の繁
華街である心斎橋筋ですら20時頃にはバラバラと閉店し始めるのに驚いて大慌
てで買い物に走るなど、すっかり広東式夜行生活に馴染んでしまっていました
が・・・・・。
  こんな風に、中国広東省ではある意味日本よりも、快適で便利な暮らしができ
てしまうのです。(次号に続きます)
                (筆者は在中国・深セン・日本語教師)

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