久保田忠夫さんに捧げる「オルタ50号」

■ 【オルタのこだま】                     

久保田忠夫さんに捧げる「オルタ50号」      富田 昌宏

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  3月4日の午後1時から神田の学士会館で「オルタ50号記念の集い」が開か
れた。
  加藤宣幸さんをはじめとする編集スタッフ陣、久保孝雄さんや竹中一雄さんな
どの執筆者の方がた、そして熱心な読者であり協力者でもある各界各層から60
余名が参加し、和やかな雰囲気のなかで、学習と懇談の場がもたれた。初岡昌一
郎さんの司会で開会され、加藤さんの挨拶のあと、国会の合間をぬって駆けつけ
られた江田参議院議長から与野党対立の状況説明や「オルタ」への激励の祝辞を
いただいた。「オルタ」の執筆者でもある江田議長には感謝しきれないことがあ
る。昨年、江田三郎先生の没後30年の集いに、やむを得ぬ所要のため欠席した
私は三郎先生との想い出を加藤編集長宛の手紙に添えて発信した。その話を聞か
れた江田議長から、謙虚で誠実な人柄が滲み出る丁重なお手紙を頂いたのである。

  会は河上民雄先生のタイムリーで有意義な講演のあと、羽原帝京大教授の乾杯、
竹中、久保氏の祝辞があり、ビール片手に和気あいあいのの懇談になって、最後
に私が閉会の辞を述べた。私は思い切って「オルタ」発行の原点とも言うべき雑
誌『余白』に触れ、発行人の久保田忠夫兄との想い出を語った。久保田さんが
発行人、私が編集人として共同で『余白』の創刊号を発刊したのは平成15年6
月10日。表紙画は朝倉摂先生、巻頭文は鶴見俊輔先生にお願いした。いよいよ
明日完成との報が印刷所からあり、喜びを共にしようと朝早く久保田さんに電
話をした。返ってきた電話の声は意外にも「もしもし警察ですがーー」であっ
た。病身の久保田兄は前夜入浴中に急逝され朝早く警察が立ち会っていたの
だ。
加藤、鶴崎、仲井、岡田さんたちと『余白』の後片付けをするなかで「戦争・
国家・人間」を主テーマにした『余白』の精神を継承した雑誌の発行が話し合
われ、メールマガジン「オルタ」の発行につながったのである。今井正敏先生
は私への励ましで、「「オルタ」は『余白』の久保田さんの遺志が見事に実を
結んだわけですからー」と述べられているが、まさにその通りで、この日の盛
会をあの世から拍手を送ってくれていると信じている。

  翌5日の朝、早起きして庭を散策した。紅と白のマンサクが満開だった。日溜
りのよいところに植えられた紅と白の梅は八分咲き。その下に福寿草が顔をのぞ
かせていた。樹齢白寿になんなんとする藪椿はこずえが枯れたが尚花開かんと
懸命の努力を続けている。庭を一巡し、花や蕾に声をかけながら思うことは、
人と人とのめぐり合いの不思議さである。余りお付き合いのなかった加藤編集
長との出会いも『余白』の事件がなかったら実現しなかったかもしれない。そ
れが今では百年の知己のような交友関係にある。仲井さんや鶴崎さん工藤さん
などとも、より親しくなった。これらは私にとって得難い財産であり、それら
の方々から得られるものは多い。「オルタ50号記念の集い」を新たな出発点
として、この貴重な人間関係を深めていき、私の人生を少しでも豊かにしたい
と思う。
               (筆者はメールマガジン「オルタ」代表)

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