投稿:今井正敏

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  「オルタ」10号、11号に掲載された中野紀邦氏の「巷間見聞録」(上)

  (下)を読みましたが中野氏の観察眼と洞察力とによる気候変動から人生

   最後のお墓にいたるまで実に多種多様の巷間の変化の実態をルポされて

   いるのに感服しました。

  その昔、毒舌とヤジ馬根性で鳴らした大宅壮一氏が昭和9年頃(1934年頃)

  「東京音頭」が大流行した世相を捉えて、日本の社会の動きを痛烈に批判

  されたのを読んだことがありますが、大宅氏が存命ならば、この「巷間見

  聞録」を高く評価したのではないかと思われます。

  「千年単位の激変」と見られている現在の社会の変化を「そうした変化は

  何が要因になって起きるようになったのか」という視点で見つめてみると

  一層この変化の実相がつかめると考えました。

  勿論、この要因は単純なものでなく、いくつかの要素がからみあったもの

  であることは承知しておりますがあえて、2点ほど上げて見ますと一つは

  「時代の流れの必然性」もう一つは「国際化の流れ」というものを取り上

  げて見ます。

  「見聞録」にあった「気候変動と人心の変化の同調」については文中に、

  気候の変動は地球温暖化と思われるとあるように、この温暖化が大きな要

  因になっているのは確かだと思います。「京都議定書」が指摘しているよ

  うに「時代の流れの必然性」から生まれた問題だと思われます。

  次に「過密過疎の進行」問題では街の商店街ではシャッターがおりている

  店が増え、近郊のベッドタウンは人影が少ないということですがこれも

  「車社会になった」と指摘されていますが、これも「時代の流れの必然

   性」ということでくくれると思います。

  「女性がスカートを拒否してシャツにズボンそしてスニーカー姿」という

  ことについて。」の中で見ても同じ状況が見られるのではないでしょうか。

  「食べ物」「住まい」、男女の「中性化」などの変化も「国際化の流れ」

  が大きな影を落としていると思われます。

  以上のほかにも「時代の流れの必然性」。「国際化の流れ」ということで

  くくれるものがあるように思われます。

  いずれにしても見方を少し変えるだけで、この中野氏の「巷間見聞録」は

  深みを増し、興味をそそり、感服の度を高めると思いますので続編を期待

  しています。