■俳句 富田昌宏

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水澄むや「暗夜行路」の初版本
鳴きながら鈴虫宅急便で着く
新藁の褥に牛の生まれけり
朝露の声より現れし牛の群
長き夜や覚めて一字を推敲す
芋虫や此の頃日本騒がしき
軌み来て電車秋暑の人を吐く
秋の夜妻の欠伸を貰ひけり