■ 俳句                     富田 昌宏

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墓一基残して稲田刈り終わる

ひたすらに行って帰って稲刈機

筑波嶺の紺の深さや大根蒔く

吾亦紅咲いて生活(たつき)の句読点

まなかひに傘寿の椅子や花茗荷

  蜩(ひぐらし)や富士山(ふじ)を沈めて山上湖

新涼や漣(さざなみ)を描く竹箒

(万里の長城)長城の果はありなむ鰯雲

長き夜や闇の重さで軋む梁

朝顔を簾(すだれ)に書見の間

          (俳法「渋柿」代表同人)
 

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