■俳句                             富田 昌宏

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農に生き農で果てたし稲の花

蕎麦咲くや無垢一面の青き空

人去りて小春の椅子となりにけり

神官は畑仕事や神の留守

山を売る話半ばや眠る山

冬耕や土の絡まる風の音

牛売って無口の人の懐手

皺々の面を沈めて柚子湯かな

五指拡げ干せる軍手や四温晴

嶺裂きて凍滝寂光放ちけり

         (俳句結社「渋柿」代表同人)

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