■俳句                             富田 昌宏

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   (被災地にて)護符立てヽきらきらの種蒔きにけり

  (宇都宮河川敷)竜天に古代鯨の大化石

  一寸の秘仏のごとくたら芽吹く

  物語り始まるごとくたら芽吹く

  如何ともならぬ字余り土筆折る

  鳥語樹語聞きつつ探すいぬふぐり

  啓蟄や地酒の封を切る音も

  トラクター春夕焼を割り進む

  下萌や堤に座して読む源氏物語(げんじ)

  妻の座に亡妻(つま)の影あり春炬燵

(俳誌「渋柿」代表同人)

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