北海道――「格差」を隠して現職が大勝・再選

【統一地方選挙前半を振り返る】

■北海道――「格差」を隠して現職が大勝・再選   南  忠男

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◇2期目の現職はダントツ強いという神話


 4月8日の統一地方選挙前半戦の投開票日の20時、NHKの開票速報がはじ
まる時刻、新聞のスクラップの整理等をしていると突然2階でテレビを見ていた
小5の孫娘が降りてきて、「おじいちゃん、高橋さんが当確だよ」と叫んでいる。
また、爺に対する嫌がらせかと、半信半疑テレビのスイッチを入れると確かに、
NHKの出口調査の結果をもとに、現職高橋はるみの当確を打ち出している。
 公示前から現職の優勢が伝えられ、北海道における過去の知事選の実績から見
ても、現職の2期目の選挙はダントツ強いと言われていたが、雇用・医療・福祉
など生活全般にわたって格差が拡大し、人口の流失全国一の北海道で道民はどん
な反応を示すか関心がもたれ、「格差の実態」が反中央・反自民として表われる
ことを期待されたが、この期待は完全に裏切られた。
 


 ◇人気絶頂の「なおみスマイル」


 北海道新聞が昨年4月中旬に行った世論調査でも、知事については現職の続
投を求める声が6割を超えていた。高橋知事は地方の講演会でも支持者との握手
や記念撮影にも気さくに応じ、経済産業省出身というエリート官僚の雰囲気を感
じさせない、いわゆる「なおみスマイル」に好感を持つ支持者は確実に増えてい
た。
 北海道の景気は依然として停滞し、有効求人倍率が0.53(全国41位)で低迷
していても、道産米売り込みのテレビCMなどに活用された「なおみスマイル」
は北海道に明るさを呼び戻すような錯覚とともに、現職高橋の知名度を高めるの
に大きく寄与した。微笑の影にしたたかさが見え隠れする。
 選挙のもつ人気投票的側面をとらえ、マスメデアを十分利用した効果と云える。
 現職高橋は富山県生まれ。対する荒井候補は生粋のドサンコ(北海道生まれ)
を強調しても、「この北海道をこよなく愛します」と微笑みかける「なおみスマ
イル」には歯が立たなかった。
 現職高橋は4年間の実績を強調することと微笑をふりまき「なおみスマイル」
効果を狙うことに終始して政策論争からは逃げの姿勢であった。対する荒井候補
は真正面から政策論争に挑んだものの、出足の遅れ(出馬表明が歳が明けての1
月になる)が最後までたたり「ホットケないぞ・ホッカイドウ」の声は有権者に
十分に届かなかった。加えて頼みとする連合北海道の活動もきわめて鈍く、負け
るべくして負けたとしか云いようがない。


 ◇知事選挙と議員選挙とのネジレ現象をどう見るか


 現職高橋が圧勝(荒井の1.6倍の得票)したが、高橋を支援する自民党の議員
候補は現有議席を5議席減らした。対する民主党は現有議席に7議席を上積して
躍進したが、このネジレ現象をどう分析すれば良いのか?
 知事(首長)に対してはリーダーシップを、議員に対してはチエック機能を重
視した、有権者のきわめて成熟した投票行動と見るべきではないだろうか?
 1名区で民主党候補が自民党候補を制して勝利した選挙区を個別に分析して
も、現職高橋が荒井の1.6倍(全道平均)を上回る得票をしている。
 公示直前の北海道新聞による世論調査では、支持政党なし層が43.1%を占め、
05年9月の郵政解散総選挙当時より10・2%増となっていたが、この無党派層
の投票行動は決して浮動票ではないことを今回の選挙結果は示している。


 ◇洞爺湖サミット~知事は安倍官邸のあやつり人形?
          新幹線は素通り・地方バスは置き去り


 先にも述べたようにこの選挙で経済・雇用、医療・福祉など北海道の抱える課
題が十分議論されたか?についてははなはだ疑問がある。現職は「争点ぼかし」
に懸命となり、争点の格差については終始逃げの姿勢であった。
 今年の3月に入って、突如降って沸いた「洞爺湖サミット」も肝心の費用対効
果があきらかにされないまま選挙に利用された。
「新幹線の札幌延長」についても、なぜいま新幹線なのかも、赤字で四苦八苦し
ている地方の代替バスの存続策についても議論されたとは云えない。
 08年8月、日本で開催される予定のサミット(主要国首脳会議)に北海道が
洞爺湖を候補地として手を挙げたのは、選挙を目前にした3月7日のこと。この
時はすでに「関西サミット」(京都府・大阪府・兵庫県)「瀬戸内サミット」
(岡山県・香川県)「開港都市サミット」(横浜市・新潟県)が名乗り上げてい
た。これまで現職高橋は警備などにかかる負担から誘致を終始拒否していた。道
内では一時札幌市が誘致を模索していたが、警備経費など地元負担が大きいこと
から断念した経緯がある。
 
 昨年暮「札幌市が断念した話を、財政難の道が持ち出すのは現実的でない」
「そんなゆとりがあるのなら夕張支援に振り向けるべきだ」と知事自身の言葉で
断言していたのが、今年3月7日急遽「北海道・洞爺湖サミット」として立候補
する意思を表明した。
 あっと驚く豹変ぶりであり「遅出しジャンケン」と非難されたのも当然の話で
ある。
 「北海道を世界にPRする」というが、最小限の財政負担の額も、短・長期の
経済効果も明らかにされていない。これでは、すべてを官邸主導で進めようとす
る「安倍官邸の操り人形だ」と非難されても仕方がない。
 8月は洞爺湖温泉の最盛期で、すでに修学旅行の予約も受付済みであるが、こ
れらのキャンセルを含め、サミット期間中にうける地元温泉街の制約や経済的損
失額も示されていない。
 
 北海道新幹線の札幌延長は現職高橋の最優先課題として位置づけられていた
が、地元自治体の負担をどうするか?実際に北海道財政は負担に耐ええるかの検
討結果も示されていない。大型公共事業を無制限に受け入れた結果が、北海道財
政の危機を招いている現状に対する反省もない。ハコモノのばらまきが招いた夕
張ショックに学ぶ態度もうかがえない。
 今年は国鉄民営化~JR北海道誕生から20年の節目の年である。黒字経営は
JR東日本とJR東海・JR西日本の本州三社のみで、JR北海道は、JR四国・
JR九州、いわゆる離島三社の一社として共に四苦八苦している。赤字路線の廃
止の余波はまだおさまっていない。昨年の4月、第三セクター運営の池北線(十
勝ワインで有名な池田と北見を結ぶ)が道の支援撤退により廃線に追い込まれ、
沿線自治体の財政支出により細々と代替バスが運行されている。
 JR北海道は赤字路線を廃止した現在も、採算の合う路線は営業総距離の三分
の一のみで他の三分の二は非採算路線として赤字経営をしている。


 ◇新幹線より地方路線の維持が先決


 新幹線の札幌延長による経済効果について北海道経済界はいろいろな試算を
行い、ばら色の夢を描いているが、新幹線により東京~札幌間の所用時間が短縮
されても、輸送コストを含めて既存の航空路線と比較してどうなのかについての
細かな試算の中味は明らかにされていない。仮に航空路線よりメリットがあるに
しても航空路線から新幹線に観光客が移るだけで、観光客の絶対量が増える保障
はない。台湾・香港・中国本土・韓国等アジアやオーストラリアなどの観光客が
成田や関西空港からわざわざ新幹線に乗り継いで北海道に来るとは考えられな
い。
 私は航空機の旅より鉄道の旅の方が好きである。しかし、その鉄道の旅も在来
線で景色を堪能し、駅弁に舌ずつみするところに意味がある。函館~札幌間新幹
線はトンネルが75%で、噴火湾や樽前山・羊締山の雄大な景色を眺める機会も
制約されるだろう。
 しかも問題なのは新幹線の開通と共に在来線の運営がJR北海道の手を離れ
ることは確実であるが、分離後の姿は全く見えていないのが現状である。新幹線
で潤うのは札幌と途中停車駅のある町だけで、取り残された他市町村は切り捨て
られることになる。


 ◇新幹線工事で受注できるのは大手ゼネコンのみ
        地元に落ちる金は一割程度に過ぎない


 建設路線の大半を占めるトンネル工事は、地元の業者は下請けにも入れないの
が実態である。現在、工事中のトンネル工事も東京や札幌などの大手ゼネコンが
受注している。今後、地元業者が受注できるのは、線路地盤の土盛り工事や、工
事に伴う仮設道路の施設程度で地元道南地方に落ちる金は工事費全体の1割程
度も見込めるかどうか。このような実態が示されないまま、新幹線札幌延長が北
海道政の最重点課題になるなんてとんでもない話である。
 格差は北海道の中でも拡大している。人口の札幌一極集中は一層加速化し、地
方は寂れ、集落は消えようとする歪んだ北海道、この現実を直視することこそ最
重点課題であるが十分に議論されたとは云えない。
 荒井候補は新幹線の前に地方路線の問題があると訴えたが有権者にはとどか
なかった。


 ◇地域医療の確保が緊急課題~医師不足をどうする


 無医村・地域医療の崩壊が深刻になって久しいが、新研修制度の発足で道内で
は医科大学(北大医学部・札幌医大・旭川医大)すら人材不足になり、大学の医
師引き上げで全道の医療機関は悲鳴をあげている。医師不足で産科・小児科・外
科が閉鎖されたり、分娩を取りやめる病院がでたりで、安心して子どもも生めな
い・育てられない事態である。
 北海道は道立の札幌医科大学を設置しているが、この大学が北海道内での医師
確保に機能しているのか疑問視されている。独立行政法人として経営主義に陥り、
地域医療への貢献という本来の使命がないがしろにされているようである。
 荒井候補は、独立行政法人を辞め、道立大学として北海道地域の医師確保に機
能するよう改革すると訴えた。また、荒井候補は医師を道職員として抱え、地方
の医療機関に派遣し地域医療の崩壊をくいとめたいと訴えていたが、この後者の
部分については現職高橋も荒井候補の政策を踏襲したようであるが、札幌医大の
独立行政法人の再検討については口をつぐんだままである。


 ◇経済・雇用政策~企業誘致か?企業育成か?


 経済・雇用政策は北海道の最重要課題である。北海道の有効求人倍率は0.53
で全国41位。若者は仕事がなくて景気の良い都府県にどんどん流出している。
現職高橋は企業誘致に、対する荒井は地場企業育成に軸足を置いた政策を訴えて
いた。企業誘致は誘致企業のご都合主義によって支配されやすい。炭鉱の閉山~
夕張が好例。最近の例であるが、道北の士別市で高級スポーツウエア縫製工場(本
社東京)が閉鎖され、地元雇用の約40人が全員解雇され再就職のめどは立って
いない。同社は80年代後半、首都圏の人出不足から士別市に工場を開設したも
のであるが、安価な輸入品との競合から撤退を余儀なくされたものである。地元
企業であれば、業種転換等に道を求めると思うが、誘致企業なるがため、採算が
合わなければアッサリ撤退という無責任な行動がとられている。
 ズッテもハッテも地域に根の張った地場企業を育成しなければならない。公共
事業に依存せざるを得ない建設業の職種転換も重要な課題だ。自動車部品メーカ
ーの一部が苫小牧東部工業団地に進出してきたが、道央県一極集中では困る。私
の住む旭川を含む道北地方の有効求人倍率は0.4台で、全道平均より0.1落ちて
いる。このように北海道の中でも格差が歴然としているとき、地域再生と地場に
根を張った企業育成は車の両輪である。キメ細かな企業育成・業種転換による産
業構造の転換を図らなければ北海道の経済・雇用に未来がない。


 ◇中央直結(中央との太いパイプ)は所詮中央依存に過ぎない


 現職高橋の圧勝は疲弊した北海道が中央依存に活路を求めた証であると見る
むきもあるが、私はこれを否定したい。
 日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)交渉は今年の大きな課題であ
るが、EPAの核となる自由貿易協定(FTA)で最も懸念されるのは、農産物
の関税の撤廃問題である。万一、オーストラリアの要求の一部でも受け入れるな
らば北海道の農業と関連産業は壊滅的打撃を受けることになり、谷底にある北海
道経済の死命を制されることになる。
 荒井候補はこのEPA交渉について「知事みずから北海道農家の先頭に立って
総理官邸を取り巻く」気概と行動が必要だと訴えたが、現職高橋は「私は農業団
体の代表を引き連れて官邸に乗り込み、直談判をする」と中央との太いパイプを
誇示したが、道州制特区法の結末や洞爺サミットの例を見ても、直談判どころか
手の平の上で踊らされる操り人形にしか過ぎないことを如実に物語っている。


 ◇両党(自民・民主)敗北・「なおみスマイル」のひとり勝ち


 北海道知事選挙の結末を一言で総括すれば、「自民・民主両党の敗北と<なお
みスマイル>のひとり勝ち」ということになる(自民党は推薦候補が知事選では
大勝したが、議員選挙で敗北、民主党は議員選挙で議席を伸ばしたとはいえ、知
事選は大敗した)。
 北海道は旧社会党時代から労働組合と農民組織が実働部隊として大きな役割
を発揮してきたが、今回の選挙ではこの頼みとする労組の動きが鈍く、組織選挙
は展開されなかった。かっての炭労・国鉄労組がなくなり、連合北海道の中核は
北教組・自治労・その他官公労組が担ってきたが、北教組は学テや教育改革で槍
玉にあげられ、自治労は夕張ショック、その他官公労組も何かと公務員への風当
たりの強い中で、組織の防衛が精一杯というところであった。
 


 ◇候補者決定の遅れ


 民主党は4年前の知事選でも候補決定の段階で大きな誤算をして勝機を逃し
てしまった。今回は公募制による選考を試みたが、民主党の周囲には人材は集ま
らなかった。公募では、自ら進んで名乗りをあげる、いわゆる自薦候補は皆無で、
本人の了解も得ず勝手に推薦する無責任な他薦候補だけが並びたてられた。その
中には旭川出身の財務省のキャリア官僚や旭山動物園長の顔もあった。
 公募制に失敗し、最後は国会議員が責任をとる形で荒井候補に決定した。前回
の失敗と同じ徹を踏むこととなった。候補者決定の遅れが決定的な敗因である。
この広い北海道、各地域・市町村の抱えている課題も一様ではない。住民と膝を
合わせ、政策を訴える時間はあまりにも短かった。
 


 ◇道都札幌市長~政策選択型の選挙で現職上田勝利


 道都札幌の市長選挙は、民主・社民・市民ネット推薦の現職上田が、自民・公
明推薦の清冶候補を破り再選された。
 荒井~上田、高橋~清冶の連携プレーを仕掛けたが結果はねじれ現象を生んだ。
札幌市の財政状況もこれまた深刻である。過去のインフラ整備などで市債残高は
約2兆1千億円に上る。
 現職上田は「札幌は主な社会資本整備は終えた、巨額な借金を子どもや孫の時
代に残すわけにはいかない」として、大型事業を抑え、公共施設の維持補修など
の小規模事業を展開したり、ソフト事業を展開することで住民福祉と経済の活性
化を図ると主張するのに対し、清冶候補は「節約するだけでは経済が停滞する」
として道央自動車道から市中心部への自動車専用道路建設などの超大型公共投
資で経済の活性化を図ると、国土交通省出身らしい政策で競ったが、賢明な札幌
市民の多くは、「財政再建とソフト事業重視」「ムダな道路・ハコモノは要らない」
と現職上田に軍杯をあげた。
 


 ◇「政冶を変える」と、小樽商大生二人が選挙に挑戦


 無関心・無気力と云われている若者の中で、小樽商大の現役学生二人が札幌市
議と小樽市議に立候補し、札幌市議は4月8日の投票で当選。小樽市議は22日
に投票が行われる。「政治家は雲の上の存在ではない。私たち若い世代にもでき
ることがある」「今の政治は若者と遠すぎる。だから若者は政治に無関心になる」
「私も派遣社員だった。頑張れば、生活や政治を変えられることを証明したい」
(3月27日「北海道新聞」)と語っている。それぞれ民主党、新党大地からの立
候補で、両君とも党の公認候補であるが選挙戦のスタッフはほとんどが学生で、
自前の選挙戦を展開している。選挙と言えば名前の連呼で、室内におれば名前も
確認できず、タダの騒音。若者・学生で新鮮な風を起こしてもらいたい。
 


 ◇民主党はどんな日本・北海道を描くのか


 私の住む旭川では、旧社会党の孤塁を守ってきた二人の市会議員がいたが、高
齢のため今期限りで引退する。議会では常に正論を吐く闘士であったが歳には勝
てずの引退。「旧社会党は老兵と共に消えるのか?」!まさに感慨深いものがあ
る。
 1947年の初代の北海道知事は社会党公認の田中敏文であった。当時35歳の
北海道庁林政係長、北海道官公労の議長だったがために北海道知事候補に担がれ
た。第1回投票で法定得票をクリアーできず、激しい決戦投票で当選。一介の係
長から3階級特進。まさに北海道の夜明けを象徴するできごとだった。
 当時私は中学3年生だった。学校の先生たちがメガホンで駅頭に立ち田中候補
の応援をしている光景は今でも鮮明に思い出される。
 田中候補は1958年春3期目の改選を一年後に控え、早々と3期をもって引退
することを表明した。次期候補は衆議院議員の横路節雄(現衆議院副議長横路孝
弘の父)に決定した。早速8月より遊説が始まる。当時、日本社会党道本部の青
年部長として書記局に専常していた私は、横路遊説隊の先発オルグの任務につい
た。
 横路節雄は炭鉱夫の子として夕張の炭住長屋で生まれた。秀才の節雄は札幌師
範学校の給付生として学業を終え、札幌の小学校で教壇に立つ。野呂栄太郎(日
本共産党32年テーゼの理論的支柱となった「日本資本主義発達史」は彼の慶応
義塾大学の卒業論文。33年の共産党一斉検挙により逮捕され、翌年2月拷問に
よる病状悪化で獄死)の妹・美喜と職場結婚。その長男が孝弘である。
 この広い北海道を事前運動で二巡し、本番選挙戦は道路の整備されていない北
海道では大型トラックを仕立ての強行軍だった。節雄の早世はこの選挙の無理が
原因だった。まさに身体を張った戦いも効なく惜敗した。当時の首相は岸信介。
戦いは安保条約改定阻止闘争(60年安保闘争)へと引き継がれた。
 それから24年、約4半世紀が経過して、息子の横路孝弘が登板し北海道政を
奪還した。「新開拓時代」をかかげたこの戦いでは、「横路孝弘と勝手に連帯す
る会」が各地に生まれ、勝手連方式の先鞭となった。
 「不可能を可能にする」と言う候補者本人の気迫のもと、道庁官僚が24年か
けて築いた集票装置~「道庁マシン」と言われた保守の岩盤を砕いて勝利を手に
することができたのであった。
 
 民主党に対して2つの問題提起をしたい。党内がバラバラでは戦いにはなら
ない。憲法・安全保障等々は云うに及ばず、地方問題についてもはっきりして
もらいたい。地方分権にしても、分権の主体となる市町村像について曖昧であ
る。民主党はどんな日本・北海道を描くのか依然として見えてこない。
 議員の政治姿勢についても信頼できない。ここでも政権与党との違いが明確で
ない。
 北海道庁の行政改革で道庁職員も住民も大きな痛みを受けているのに、議員だ
けが蚊帳の外という感じである。市町村においては住民と議会は近い関係にあり、
夕張ショックの影響もあって議員定数・議員報酬などの見直しがすすんでいるが、
北海道議会議員の報酬、日当・旅費等の費用弁償の問題、政務調査費、海外視察
旅行旅費等で疑惑をもたれるものが沢山ある。民主党議員は率先して自らの襟を
正さなければ有権者の政治不信は深まるばかりだ。
 


 ◇統一自治体選挙の後半戦がはじまる
      北海道内は 13市長・35町村長 27市議・102町村議


 注目の夕張市長選は7人の立候補者、3人の地元出身者に対して4人が愛媛・
千葉・青森など遠路はるばるからの落下傘部隊である。
 13市中半数以上の7市が無投票。その中には芦別・赤平・三笠・砂川等の旧
産炭地がある。夕張と同じく深刻な問題を抱えているのに、首長が無投票で選ば
れるとは情けない話である。選挙の実施される6市も自民・民主の政党対決は滝
川市の1市のみ。あとは夕張で共産党の公認候補がいるだけで、民主党も自民党
も傍観のかまえだ。函館は身内の争い。夕張を含め財政危機に見舞われている自
治体は自らの改革と共に国との戦いが重要になって来るが、この事態を傍観して
いるようでは民主党も責任政党とは云えない。
(4月17日記・筆者は旭川市在住・元旭川大学非常勤講師)

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