名古屋市長選挙と山口県参院補欠選挙結果から参院選展望

名古屋市長選挙と山口県参院補欠選挙結果から参院選展望   仲井 富

◆名古屋市長選挙で自民と組んで連敗 民主王国崩壊

 4月には重要な選挙が二つあった。一つは4月21日投票の名古屋市長選挙であり、
も一つが4月28日の山口県参院補選だった。

 3年前までの愛知は民主党最強の地盤といわれた。07年、09年と参院選では3名
区2名を当選させた。08年の衆院選挙では15選挙区すべてを制する完勝だった。
名古屋市長選挙では民主党は2年前に現職の国会議員を出して、トリプルスコア
で惨敗した。今回は候補者擁立はできなかったが、前回と同じく河村打倒のため
に、自民候補を支持したが、ダブルスコアの惨敗だった。

 名古屋市長選は21日投開票され、無所属で現職の河村たかし氏(64)=減税日
本推薦=が、新人2人を大差で破り、3回目の当選を決めた。自民県連推薦、民主
県連支持を受けた元名古屋市議藤沢忠将氏(43)、共産推薦の元愛知教育大非常
勤講師柴田民雄氏(48)は及ばなかった。地元紙中日新聞は以下のように報道し
ている。

[選挙戦は、市民税減税の継続か廃止かが最大の争点となり、「5%減税の継続」
を訴えた河村氏に軍配が上がった。知名度の高さとともに、既得権と対峙(たい
じ)して改革を進める姿勢が評価され、得票率は6割を超える圧勝だった。河村
氏は記者会見で「選挙は世論調査ではなく、市民の政策の選択。ここからどうや
って、実現できるかが重要になる」と勝利宣言した。

自民、民主など河村氏に批判的な勢力が過半数を占める市議会に対して、「減税
も市長、市議報酬の年800万円への恒久化も私の『一丁目一番地』の政策。市民
の明確な選択を否決することはできない」と求めた。藤沢氏は、市民税減税の廃
止を軸に市政の刷新を訴え、自民党幹部らが相次ぎ名古屋入りしててこ入れした
が、浸透しなかった。柴田氏も、減税をやめて福祉施策を充実するよう訴えたが、
伸び悩んだ]。(中日新聞2013・4・22)

 投票率は39.35%だった。河村氏が市長を辞職して再出馬した出直し市長選と
愛知県知事選、市議会解散の是非を問う住民投票の「トリプル投票」だった2年
前の前回(54.14%)に比べ、14.79ポイント減。4年前の前々回(50.54%)から
も11.19ポイント減った。

 4年前の衆議院選挙で全15選挙区を制し、2年前の参院選挙では、菅首相の消費
税発言で敗北したが、愛知だけは3名中、2名を当選させるという圧倒的な「民主
王国」だったが、二度の市長選挙で惨敗し「王国」は完全に崩壊した。

◇名古屋市長選確定得票 4月21日投開票 当日有権者数1803,607人 当
427,542 河村たかし 無現<3> =減
   192,472 藤沢忠将  無新 自推、民支持    67,353 柴田民雄  無
新 =共

◆自民王国山口では脱原発を掲げて惨敗 飯田哲也を下回る

 山口選挙区の参院補欠選挙は、4月29日の投開票で、自民党の江島潔がこれま
たダブルスコア以上の差で民主党の平岡秀夫を破って当選した。全県選挙として
は、2012年7月の飯田哲也の出馬した山口県知事選挙があった。両者を比較する
と、ともに脱原発を掲げてたたかったが、今回はさらに民主中心の全県選挙での
敗北ぶりが明らかである

 保守王国と呼ばれる山口県にあって、2004年の第20回選挙以降、定数2の議席
を自民が独占している。

◇当日有権者数:1,189,665人  投票率:38.68%(前回比:-23.23ポイント)

当落 候補者名 年齢 所属党派 新旧別 得票数 得票率


当  江島潔 56 自由民主党 新 287,604票 63.4%
   平岡秀夫 59 無所属民推 新 129,784票 28.6%
   藤井直子 60 日本共産党 新  25,944票 5.7%
   河井美和子 50 幸福実現党 新  10,096票 2.2%

前年2012年の知事選挙結果はは以下の通りとなっている

当選 山本繁太郎  自民推薦  252,461票
次点 飯田哲也   無所属   185,654票
   たかむら勉  無所属   55,418票
   みわしげゆき 共産党   37,150票

 自民党は知事選挙より3万5千票伸ばしたが、民主推薦の平岡は、党首、幹事長、
菅前総理と総力を結集してたたかったにもかかわらず。飯田氏の票よりさらに5
万票以上少ない得票結果となった。脱原発と上関原発中止を掲げたが、地元の熊
毛郡上関町の得票は、平岡の1322票に対して643票。知事選挙では山本の1496票
に対して飯田氏は775票であった。原発立地予定地域でも民主党の脱原発方針は
支持されなかった。信用されていないということだ。

 民主党最強の地盤だった名古屋市長選挙で再び惨敗。また自民最強の地盤であ
る山口で惨敗して、とどめを刺された。消費税、沖縄、ダム、道路などマニフェ
ストと正反対の大うそで、政権を失った根本的な総括もなく、右往左往するだけ
でまったく定見のない民主党の姿が選挙を通じて炙り出されている。

 次の参院選挙は以下の定員だが、16の複数区は別としても、31の定員1名区を
考えれば、恐るべき結果が待っている気がする。ちなみに菅首相の消費税値上げ
発言で敗北した3年前の参院選挙では、1人区の民主党当選者は8名だった。

【選挙区の定員】
議席数 選挙区


5議席 東京都
4議席 大阪府、神奈川県
3議席 埼玉県、千葉県、愛知県
2議席 北海道、宮城県、茨城県、新潟県、長野県、静岡県、京都府、兵庫県、
    広島県、福岡県
1議席 青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、富山県、
    石川県、福井県、山梨県、岐阜県、三重県、滋賀県、奈良県、和歌山県、
    鳥取県、島根県、岡山県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、
    佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

 (筆者は公害問題研究会代表)
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