敬愛する加藤宣幸様へ

リヒテルズ直子

 突然のご訃報に接し、言葉を失いました。
 この1年ほど、気になりつつもオルタマガジンへの寄稿ができず、ご無沙汰ばかりしておりました。いつもの御元気なご様子にすっかり安心し、またお会いできるものと思っておりましたので、真希子様からのご訃報に触れ、これまで身に余るお引き立てをいただいておりながら勝手ばかり申し上げておりましたお詫びもできなくなってしまい、ただただ、痛恨ばかりが残ります。本当に申し訳ありません。

 加藤様に初めてお会いしたのは、今は亡き、ほんの木の元社長、柴田敬三さんのお世話で、戸塚のある会場で小さな講演をさせていただいた時だったと記憶しています。会場の中程から、熱心に耳を傾けていただき、その後、少しお話をさせていただいたのを覚えています。程なく、オルタマガジンへの寄稿をお勧めいただき、オランダから稚拙な原稿を送らせていただいておりました。オルタマガジンには、錚々たるご経歴の皆さんが執筆をしておられ、その中で、いつも、緊張の思いで投稿しておりましたが、加藤様には、原稿をお送りする度に、過分の励ましの言葉を頂戴し、もったいないことと思っておりました。

 日本に帰国した折にも、加藤さまには、2度、3度と、オルタマガジンの執筆者の方々にお目通しをさせていただく機会を作っていただきました。いつも、90歳を超えておられるご高齢とはとても思えないエネルギッシュな行動力に、若い私の方が、どれだけ背中を押される思いをしたかわかりません。
 しかし、そうして社会の不条理を見つめ、戦っておられる間にも、どんなにかお体やお心を消耗されていたことかとお察しするには余り有ります。最期まで、信念を曲げることなく、力の限りを尽くし、筆を持って社会の不条理と戦っておられたお姿に、身近に触れさせていただいたことを誇りとし、これからも加藤様の生き方に倣い、少しでも後に続くことができれば、と念じております。

 世の不条理への戦いのために生涯を捧げられた加藤宣幸様のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆さまのご心痛を深くお悼みしつつ、言葉には尽くし切れませんがお悔やみとさせていただきます。

 (オランダ在住、社会・教育研究家、「オルタ」編集委員)

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