【コラム】あなたの近くの外国人(裏話)(9)

日本語スピーチ大会さまざま

坪野 和子


 もう梅雨、私事ですが、今年度は2校兼務となりました。昨年まで勤めていた高校では「学習サポーター」ということで英語科のT.Tを兼ね、放課後は外国ルーツの生徒の日本語・教科学習指導という役割になりました。また新たに勤めることとなった定時制高校夜間部では職名は、昼間の学校の時の職名「日本語コミュニケーションアドバイザー」から「多文化共生推進員」と変わりました。この仕事は主に日本語指導と授業中の学習補助を行います。

 今回の定時制夜間部ですが…生徒は日本人とパキスタン人男子5人。この学校の私の生徒は全員パキスタン人ということになりました。インド滞在中に使っていた買い物や土地の人とのコミュニケーション・レベルのヒンディ語が役に立つとは思ってもいませんでした。ヒンディ語とウルドゥ語は文字こそ異なりますが、宗教的な習慣に関係ある言葉や言い回しを除外すれば、同じ言語と言ってもいいでしょう。言葉が通じるので楽といえば楽ですし、楽しいです。
 ただいま、ラマダン中です。学校側の理解と配慮を感じながら新しい職場でやりがいを感じているところです。この勤務校での話題はいずれ。

 今回は日本語スピーチ大会のさまざまな様子。

◆ 1.日本語でスピーチ

 私は日本以外の国で外国人スピーチを地域で定期的に行っている国がどのくらいあるのか知りません。全国レベルの公共団体や教育団体のコンテストとは質の違いを感じています。外国人日本語スピーチは、その地域の特性やボランティアさんたちの考え方が反映していて、頑張っている外国人の姿も楽しいのですが、日本人とは何かと考えさせられる一面もあります。

 日本語スピーチ…コンテスト形式で順位を争うもの、発表会形式で順位なしのもの。コンテストの場合、ルールや参加資格が厳密な地域、すごく緩くて応援団の聴衆が勝敗を決める地域、さまざまです。また、毎年テーマを出してそれに沿ったスピーチを行う地域…自分の出身国・地域を中心としたスピーチというより紹介のプレゼンテーションに近い内容、日本について褒める・文化摩擦を感じたことなど「日本」を語る内容、自由テーマは政治・宗教抜き。
 厳密な地域では在住年数制限、日本の二重国籍やハーフ・クォーターでない人、現地での日本語学習歴の年数など公正さを重視しています。また緩い地域では観覧のお友達が多いスピーカーが入賞する、さらに審査が曖昧な地域では審査員の市長さんが気に入ったスピーカーが入賞する…など。コンテストではなく発表会形式のスピーチ大会。在住20年でもそれほど上手ではないけれど共感できる訴求力のあるスピーチをする人、小学生。そして共通して留学生たち。

◆ 2.日本での体験でよく出てくるトピック

★トイレ。
 ボタンがわからないので押したらお湯が出てきた。緊急を押してしまって人が来た。…これらは、英中韓以外の言語の人々です。この3言語いずれかが第二言語である人たちも含まれます。日本のトイレはボタンが多すぎてパニックになる人が多いようです。

★電車の不思議
 なぜみんな寝ているの? なぜ遅延に対して細かいの?

★感動の人間関係
 日本だからというのではなく…。

 次回はラマダン。

 (高校日本語講師&専門学校時間講師)

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