普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続きに関する第三者委員会

【沖縄の地鳴り】

資料:普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続きに関する第三者委員会 検証報告書要約版


●はじめに

 2015年7月16日 名護市辺野古の新基地建設のため沖縄防衛局が出した公有水面埋め立て申請について、前県政が承認した手続きの瑕疵(かし)の有無を検証してきた第三者委員会の大城浩委員長は16日午前、翁長雄志知事に報告書を手渡した。埋め立て申請書は法の要件を満たさず、承認した手続きに法的瑕疵があると結論づけた。

 報告書を受け取った翁長知事は会見で「顧問弁護士らの意見を聞き、内容を精査した上で対応を考える。最大限(報告書を)尊重することに変わりはない」と述べた。早ければ8月中にも承認の取り消しまたは撤回を判断する見通し。委員会の報告書は(1)埋め立ての必要性に合理的な疑いがある(2)埋め立てで生じる利益と不利益を比べると合理的ではない(3)環境保全措置が適正と言い難い(4)法律に基づく既存の環境保全計画に違反している可能性が高い — などと指摘。公有水面埋立法上の瑕疵を認定した。普天間飛行場の移設の必要性をもって、ただちに辺野古の埋め立ての必要性があると判断した県の審査に欠落があり、審査も不十分である点も挙げた。

 以下は沖縄県ホームページに掲載された「普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続きに関する第三者委員会 検証報告書要約版」である。

●検証報告書要約版

1 はじめに

 本報告書は,沖縄県が平成27年1月26日に制定した普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会設置要綱(以下「設置要綱」という。)に基づき設置された「普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会」(以下『当委員会」という。)の検証結果を報告するものである。
 当委員会への諮問事項は,「普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続(以下「承認手続」という。)に関し,法律的な暇漉の有無を検証する」ことであり,当委員会はこの点を検証し,その結果を,設置要綱第3条に基づき本報告書により沖縄県知事に報告するものである。

2 公有水面埋立法の要件

 公有水面埋立法は,同法第4条第1項において,「都道府県知事ハ埋立ノ免許ノ出願左ノ各号二適合スト認ムル場合ヲ除クノ外埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ズ」と規定し,公有水面埋立についての主な免許要件を規定している(なお,国の場合にも,法第42条第3項により準用されている)。
 公有水面埋立法第4条1項が定める公有水面埋立免許の要件は下記のとおりである。

          記
 1号 「国土利用上適正且合理的ナルコト」
 2号 「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止二付十分配慮セラレタルモノナルコト」
 3号 「埋立地ノ用途ガ土地利用又ハ環境保全二関スル国又ハ地方公共団体(港湾局ヲ含ム)ノ法律二基ク計画二違背セザルコト」
 4号 「埋立地ノ用途二照シ公共施設ノ配置及規模ガ適正ナルコト」
 5号 「第二条第三項第四号ノ埋立ニ在リテハ出願人ガ公共団体其ノ他ノ政令ヲ以テ定ムル者ナルコト並埋立地ノ処分方法及予定対価ノ額ガ適正ナルコト」
 6号 「出願人ガ其ノ埋立ヲ遂行スルニ足ル資力及信用ヲ有スルコト」
 また,公有水面埋立法の一般的理解として,これらの要件の前提となる要件として「埋立の必要性」が要件として要求されている。

 従って,本件埋立承認が適法であるためには,これらの要件をすべて充足する必要がある。当委員会は,本件埋立承認が,「埋立の必要性」を含む法第4条第1項各号の要件を充足するか否について検証を行った。

3 検証結果

 当委員会の検証の結果,本件公有水面埋立出願は,次のとおり公有水面埋立法の要件を充たしておらず,これを承認した本件埋立承認手続には法律的暇漉が認められる。

 第1に,「埋立ての必要性」については,(1)本件埋立対象地についての「埋立ての必要性」については合理的な疑いがあること,(2)審査において「普天間飛行場移設の必要性」から直ちに本件埋立対象地(辺野古地区)での埋立ての「必要性」があるとした点に審査の欠落があること,(3)その審査の実態においても審査が不十分であることなどから,本件埋立承認出願が「埋立ての必要性」の要件を充足していると判断することはできず,法的に暇漉があると考えられる。

 第2に,法第4条第1項第1号の「国土利用上適正且合理的ナルコト」との要件についても,本件埋立により得られる利益と本件埋立により生ずる不利益を比較衡量して,総合的に判断した場合,「国土利用上適正且合理的ナルコト」とは言えず,法第4条第1項第1号の要件を充足していないものであり,法的に暇漉がある。

 第3に,法第4条第1項第2号については,(1)知事意見や環境生活部長意見に十分に対応しておらず環境影響評価法第33条第3項の趣旨に反すること,(2)環境保全図書の記載は定量的評価ではなく生態系の評価が不十分であること,(3)具体性がなく,明らかな誤りの記載がある等様々な問題があること等からして,その環境保全措置は,「問題の現況及び影響を的確に把握」したとは言い難く,「これに対する措置が適正に講じられている」とも言い難い。さらに,その程度が「十分」とも認め難いものであり,「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止二付十分配慮セラレタルモノナルコト」の要件を充足していないものであり法的に暇漉がある。

 第4に,法第4条第1項第3号については,本件埋立承認出願が「法律二基ク計画二違背」するか否かについて,十分な審査を行わずに「適」と判断した可能性が高く,「生物多様性国家戦略2012-2020」及び「生物多様性おきなわ戦略」については,その内容面において法第4条第1項第3号に違反している可能性が高く,さらに,琉球諸島沿岸海岸保全基本計画については,同計画の手続を履践していない点において,結果的に同第3号に違反しており法的に暇漉があると考えられる。   以上


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