編集後記103

【編集後記】

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◎『われわれは彼の「掌のひら」で踊っている。不愉快だが認めねばならない。
彼とは石原慎太郎東京都知事だ』これは、「オルタ」の今号に共同通信社客員論
説委員岡田充氏から『「固有領土」の虚構捨て大局を~尖閣問題から何を学ぶか
~』として御寄稿頂いた冒頭の言である。国民の多くが石原の煽る「敵対型ナシ
ョナリズム」に乗せられていることを冷静に指摘されている。

軍国主義時代の関東軍参謀は1928年に張作霖爆殺、1931年に柳条湖の線
路爆破などと勝手に武力を動かし、これを中央政府に追認させ、やがて国を滅ぼ
した。これは昭和史の教えるところだ。二度と繰り返してならないこの史実を石
原は承知のうえで、領土問題が国民感情に訴え易いのを利用し、日中両国民を煽
動・挑発しているのである。一歩譲って彼が何を言おうが構わないとしても、彼
に住民の生活と直接関係のない遠隔の土地を自分の野心のために税金を使って購
入する権限があるのか。住民自治の本旨が問われる。

◎領土問題と言えば、メドベイジエフ・ロシア首相の国後島訪問について望月喜
市北大名誉教授から『領土交渉は中断(水入り)の時期に入った~作戦を練り直
せ「4島(兎)を追うものが1島(兎)も得ず」~』という提言があった。最近、
日本のマスコミは何か思わせぶりな「領土交渉の再活性化」を撒き散らすが、ど
うやら、これは外務官僚のつくり話らしい。尖閣・竹島・4島いずれにせよ、た
だ「固有の領土」論を振り回すだけでなく、まず「係争の地」であることを認め
たうえで、現実的に利害を調整すべきなのである。

◎ロンドンオリンピック開幕を直前に控えた日本スポーツ界の課題を三ツ谷洋子
法政大学教授にお聞きした。オルタとしては2004年7月のアテネオリンピッ
ク、2006年7月サッカー・ワールドカップ・ドイツ大会の時と、今回は3回
目となる。国際的な大イベントの時にだけスポーツを論ずるのは面映ゆいが、私
たちは尖閣問題と同じように老獪石原がオリンピックを政治的小道具として利用
するのを黙殺すべきではないと思う。

IOCによればマドリード・イスタンブール・東京の3候補地のなかで住民の支
持は東京が最も低いという。三ツ谷教授は東京が辞退し、積極的にイスタンブー
ルを推薦すべきだと言われる。私も賛成である。イスラム圏では一度もオリンピ
ックが開催されていない。もし実現すれば素晴らしい平和のためのイベントにな
り、日本も貢献したことになる。

◎わが国だけでなく、どこの国でも主な地方選挙の動向は直近の国政選挙結果を
占うものとして重視される。先に行われた沖縄県議選挙結果について、市民運動
家で現地情勢に詳しい公害問題研究会代表の仲井富氏から『民主壊滅の沖縄県議
選を考える』という投稿があった。普天間やオスプレイ配備に姑息な対応で、沖
縄の民意に応えない「自民党野田派政権」の末路は、分析された各種の数値に明
示されている。

◎【運動情報】野田政権は小沢離党による党内バランスの変化に乗じ、TPPに
関する危険な動きを加速する気配だ。これについて農業者の濱田幸生氏から緊急
情報が寄せられた。

◎世界の目は、経済危機にあえぐ欧州、わけてもドイツとともにEUを牽引する
フランス新大統領の挙動に注がれている。【北から南から】では、まさにそのパ
リからホットな現地情報と世界経済の問題点について、鈴木宏昌早稲田大学名誉
教授からご寄稿をいただいた。

◎【オルタのこだま】には読者の梶光雄さんから「オルタ101号原発対談」を読
んでという感想の投稿をいただいた。ご承諾を戴き原文のまま載せた。

◎【日誌】6月23日明大で社会環境学会の理事会・研究総会・懇親会。27日
小暮剛一・篠原令・唐笠一雄各氏と中国事情懇談。28日三ツ谷洋子法政大学教
授インタービュー及び懇談。29日仏教に親しむ会参加後懇談会。7月9日横浜・
社会福祉法人いきいき福祉会訪問・横田克己理事長・小川泰子専務理事と台湾・
花蓮の王珠恵慈済大学副教授・初岡昌一郎氏と高齢者介護に関する日台人材交流
について終日協議・ラポール三沢施設視察・懇談。

10日東京・本郷・社会福祉法人竜岡会を王副教授と訪問し大森順方理事長と日
台人材交流協議。夜、王さん家族と杉本美樹枝・加藤真希子など懇親会。16日
代々木公園の『さよなら原発10万人集会』に家族で参加。炎天下、主催者発表
17万人という多数の市民で会場は埋り、脱原発の熱気がムンムンとみなぎる。
坂本龍一・内橋克人・大江健三郎・落合恵子・澤地久枝・瀬戸内寂聴氏等呼びか
け人のスピーチがマイクから流れるたびに会場がどよめく。最後に立った90歳
の寂聴さんが呼びかける声は若々しく誰もが感動した。
                   (加藤宣幸 記)