編集後記105

【編集後記】
◎18日現在、案じられたように中国の反日デモはかってないほど激しくなって
いる。時代錯誤の石原老人が狙ったのは、東京都が買収の烽火をあげて野田政権
を国有化に追い込み、中国に猛反発させて両国の領土問題という最も燃えやすい
ナショナリズムに火を点ずることだ。

 残念ながら、ここまでは石原の計算通りに進んでいる。現状でも中国に進出し
た大小二万数千社に及ぶ日本企業の経営者・従業員そして家族の心配は大変なも
のだと思う。また震災・原発の痛手からようやく立ち直ろうと、中国からの大量
の観光客を待ち望んでいた観光や商業に携わる人々の落胆も大きい。

 「尖閣」は日本が実効支配しているので、石原が騒ぎを大きくし、日本経済に
莫大な損害を発生させても、これまでのように無人島は無人島のままである。領
土問題は、戦争する、譲渡する、話し合する、しかない。実効支配している国に
とって棚上げは有利なのだ。「愛国」を叫ぶ石原がなぜこれを壊すのか。彼が時
代錯誤の中国蔑視に凝り固り、今でも「シナ」と呼ぶなど現実の隣国に向き合え
ないからである。

 現在の日中関係は「中国の輸出総額に占める対日割合が01年の16・9%か
ら11年には7.8%に減り、一方で日本の輸出総額に占める対中割合が01年
の7・7%から11年には19・7%に上昇し、中国での日本のプレゼンスは下
がり、逆に日本の中国依存度は高まるばかり」(朝日新聞)なのである。私たち
は、この事実を直視し中国に対する立ち位置を確りと定めたい。  

◎巻頭には最近の内外情勢について、中国から9月4日に帰国されたばかりの元
総理村山富市氏に『近頃、想うこと』としてインタービューに応じて戴いた。さ
らに尖閣問題では、オルタ103号で『「固有領土」の虚構を捨て大局を』と論
じた共同通信客員論説委員岡田充氏に再び『国有化と「棚上げ」は均衡するか?
―領土は空洞化する国のシンボル―』として領土問題に対処すべき方策を提起し
て貰った。

 また『竹島』に関連しては、『韓国の社会運動と大統領選挙―マスコミが伝え
ない市民社会の地殻変動―』というタイトルで私たちの多くが正しい知識をもた
ない韓国政治の実情について参加型システム研究所・JC研究所客員研究員丸山
茂樹氏に分析して頂いた。

◎民・自両党の党首選びが行われているが、なぜか国民の熱気は伝わらない。こ
れについて政治記者として長い間、政党政治の現場を観察されてきた元朝日新聞
政治部長羽原清雅氏に『「二択」の政治から「調整」の政治に―民主・自民の両
党首選挙に期待しないが―』と緊急に論じていただいた。

◎【北から南から】ではフランスと英国から偶然に教育についての便りがあった。
パリの鈴木宏昌氏からは、エリート教育機関として世界的に有名な高級官僚養成
の行政専門学院ENAが、高等教育制度の中でどのように位地付けられるのか。
「国家」は「教育」にどうかかわっているかなど。コッツウオルズの小野まりさ
んからは英国の小学校がコミュニケーション能力向上に取り組む実情についての
報告である。

◎【書評】では連合総研客員研究員鈴木不二一氏に「税と社会保障の一体改革」
が財務省の思惑通りに社会保障改革を先送りしたまま可決されたのを批判する
『消費増税の大罪』を取り上げて戴いた。

◎【日誌】8月20日初岡昌一郎・藤沢初枝・高須とし子氏と青年部OB会打ち
合わせ懇談会。31日稲城・妙心寺で「仏教に親しむ会」出席・懇親会。9月5
日キャピトル東急ホテルで「オルタ」9月号に元首相村山富市氏インタービュ-。
前日中国から帰国されたのだが、88才とは思えないお元気さであった。筆者が
かって社会党本部にいた頃、村山さんは大分の市議・県議として活躍され、国会
にこられた時には、私は党本部を辞めていた。親しくはないので「オルタ」執筆
者で村山内閣の行政改革委員会委員長代理だった竹中一雄氏と当時の与党社会党
政策審議会事務局長浜谷淳両氏にご同席を願った。ところが村山さんは私をよく
覚えておられ、2時間近くも快くお話をいただいた。14日オルタ勉強会を衆議
院第2議員会館で開き、石郷岡建・岡田充・篠原令3氏の報告を中心に尖閣をめ
ぐる日中関係・APECに賭けるロシアの動きなどを約20人で活発に3時間ほ
ど議論した。
                           (加藤宣幸 記)

【催し案内】『英国ナショナル・トラスト―これまでの百年、これからの百年―』
 講演:小野まり(NPO法人ザ・ナショナル・トラストサポートセンター代表)
 日時:11月15日(木)14:30~16:00 開場14:15
 場所:津田ホール(JR千駄ヶ谷駅前)
 会費:2000円(お茶とお菓子付き)
 申し込み・問い合わせ:ナショナル・トラストサポートセンター
  URL http://ntscj.org E-mail ntscj@ntscj.org
  Tel; 044-861-0445(月~金) FAX;044-861-0445 または 020-4666-6849