編集後記113

【編集後記】

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◎安倍総理は、民主党の惨敗・野党混乱の今こそ念願だった九条改正のチャンス
とばかり、まず手をつけたのが改憲のハードルを下げる憲法96条改正だ。これは
改憲論者として知られる慶応大学小林節教授でさえ反対する立憲主義の禁じ手だ。
いわばサッカー選手が点の入りにくいルールを変えようとするもので許されるも
のではない。

 私たちは戦後60有余年、平和主義憲法のもとで立憲主義=議会主義体制を選ん
できた。この制度はルールを厳密に守ることでしか機能しない。安倍晋三氏はこ
の大切なルールを壊そうというのだ。彼が祖父岸信介を政治家として尊敬し、改
憲による国防軍の創設をもくろんでいるのは良く知られる。改憲思想は岸・安倍
家代々のDNAなのであろうが、私の記憶に残るのは60年安保審議における岸総
理の強引な政治手法だ。

 当時、議事堂を取り囲んだ10数万の国民は安保条約の内容よりも、警察官の院
内導入・強行採決の連発などで議会運営のルール・慣習を無視し、はてはデモ鎮
圧に自衛隊の出動までも考えたという岸総理の非民主的な政治姿勢に強く反発し
た。今回、孫の安倍総理はDNAによるのか、祖父と同じように立憲主義ルール
の破壊に手を染めた。これには改憲派を含めた広般な人々が強く反発するに違い
ない。なぜ96条を変えてはいけないのか。変えないためには何をすべきか。法政
大学教授で 前大原社会問題研究所長の五十嵐仁氏に『改憲に賛成でも96条改正
には反対というのは健全な立憲主義だ』と論じて戴いた。 (今月号オルタ動画
に立憲フオーラム代表近藤昭一議員インタービュー掲載)

◎安倍総理は円安・株高に浮かれ、7月の衆参同時選挙を画策しているとの噂が
あるほどだが、外交では隣国の中・韓両国首脳と会談も出来ず、ベトナムなどの
アセアン諸国、ロシア・サウジ・モンゴル・米国などを歴訪し、麻生副総理もイ
ンド・ミャンマーを訪ね2人で盛んに中国を包囲するのだとラッパを吹く。いま
どき「他国を包囲する」の、「価値感共有外交」だなどと冷戦時代を思わせる時
代錯誤の外交感覚には、まったく驚くほかない。

靖国や慰安婦問題などでは中・韓両国どころか頼みの米国からさえ「安倍は古い
民族主義者だ」と決めつけられ、それをロビイングの金が足りなかつたと言い訳
するお粗末さである。この安倍外交について前共同通信論説員岡田充氏に「孤立
する安倍外交」として解析して頂いた。また最近の日本維新の会代表橋下氏によ
る一連の暴言について元朝日新聞政治部長羽原清雅氏から連載中の「落穂拾記」
に「橋下の「慰安婦」「改憲」発言の意味するもの」という緊急寄稿があった。

◎国民の強い反対にも関わらず、政府はTPPの交渉に入つた。残念ながら事態
は私たちが危惧する方向に進むと思われる。とくに国の根幹を揺さぶる農業の将
来について農の現場から濱田幸生氏に問題の本質を鋭く抉つて戴いた。
なお巻末に「「日本がTPPを止める」米国議員に日本の主張を伝えよう!」と
いう緊急アッピールを載せ署名賛同を求めているので各位の参加をお願いしたい。

◎今月から、オランダ在住の教育・社会問題研究者リヒテルズ直子さんのオラン
ダ通信が連載される。リヒテルズさんはオランダに住まわれるまで中南米・アフ
リカ諸国で長く教育・社会問題の調査や教鞭をとられて視野は広く、現在も2児
を育てながら精力的に諸国を飛び回られる行動的な方である。今日的な視点から
の現地レポートはきっと読者の期待に応えられると思う。(今月号のオルタ動画
に「リヒテルズさんを囲む」座談会掲載。)

◎武田尚子さんの「アメリカ・レポート」は、オバマの中東政策を識るため重要
なのでイスラエルでの演説全文を載せた。【書評】①は、オルタの執筆者石郷岡
建氏の新著「ヴラジーミル・プーチン」を石郷岡氏と同じようにロシア留学の経
験をもつ気鋭の評論家藤生健氏に執筆願った。(オルタ5月号動画に「石郷岡・
藤生対談」掲載)。②は『大原社会問題研究所雑誌』No.650・No.652に掲載され
た「戦後社会党史・総評史」研究の「構造改革論再考」加藤宣幸の証言を慶応大
学大学院の堀内慎一郎氏が分析した。【投稿】には仲井富氏から7月の参議院選
を占う名古屋市長選・山口参院補選結果の分析が寄せられた。

◎【日誌】4月24日学士会館・武田尚子さん囲む会を変更・三ツ谷洋子・坪野和
子氏と懇談会。25日千代田プラットフォーム・海外社会労働研究会「タイ、ネパ
ール、バングラデシュにおけるインフォーマル・セクター労働者の実体」。27日
初台・河上京子・堀内慎一郎氏と打ち合わせ会。27日ロシア亭・山口希望・岡田
一郎・藤生健・堀内慎一郎氏らプログレスの会メンバーと懇談。5月連休中・ダ
ビンチ展・ラファエロ展・映画「リンカーン」など。5月7日篠原令・唐笠一雄氏
と中国人学校問題。9日議員会館・立憲フォーラム代表近藤昭一議員・オルタ動
画インタービュー。9日ソシアルアジア研究会総会・周牧之東京経済大学教授講
演会・懇親会。10日榎彰東海大学教授・葬儀。矢野・三喜田氏懇談。13日ソシア
ルアジア研究会・ロナルド・ドーア ロンドン大学名誉教授「米中関係の変化と
新国際秩序」・会食会。14日佛教に親しむ会。竹中一雄氏懇談。17日・石郷岡建・
藤生健氏対談・オルタ動画撮影。18日川俣健次郎氏らと河上民雄偲ぶ会実行員会。

                           (加藤宣幸 記)

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