編集後記114

【編集後記】

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◎7月の参院選までは極力政治的な争点を隠し、もっぱら成長幻想を振りまき、
沖縄では普天間の県外移設・福島では全原発廃炉とそれぞれ党本部と現地との二
股「公約」の使い分けで国民をあざむき、維新との連携で三分の二を確保してか
ら本格的な九条改憲に取り組むというのが二月に発足した第二次安倍内閣の算段
であつた。

ところが安倍総理は成長期待を囃やす思わぬ株高に、政治は結果だとばかり胸を
はり、すつかり舞い上がつて地金を出し、憲法96条先行改定を言い出す。さらに
沖縄の猛反発を押し切つて「主権回復の日」を強行したり、公約をねじ曲げてま
でもTPP参加を決める。

しかし、株は乱高下の果に黒田緩和以後の値上がり分がほぼ剥げ落ちる。96条先
行改定の思惑は改憲派からさえ反対されて支持は広がらず、かえつて慰安婦問題
などで安倍政権の右翼的体質があぶり出され、中・韓どころか米欧主要メデイア
からも厳しい批判にさらされる。冷戦思考のままの安倍総理はしきりに「価値観
外交」なるものを掲げて原発セールスに忙しいが、肝心の中・韓両国とは首脳会
談すら持てず、ひたすら頼る米国からさえ冷遇される始末である。

今、世界から問われるのは侵略の定義はきまつていないなどとうそぶく彼の時代
錯誤の歴史認識である。時代感覚が欠けた宰相に戦後日本の平和を築いたわれわ
れの憲法をもてあそばさせてはならない。

◎反対多数の世論に押され、ひとまず96条先行改正の気配はひるんでいるように
見えるが、この機会に、私たちは憲法をどう考えるべきかを社会環境学会会長の
荒木重雄氏に『今、改憲論議に思うこと、言いたいこと』として提起していただ
いた。

また、掛け声だけで実体経済の好転が伴わず、庶民に恩恵の及ばないアベノミ
クスの先行きは、このところ一段と怪しくなつた。その本質について島根県立大
学名誉教授井上定彦氏に『安倍政権と「アベノミクス」の位置――私たちが向き合
う時代の課題――』として論じて戴き、さらに安倍政権の「成長戦略」なるもので
国民の暮らしは本当に良くなるのか。『賃金デフレ脱却と経済再生に向けての視
点』として連合聡研客員研究員鈴木不二一氏に解析して頂いた。

◎濱田幸生氏は中国における原発建設計画の具体的なデータを踏まえ、日本の脱
原発運動は中国沿岸部の原発問題にも目を向けるべきだと指摘する。これは親
中・嫌中の感情を超え、韓国の原発事情も含めて地球環境保全の全人類的課題を
東アジア連帯の視点からも考えるべきものと思う。

◎侵略戦争に対する日本の保守政治家たちの呆れた歴史認識が世界レベルで問わ
れる時、誰も否定しようがない戦時日本の蛮行をつきつける便りが期せずしてオ
ランダのリヒテルズ直子さんと韓国の金正勲氏からが寄せられた。リヒテルズさ
んについては前号でご紹介したが、金氏は全南科学大学准教授として教鞭をと
り、日韓交流に心を砕きつつ、日本文学とくに夏目漱石を研究される文学者である。

◎脱原発経産省前テント村の闘いの経過・現状・展望について『脱原発テントは
存続している』との『特別報告』を三上治氏から戴いた。脱原発には賛成でもな
かなか行動には参加できない人々もこの報告(3回連載)を読んで共感の輪を全
国に広げて頂きたい。◎『運動資料』には96条改正に反対する超党派議員連盟
『立憲フオーラム』と『平和の海を求めて―東アジアと領土問題』国際シンポ
ジューム趣意書の2点を載せた。

◎武田尚子さんのアメリカ報告は隔月になり、来月は新しい段階に進んだアメリ
カのジエンダーについて報告される予定だが今月はオルタ113号の読後感を頂い
たので武田さんのご了解を得て『オルタのこだま』として掲載した。

◎「日誌」5月23日麹町で江田五月氏も参加の江田三郎36回偲ぶ会。24日六本木・
国際文化会館で来日中の武田尚子さんと竹中一雄・高沢英子氏らと懇談。25日新
横浜・オルタ館で参加型システム研究所総会・水野和夫氏記念講演。

6月3日調布で京王線の会・岡田充・篠原令氏から最新の中国事情を聴く。竹中一
雄・荒木重雄・羽原清雅・藤生健氏参加。5日参議院会館で立憲フオーラム主
催・憲法96条改正反対連続講演会・半藤一利氏。8日立正大学・ユーラシア研究
所主催・シルクロード学生交流シンポジューム。10日法政大学・スポーツ21研究
会・大東和美Jリーグチエヤーマン。12日稲城・佛教に親しむ会。竹中氏と懇
談。17日仙川・プログレス研究会藤生健氏と編集企画打ち合わせ。

加藤宣幸? 記)

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