編集後記115

【編集後記】

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◎W高気圧と台風が三つ重なつたとかで猛暑がつづき、今年の夏はとにかく厳し
い。私たち庶民は節電と熱中症を天秤にかけながら過ごしたから、毎日汗を拭き
ながらも意識は原発とエネルギーに向う。

最近、ある週刊誌の見出しに、原発を推進する通産省の役人が『猛暑が続けば国
民の意識なんてすぐ変わる。猛暑が来て欲しい』と云つたとかいうのがあつた。
彼等にはおあつらえの暑さということになる。しかし、その通産省の前では、こ
の暑さの中で脱原発のテント村闘争(本稿『経産省の一角に脱原発テントは存続
している(2)』)や、毎週の金曜日官邸前デモも規模は一時のように大きくは
ないがしつかりと続いている。そして街に節電の目標数値もない。

◎折からの参議院選挙では、自民党を除く各党は、その本気度と具体的な工程表
は別として概ね『脱原発指向』の大合唱である。私たちが脱原発を選ぶべきなの
は、核廃棄物の処理一つ考えても明らかだ。しかし、その取り組みの前途には乗
り越えるべき多くの課題があるという重要な指摘『少しずつ変えていくことに耐
えられないならば原子力に負けるしかない~電力自由化と脱原発は別次元ではな
いのか~』を茨城県北部で原発被害を直接受け農業者でもある濱田幸生氏から戴
いた。

◎2013年参議院選挙は21日の投票日を前に、政権側の老獪な争点ぼかしと「アベ
ノミクス」の宣伝効果で分立野党が全面敗北の気配である。国民の多くは投票の
意欲を失い、マスコミの関心はすでに選挙後に向けられている。しかし、憲法96
条・9条の改定、原発、TPP、中・韓両国との関係など国のかたちが問われる
重要政策が深く論じられずに政権が選ばれてよいのか。熱狂的人気で選ばれた劇
場型小泉政治の轍を考えれば足りる。

この日本型選挙の在りようについて、社会政策学会の岡田一郎氏に『参議院選挙
で国民は何を選ぶべきか』を論じて戴いた。氏は、ひたすら候補者名を連呼し、
短い街頭演説を繰り返すだけの日本の選挙を、映画『選挙』で見たドイツ人記者
が『これは選挙ではない』と驚いたというエピソートを紹介されている。今や小
選挙区制度が政治を歪めていることを否定する人はいない。ネツト選挙が導入さ
れたこの機会にそろそろ『小選挙区制度』だけでなく『選挙運動』そのものも根
本から改めるべきである。さらに民主党の敗北に終つたさきの都議選の結果を
『都議選2013の結果を見る』として政治評論家の藤生健氏に分析して貰つたが、
同じような課題を読み取ることができる。

◎『侵略の定義は歴史家に任せる』などというお粗末な歴史認識で世界に原発を
売り込み歩き、近隣の中韓両国とは首脳会談もできず『日本を取り戻す』などと
安手のナショナリズムを煽る。この安倍首相の姿勢には、頼りの米国だけでなく、
西欧の主要メデイアからも「右傾化」として厳しく危惧されている。『領土』と
いう言葉はどこの国民にもナショナリズムをかきたてる魔力を持つ。緊張する尖
閣・竹島問題に打開の途はないのか。関係国の識者が一堂に会する『国際シンポ
ジユーム』が『平和の海を求めて―東アジアと領土問題』として7月7日東京で開
かれ、これを東京大学大学院人文社会系研究科研究員福岡愛子さんに【緊急報告】
して頂いた。

◎7月17日付け日経は、日本の女性就業率はOECD加盟先進諸国34ヵ国中24位
と報じた。日本人の人権・労働者の法的地位などは国際基準から見て低い。さら
に女性の社会進出については恥ずかしくて「先進国」だなどとは云えない惨めさ
である。今月のオルタでは米国の武田尚子さんから『ジェンダーの平等を目指し
て』を、日本の高沢英子さんからは『ジェンダー、いま、女性の役割の再構築を
目指してできること』の論稿をいただいた。

メールマガジン「オルタ」はお二人の論考を軸に、ジエンダー論を深めるための
女性読者のセクターをつくる企画がある。あらためてお呼びかけするので、ジエ
ンダーについて新しい地平を開くため広く女性読者のご参加をお願いしたい。

◎【日誌】6月22明治大学・社会環境学会総会・研究大会。岡田充氏『尖閣諸島
問題の見方~領土ナショナリズムの魔力~』。荒木重雄氏会長退任。後任金子光
男氏。23日西八王子・運動史懇談・田村紀雄東京経済大学名誉教授・龍居葉二連
合聡研常務理事。24日学士会館・小学校クラス会。午後・生活クラブ・ゆうエー
ジエンシー株主総会。

26日横浜市開港記念会館・『明日の日本を神奈川から考える集い』基調講演・
「これからの日本のリベラル政治を考える」寺島実郎多摩大学長・問題提起・
「アベノミクスで本当に経済は良くなるか」水野和夫日大教授・「今、私たちに
求められていること」山口二郎北大教授。

27日新横浜・オルタ館・『憲法改定と平和・民主主義を考える』杉田敦法政大教
授。29日・神奈川県社会福祉会館・『神奈川からの発信・アジアの平和・日中関
係の再構築を』問題提起・久保孝雄元神奈川県副知事・講演丹羽宇一郎前中国大
使。30日世田谷・河原コンサート。銀座・チエツコ人形個展。

7月1日・中野サンプラザ・大河原雅子決起集会。5日九段・ソシアルアジア研究
会・『国際競争力の高い大学を目指して』勝又美智雄国際教養大教授。夜・神奈
川憲法アカデミア・シンポジユーム・『岐路に立つ日本―改憲・TPP・脱原発
を考える―』司会・阿部弘己神奈川大教授・基調講演・作家高橋源一郎。

6日7日日本青年館・国際シンポジユーム・『平和の海を求めて―東アジアと領土
問題』詳報は別掲【緊急報告】。10日東工大・公共哲学カフエ・『アメリカの可
能性をめぐつて』・アライ=ヒロユキ。『米・中・ロシアの虚像に怯えるな』河
東哲夫。12日大原社研・五十嵐仁・龍居葉二・木下真志各氏13日調布・河上民雄
偲ぶ会打ち合わせ・堀内慎一郎氏。18日市川・矢野凱也君見舞い。新宿・岩根邦
雄サロン。

                           (加藤 宣幸 記)

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