編集後記119

【編集後記】

◎自民党は先祖返りを始めていないか。そんな心配をしてしまうほど保守派の活動が活発だ』とはなんと「左」とはおよそ縁の遠い日経新聞社説(10月30日)『自民党右バネが心配だ』の書き出しだ。日経らしく経済政策を優先せよという主張だが、これは9条改憲が無理と見るや96条でルール変えを狙い、それも難しいとなると法制局長官を替えて解釈改憲をもくろみ、さらに憲法を空洞化する特定秘密保護法を出す。そして原発難民約30万人をそのままに、汚染水は垂れ流し、中韓両国とは会話もせず世界に原発を売り歩く安倍首相の姿勢をいみじくも映し出している。その安倍政権が成立を急ぐ「特定秘密保護法」の問題点を藤生健氏に指摘して戴いた。

◎小泉元首相の「原発ゼロ」発言は波紋を広げている。原発に反対する国民の中にも、戸惑いはある。経産省前テントひろばで自ら796日も座りこみ、裁判も闘い続けつつオルタに何回もテント日誌を寄せられた三上治氏に『脱原発—反原発の現状と小泉発言』を反原発の現場から寄稿願った。関連して反原発の民意について小熊英二慶応大学教授の発言(朝日10月31日)要旨を紹介する。『ドイツ政府は脱原発宣言をしたが、多くの原発が動いている。日本政府は脱原発宣言をしないが原発は一基も動いていない。これは「原発反対の民意が強いからだ」。民意は冷めやすいというが、震災後の世論調査では一貫して脱原発支持が約70%で11年6月には「段階的に減らす」が約70%だったが13年6月には「再稼働反対」が約60%で脱原発が強まった。かつて原発が止まれば日本経済は回らないと言われたが、人々は原発の危険性・原発をめぐる政治経済のからくりを学び、節電が進み、デモが起こり、原発が止まっても生活に支障がないことを知った。「日本には偉大なリーダーはいないが、民衆の実行力はすごい」と言われる。あとは政治家がこれに応えられるかだ』という主張である。

◎政府はしきりに東京オリンピックを囃す。果たして建設費3000億円ともいわれる巨大スタジアムが神宮の景観を破壊してまで必要なのか。オリンピックという祭りのあとを考えているのか。札幌ドームは年間18億円の維持費にあえいでいる。数十億円とも予想される東京の維持費はどうするのか。リオで東京開催が決まった日、ロンドンで「オリンピック・レガシー国際会議—都市におけるメガイベントのインパクト」という会議に出席していち早くこの問題に取り組まれた三ツ谷洋子法政大学教授に『オリンピックの「レガシー」(遺産)は大会後のために』として、スポーツだけでなく建築・都市問題を含めた社会的な視野から問題を指摘して戴いた。

◎濱田幸生氏には『TPPの原型・郵政民営化のウソ』を提起し、岡田一郎氏には日本で知られることの少ないヨーロッパの「海賊党」についての紹介を【書評】では植村秀樹著『「戦後」と安保の六十年』を木下真志氏に書評の枠にとらわれず論じて戴いた。

◎【日誌】10月22日稲城・仏教に親しむ会・竹中・浜谷氏と懇談。11月2日・学士会館・1935年加藤勘十訪米問題研究懇談会。報告者・五十嵐仁法政大学教授・田村紀雄東京経済大学名誉教授・龍井葉二連合聡研副所長・大谷栄一佛教大学准教授・質疑参加・竹中一雄・荒木重雄・浜谷淳・藤生健・司会・加藤宣幸。11月6日・篠原孝衆議院議員TPP問題・動画取材。インタービュアー・北岡和義日大特任教授。7日〜11日・北京・第17回ソシアル・アジア・フォーラム・日本・中国・韓国・台湾各国研究者2名報告。16日・ハイム本社・経営報告会。

◎【オルタの動画】9月からオルタの動画を YouTube に載せ始めた。まだトラブル続きだが硬いインタービューや講演なのに白井聡氏の「永続敗戦論」(再生641回)岡田充氏の「尖閣諸島問題」(再生293回)が11月5日 YouTube の「人気動画」に入った。勿論、面白動画の数万数千と比べようもないが、それぞれ約1時間の映像なのだから特殊な分野のもとして選ばれたのだと思う。海外視聴者の分布も米国・中国・韓国の順で数十か国に達しているのも嬉しい。企画の充実に努めたい。

                           (加藤宣幸 記)

■【今月のオルタ動画案内】
  YouTube配信 http://www.youtube.com/user/altermagazine

『河上民雄先生を偲ぶ会』   東海大学校友会館
『TPPで日本はどうなるのか』 篠原孝衆議院議員・聞き手・北岡和義日大特任教授


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