編集後記123

【編集後記】

                   加藤 宣幸

◎今年の冬は各地で雪が深く寒さも遅くまで続いた。それでも彼岸を迎え、ようやく春色を感じるのだが、なぜか浮き立つような気分になれず、なんとなく気が重いのは気候のせいではない。主因は、3.11から3年たっても遅々として進まぬ被災地の復興。原発を再稼働させようとする政官財のうごめき、そして何よりも、花見酒に酔いたい国民の内閣高支持、小選挙区制のマジックによる一強多弱与野党、自民党内有力反対勢力不在なのでの安倍首相のおごりにある。

彼は立憲主義をわきまえず、「南京虐殺はなかった」「東京裁判は原爆投下の非難をかわすためだった」などというトンデモな「お友達」を官邸に集め、NHKに押し込み、あるいは法制局長官を差し替え、まるで暗愚な君主の振る舞いで、好きな「国益」を壊しつつ、日本を戦争の出来る国に「取り戻そう」と頑張っているのだ。いまや欧米主要メデイアの論調はほぼ一致して彼を「保守」でなく歴史修正主義の「右翼」ときめつけ、さすがの米国政府も中国を利するだけだと苦々しげだ。

◎戦後の日本は69年間、一発も撃たず。一人も殺さず。営々と戦争をしない国を創った。米国がアジアで戦った朝鮮・ベトナムの二大戦争やイラク戦争でも日本の若者は血を流さなかった。平和憲法のお蔭である。安倍首相はこの憲法の核、九条の改正を目指し、秘密保護法を制定し、教育統制を強め、徴兵制さえ視野にいれた国防軍の確立をはかる。姑息なことに正面からの改憲が難しいと見るや96条のルール改変という裏ワザを出す。それが反発をうけると、ついに解釈改憲という禁じ手で集団自衛権の行使を狙う。これは麻生副総理が本音をポロリと洩らした『国民が気付いた時にはすでに世の中が変わっていた』という手法で民主制の根幹を破壊するものだ。   

◎寂聴さんや澤地久枝さん、など多くの知識人が秘密保護法や原発の再稼働に強く反対するのは、戦争の悲惨を知り尽くしているからだ。私たちは彼女たちの心からの叫びに耳を傾け、考え、そして呼びかけに応えたい。政治的無関心が何よりも危ない。私たちは8.15で全く新しい国づくりに取り組んだのだ。3.11を乗り越えるには原発を再稼働させ、日本を戦争の出来る国に戻すことでは絶対にない。

◎先ごろ来日した世界的碩学ノーム・チヨムスキー氏は『日本の超国家主義者は平和憲法を無くそうとしている。安倍首相らが靖国神社に参拝し、従軍慰安婦を否定しようとするのは、日本を帝国の時代に戻そうという狙いではないか。ヒトラーが権力を掌握していく過程を思い起こさせる』。『政府の過ちをただせるのは市民だけだ。困難だろうが福島や日本全体で、政府が無視できない運動をつくり出してほしい。地域の市民のつながりを強化してほしい。それこそが状況を改善していく道だ』(東京新聞2014.03.08)という。

◎私たちのメールマガジン「オルタ」は2004年3月20日、イラク戦争に反対し「戦争・国家・人間」をキーワードに創刊し、満10年になる。毎月発信しつづけて今、「オルタ」はグーグルの分析でHPの訪問者数59,087、ユーザー数50,270、ページビュー82,411、海外のHP訪問者数は米国607・中国424・仏国210・韓国202・タイ167・英国144・香港106・ドイツ93・台湾89などに拡がる。このほか毎月20日に約17,000通を発信する。この数字はスポーツ画像などが数百・千万だから比べようもないものだが、毎号数十頁の堅い文章だけで、しかもリベラルを指向する市民メデイアとしては意外に多いという評価もある。私たちは10年の歩みを自省しつつ、仲間との絆を強め、平和の光を求めて一歩々々進んで行きたい。

◎【日誌】2月25日共同通信社会議室・不安定研究会・尖閣諸島問題・苫米地真理。3月3日ソシアルアジア研究会・ミヤンマー労働組合運動の現状と国際支援・中嶋滋。4日中国問題・篠原懇談。6日ミヤンマー問題・中嶋・白井・横田懇談。7日沖縄問題・竹中懇談。ウクライナ問題・石郷岡・清水懇談。8日社会運動史勉強会・仲井・山口・堀内。13日妙見寺・仏教に親しむ会。

                           (加藤宣幸 記)


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