編集後記133

【編集後記】

加藤 宣幸


◎新年を迎えたが、身勝手解散の直後だけに「安倍一族」を除き、与党に票を入れた人々も含め、国民の多くは新春の華やぐ気分にない。何しろ国民の半数は投票せず、肝心な政策論争もなく、ただ景気回復期待感だけで与党が「大勝」したからだ。いずれこのツケは国民が払うのだが、歴史が教える戦争への道だけは避けたい。しかし望まなくても、始まるのが戦争の常道だ。

◎日本の現代史はまさに戦争の歴史だった。日清戦争(1894年)・日露戦争(1904年)・第一次大戦(1914年)・シベリヤ出兵(1918年)・満州事変(1931年)・上海事変(1932年)・日中戦争(1937年)・太平洋戦争(1941年)と続き、ついに1945年の敗戦となる。今年は、その敗戦から70年の節目の年だ。日野原重明先生によれば、今の日本で戦争を実感した75歳以上の人は全人口の1割強というから、国民の殆どは、安倍政権が進める「秘密保護法」「集団自衛権の行使」「近隣諸国との摩擦」などの行き着く先が分からないのだ。

◎それに、日本人は「敗戦」を「終戦」と言い換え、昭和天皇以下誰も戦争責任をとらず、加害者であり、被害者であった歴史の真実を国民に教えていない。日清戦争から51年も続いた戦争の時代の主戦場は言うまでもなく中国大陸だった。今、私たちはその大陸とどう向き合うか問われている。

◎今月はその大陸の中国・韓国に焦点をあて、久保孝雄氏に『同時進行する南北逆転・東西逆転への胎動—加速する世界の地殻変動—』として私たちが世界の政治経済に占める中国の位置を識ることと、安倍政治がいかに世界の思潮から逆行しているかを論じて戴いた。氏が云うように、日本人の多くは中国が2010年にGDPで約4500億ドル日本を上回って世界第2位になったのを覚えているが、4年後の昨年(14年)、中国のGDPは約10兆ドルとなり日本との差が約6兆ドルと開いたのを知る人は少ない。

◎日中関係のトゲは尖閣だが、小平は「後世の知恵に委ねよう」と棚上げを示唆し、日本側もこれを了としたのだが、日本外務省は頑として認めない。ところが棚上げを認めるサッチャー・鈴木善幸会談の記録が英国で情報公開され、共同通信がスクープした。これを岡田充氏に『尖閣は棚上げしかない』との立場から緊急に取り上げて戴いた。

◎先年中国当局に身柄を半年も拘束され、世界から挙動が注目された政治学者で前華人教授会議代表朱建榮氏には『戦後70周年の日中関係の展望』として冷静な分析と指針を、駒澤大学教授でCSネット代表として日中青年交流を組織し環境・福祉・自然教育の分野で地道に人づくりに取り組む李やんやん氏には『日中をつなげる人づくりと仕組みづくり』を、方正友好交流の会事務局長として長年、満蒙開拓団問題に取り組む大類善啓氏には『燎原の火は方正から』と、夫々日中関係発展のために日夜取り組まれておられる3人の有力な方々から重厚なご寄稿を頂いた。

◎日韓両国間は首脳会談も開けず依然厳しい関係にあるが、両国の市民レベルでは様々な交流が続いている。その一つを金正勲氏に『韓・日青少年平和交流を振り返る』として紹介して頂き、さらに山梨県立大学教授の徐正根氏には『朴槿恵政権の歴史的使命と韓日関係』として両国をめぐる政治課題について歴史的な総轄と今後についての重大なご提言をいただいた。

◎【自由のひろば】イスラム過激派によるテロは全世界を震撼させたが、これについてオランダ在住の教育研究家リヒテルズ直子さんに『シャルリー・エブド社テロ襲撃事件とその後を巡る所感』として緊急寄稿をお願いした。
◎<お知らせ>【マスコミ昨日今日】欄は今月号から【読者日記——マスコミ同時代史】と改題し、執筆者名も匿名から実名の田中良太・肩書も元毎日新聞記者となりました。また共同通信客員論説委員岡田充氏のコラムは『酔生夢死』というタイトルになり、新たに『沖縄の地鳴り』として毎号、沖縄の方々による主張を載せます。第1回は前沖縄大学学長桜井国俊氏です。なお井上定彦氏の「海外経済論潮短評」は随時掲載します。

【日誌】12月24日・自宅・三上治・荒木重雄・懇談。25日・自宅・小林吉男・懇談。26日・映画「バンクーバーの朝日」。・自宅・ヤマギシ会・忘年会。

1月1日・家族の集い。6日・自宅・プログレス研究会・新年会。7日・自宅・渡辺靖郎・懇談。8日・新宿・龍雲庵・桜井国俊・竹中一雄・荒木重雄・懇談。9日・ソシアルアジア研究会・初岡・井上・前島・麻生・仲井・懇談。10日・映画「望郷の鐘」。12日・法政大学・「沖縄の地鳴りを聞く」・桜井国俊・自宅・竹中・仲井・浜谷・篠原・懇談。14日自宅・桂協助氏来訪。


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