編集後記136

編集後記

加藤 宣幸


◎安倍首相は訪米を前に、ひたすら安保法制の密室協議、原発再稼働を急ぎ、沖縄基地の建設も強行する。そんな政権の暴走に対して、福井地裁は4月14日、高浜原発3号・4号機の再稼働を認めない仮処分を出した。私たちは行政追随傾向が強い日本の司法が『基準地震動を上げたといってもそれを上回る地震がこの10年に5回も4つの原発に来たではないか』という分かりやすく明快な判決を歓迎・評価し、敗訴すれば多額の損害賠償を請求されるリスクを負いながらも闘われた原告団の方々にも心から敬意を表する。

誰もが世界有数の地震国日本の原発に地震リスクを感じるが、ミサイルを撃ち込まれるリスクについては殆ど論じられていない。安倍政権は安手なナショナリズムを煽るが、この狭い列島に55基の原発を並べて本当に戦争が出来ると思っているのか。ミサイルが原発に1発撃ち込まれればどうなるか誰にも想像がつく。

戦後いち早く、長い海岸線で奥行きが無い日本の地形は戦争が出来ない国なのだと喝破したのは軍事戦略家・故遠藤三郎元中将だった。私は彼の『再び戦争をしてはならない』という熱弁を聞いたことがある。今、制服組ではないが同じ軍事戦略のプロとして安倍首相の過ちを厳しく指弾するのは、防衛庁官房長・防衛研究所長を経て小泉・安倍(一次)・福田・麻生政権で官房副長官補として安保政策を担った元防衛官僚柳沢協二氏である。

私は柳沢氏に直接、尖閣で中国と自衛隊が戦うとどうなるか聞いたが、彼は『殆ど戦争になる可能性はないが、もし戦闘になれば緒戦は自衛隊が有利でも、あとは中国に必ず負ける』と明快だった。本土にミサイルを撃ち込まれる可能性もあり、日本の地形は戦争に向かないとするのは遠藤氏と同じで、片方で脅威を煽りながら同時に原発の再稼働を進める安倍政権の政策矛盾を鋭く指摘されていた。

フクシマを契機に国策で原発ゼロを目指すドイツと違い、日本は再稼働を推進しながら、中国を包囲するとの建前で実は『世界一厳しい安全基準』などと首相自ら原発を世界に売り歩く姿はいかにも貧しい。先日発見された戦艦「武蔵」は「大和」と同型で世界最大・最強の不沈戦艦と言われたが、あっさり米空軍に撃沈された。すでに「大艦巨砲」時代は過ぎていたのだ。原発でも、いかに技術が優れようと戦略思考が欠けては何の意味も無い。

【沖縄の地鳴り】翁長雄志沖縄県知事は「腹を決めた」と安倍首相・菅官房長官と対談した。その冒頭発言要旨と全文を掲載する。

【原発を考える】原発を動かさないためにどうするのか。経産省前テントで座り込みを続ける三上治氏に『脱原発—反原発運動の展望』を。事故を起こした原発機器メーカーに責任はないのか。原発機器メーカーの賠償責任を問う島昭宏弁護士に『世界初の原発メーカー訴訟』を。外国で原発事故を起こしても機器メーカーが賠償責任を負わないのはなぜか。そのカラクリとインドへの原発輸出の意味は何か。インド問題専門家福原正明氏に『インドに原発を売るな』を。英国の原発事情について『ニュークリア・リラプス—英国流「原子力再興」と「核の後始末」—』として翻訳家鈴木真奈美氏に、公害問題研究会代表の仲井富氏には元原発設計者小倉志郎氏の著書要約を『列島に原発55基で戦争できない日本』として夫々紹介して頂き最後に福井地裁の再稼働差し止め仮処分判決原文要旨を掲載した。

◎ふたを開ければ、日本のメデイアが大騒ぎした安倍首相の「中国包囲外交」で孤立したのが実は日本だったとは悪いジョークだ。「アジア・インフラ投資銀行」(AIIB)の成り行きは誰が見ても安倍政権の失態だが、このAIIBを主導し、存在感を急速に増した最近の中国をどう見るのか。【オルタのネットワーク】で共同通信客員論説委員岡田充氏の『現代中国を読む視点』を載せた。

【日誌】3月25日・外人記者クラブ・初岡・中久保・石田・会食。26日・仏教に親しむ会。27日・ソシアルアジア研究会・萩原久美子下関市立大教授・「アベノミックスの女性活用と保育政策」。28日・NEASE NET 政策セミナー・「イスラム問題及びウクライナ問題と北東アジア」。30日・九段・河野道夫・仲井富・竹中一雄・福岡愛子・川上照代・浜谷惇。沖縄問題。

4月1日・上野博物館・みちのく仏像展。2日・外人記者クラブ・報道自由賞・記者会見・初岡。・自宅・南雲智・荒木重雄・延恩株・趙慶春。3日・衆議院会館・NDの会・佐藤優・柳沢協二対談。「安保法制を考える」。5日・パレスホテル・大森純子米寿の会。7日・医科歯科大病院・入院。11日・退院。13日・自宅・岡田・荒木。14日・衆院会館・プログレス研究会・「経済政策で人は死ぬか」・松永優紀。16日・仏教に親しむ会・増上寺見学。17日・ソシアルアジア研究会・「最近の台湾事情」・津田邦宏元朝日新聞アジア総局長・中嶋滋・初岡。18日・自宅・仲井・沖縄問題打ち合わせ。

■【今月のオルタ動画案内】
  YouTube配信 http://www.youtube.com/user/altermagazine

◎仏教に親しむシリーズ    荒木 重雄(元桜美林大学教授)


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