編集後記147

【編集後記】

加藤 宣幸


◎3月11日で震災から5年たつが、今も17万4471人の人々が避難生活を余儀なくされている。安倍首相は11日に記者会見を開いたが、鉄道や高速道路の開通見込みを声高に言うばかりで、今なお避難生活に苦しむ多くの人々に差し伸べる言葉は一言もなかった。それどころか、17万人の中には福島県の原発・震災関連避難者9万7333人が含まれているのにもかかわらず、前日には9日の大津地裁による高浜原発停止仮処分に対して再稼働推進を表明する傲慢ぶりだ。ここに上から目線の安倍政治の正体を見る思いだが、それ以上に問題なのは、マスメデイアから厳しい首相への批判が聞こえてこないことだ。

◎安倍首相は復古的歴史認識で近隣諸国と摩擦を引き起こしながら秘密保護法の制定・武器輸出の解禁と押し進め、昨年9月19日にはついに強行採決で、アメリカなどが起こす戦争に日本の自衛隊が参加できる安保関連法案を成立させた。今や安倍首相はその勢いを駆って7月衆参同時選挙をたくらみ、両院の三分の二を制して改憲に取り組む意図を隠さない。私たちは戦争の惨禍の上に営々と築きあげた平和体制を守るために、広範な国民が総がかりで野党勢力を支持し何としても安倍の暴走を止めなくてはならない。

◎首相が自席から野党議員にヤジを飛ばし、質問には意図的に論点をずらし、自分に都合のいい数字を並べては前政権時代との違いを挑戦的に長々と自己宣伝する。暴言とごまかしの答弁スタイルは一国の首相としておよそ品位というものがない。この安倍スタイルについて、長年政治記者として歴代首相を取材してきた元朝日新聞政治部長・羽原清雅氏に『安倍・菅的「だましのテクニック」』を、かつて野党の政策立案に携わり国会審議に詳しい生活研参与の浜谷惇氏には『安倍首相の「驚きの言説」を知っていますか——国会会議録のなかの「政治権力と放送メディア」めぐる論戦から——』とし、さらに元NHK社会部記者で日本ペンクラブ理事として活躍する大原雄氏には『距離感の無い者たちの双方向性〜高市発言を巡るメディア論〜』としてそれぞれの立場から「政治権力とメディア」の関係を論じて頂いた。

◎昨年の安保法案反対運動は60年安保反対闘争以来の盛り上がりを見せたが、その主役を務めたのはSEALDs(シールズ)として立ち上がった学生たちだ。オルタは去る2月27日に第7回オルタ・オープンセミナーを開き、SEALDsのメンバーで沖縄出身の国際基督教大学・学生元山仁士郎君を招いたが、今号ではその講演記録を載せた。

◎アメリカ大統領選はトランプ・サンダース現象ともいうべき既成政治勢力に対する国民の猛反発で盛り上がっている。これはアメリカのあまりにも激しい格差社会に対する若者や労働者の怒りが爆発したものだ。オルタとしても深刻化する日本社会の格差・貧困について継続して取り上げるが、まず今月はフランスの雇用状況について労働経済の専門家鈴木宏昌早稲田大学名誉教授のパリーからの報告、そして長らく国際労働運動に携われたソシアルアジア研究会代表の初岡昌一郎氏にはアメリカの国際問題専門誌として世界的に影響力を持つ『フォーリン・アフェアーズ』誌(2016年1/2月号)「不平等 — 原因は何か、なぜそれが問題か、何をなしうるか」という格差特集から巻頭論文「不平等と近代化 — なぜ平等がカムバックすると思われるのか」を紹介して頂いた。なおこれに関連して福永正明氏のコラム「フォーカス:インド・南アジア」のインド・本田工場のストライキ記事にも注目して頂きたい。低賃金の労働力を求めてアジアに進出する日系企業の問題については数回連続して取り上げる予定。

◎【日誌】2月22日:教育会館・『政治再生・人間再生シンポジウム』・木村朗・山口二郎・川内博史・浜矩子。23日:自宅・浜谷惇。25日:神保町・荒木重雄。26日:自宅・藤田裕喜。27日:ちよだプラットフォームスクウェア・『オルタ・オープンセミナー』・元山仁士郎。28日:河原ちひろ・コンサート。

3月4日:第一議員会館・NDの会(新外交イニシアティブ)・『日中韓関係の展望』・エマニュエル・パストリッチ。5日:連合会館・オルタセミナー拡大世話人会。8日:自宅・野沢汎雄。9日:狛江・泉龍寺・仏教に親しむ会。10日:学士会館・北東アジア動態研究会・沈建国。11日:九段・ソシアルアジア研究会・梁世勲。12日:自宅・野沢汎雄・岡田一郎。14日:学士会館・北岡和義日大教員退職記念パーティー。15日:宝生能楽堂・竹中一雄。16日:議員会館・阿部とも子・仲井富。18日:明大・日本の労働運動をどう立て直すか。伊藤彰信。

■【今月のオルタ動画案内】
  YouTube配信 http://www.youtube.com/user/altermagazine


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