■【編集後記】

加藤 宣幸


◎今号の巻頭には『「北朝鮮・核・ミサイル・憲法」を考える』(オルタ169号)という柳澤協二さんの発言について、荒木重雄・大原雄・望月喜市さんから緊急にコメントを頂いた。金正恩は核・ミサイルの開発を急ぎ、トランプは武力恫喝を強め、安倍政権は危機を煽って改憲を目指す。今、私たちは歴史的な転換点に立たされているが、何をなすべきなのか。オルタは創刊14年で、毎日平均約1,000人(月平均約3万人)の訪問者があり、同時に毎月約2万人弱の読者に送信する小さなメールマガジンだが、今までは読者からコメントを頂かなかった。これからはWEBの特性を生かし読者との対話を深めたい。

◎早稲田大学の植木千可子さんは「戦争を防ぐ」という固い信念のもとに「なぜ戦争が起きるのか」を徹底して現実的に分析するとして自著『平和のための戦争論』(ちくま新書)のなかで「「戦争をするか、否か」を決めるのは、私たちの責任になる。」「私たちが、世界で起きているさまざまなニュースに関心をもち、日本が取るべき行動を考え、議論することが、大切だと思う。日本が何を考えているかが外の国からわかりやすくなるだけでも、平和を守る可能性が高くなる。」と言われる。同感である。

◎『歴史とは現在と過去との対話である。現在に生きる私たちは、過去を主体的にとらえることなしに未来への展望を立てることはできない。』とはE・H・カーの言葉だが、今年は明治維新150年・戦後73年・日中平和友好条約締結40年の年だ。カーは同じような意味で『現在の眼を通してでなければ、私たちは過去の理解も出来ない』と言う。日本の現代史を顧みると明治維新後150年の前半は日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦・シベリヤ出兵・満州事変・上海事変・日中戦争・アジア太平洋戦争と相次ぐ戦争に明け暮れ、ついに敗戦となったが、後半73年は戦争無しだ。

◎私たちは、この歴史から何を学ぶのか。世界はアメリカの時代が終焉し、巨大化する中国はどこに進むのか。安倍は米国への従属を強め日本を戦争の出来る国に仕立て、しきりに明治維新150年を謳う。果たして「明治維新」や「明治時代」は司馬史観や薩長中心史観が描きだしたような輝き一色なのか。
例えば、暮れから一月末にかけて在京TV局のキーワード「明治維新」が27件、明治150年が43件「西郷どん」が1,34件(雑誌・世界)と一色に盛り上がっているが、「西郷隆盛」も「征韓論」に敗れたのではなく韓国に行こうとした「遣韓論」だったことが明らかになった。西南戦争も単なる不満武士の反乱だけでなく、民権派の一部も参加していたとされる。作家の渡辺京二氏は「西郷は流刑の体験から、常に権力者でなく民衆の立場で自らの思想の基盤を固めた」と指摘するが、私たちは機会を見て、幕藩体制が崩壊し集権的武装国家が創り出されたこの時代を現代の眼で検証したい。今号では評論家の三上治さんに新しい視野から『西郷隆盛紀行』(橋川文三/著)を論じながら西郷隆盛の「反動性と革命性」などをとらえ直して頂いた。

◎私たちが安倍政権に対峙するには野党共闘の成功が必要だと考え、参議院選・知事選・衆議院選と三連勝した新潟の経緯を緑の党代表として共闘に参加した中山均新潟市議の発言と現地取材した仲井富氏の論考を載せ、関連して地域共闘の歴史的背景として伝統的な新潟農民組合運動が生んだ「木崎無産農民学校」の歴史を4回に分けて連載する。

◎トランプは通常兵器にも核兵器で反撃し戦術核兵器の開発をさらに進める核新戦略(NPR)を決めたが、なんと安倍政権はこれを歓迎した。私たちは断固として核廃絶への道を進みたい。オルタは毎号【沖縄の地鳴り】欄をもち、沖縄の人々と共にスクラムを組んできたが、名護市長選挙に負けても私たちのスタンスは変わらない。元共同通信編集委員の栗原猛さんから「戦争について(1)」(羽原清雅・169号)を評価するご意見を頂いた。これからは記事について読者から忌憚のないご意見をお待ちしたい。

【日誌】11月26日:自宅・飯田洋・仲井富。30日:学士会館・北東アジア動態研究会・江原則由。

2月1日:自宅・仲井富。4日:自宅・加藤公男。6日:九段坂病院・検診。9日:プレスセンター・栗原猛・岡田充。15日:検診。16日:自宅・今村隆一。19日:医科歯科大・検診。20日:議員会館・プログレス研究会。

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※編集長 加藤宣幸は、本編集後記を脱稿後、次号3月号の企画書を抱えるようにして、2月17日朝、心不全で自宅で急逝いたしました。生前のご厚誼に深く感謝申し上げます。なお、今後のメールマガジン「オルタ」の発行につきましては、編集委員の方々からご連絡差し上げます。
 編集補助・加藤 真希子
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加藤宣幸編集長 急逝のお知らせと今後について

編集委員・仲井 富

 2月18日午後、加藤宣幸さんが急逝という連絡を受け驚愕いたしました。亡くなる前日16日午後に、今後のオルタについて意見交換、いま取材中の新潟飛行場拡張反対闘争の話をしたばかりだったからです。1月には93歳の加藤さんを誘って新潟市まで行き、野党共闘の仕掛け人の一人である中山均市議にお会いし、さらに、新潟米軍飛行場拡張反対闘争の資料集めに、ともに県立図書館に行き、この方は百歳までは大丈夫と確信していたところでした。
 マンション一室に安置された加藤さんの顔はまさに生けるが如く安らかに眠っておられました。
 オルタ編集委員としては、暖かくなる季節を待ち故人を偲ぶ会を行うことになりました。
 以上をもって。とりあえずのお知らせといたします。

 加藤宜幸さんが心血を注いで編集・発行を続けられてきた『オルタ』の今後については、早急に編集委員会で協議の上、皆様にお知らせすることになるでしょう。 (2月18日記)

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