編集後記21

■編集後記

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◎今月は新しく、前朝日新聞ソウル支局長小田川さん・九州東海大学名誉教授高宗さんのお二方に寄稿をいただいた。「オルタ」としては「日韓」は「日中」 とともに最重要な二国間関係として、これからも繰り返し取り組んでいきたい。

◎またまた小泉総理は靖国神社に参拝した。大阪高検の判決を意識して参拝のスタイルを変えたからすむという「国内問題」ではない。繰り返される総理の参拝に私達は強く反対する。

西村先生の「靖国神社は御霊神社」は深く読みこんでいただきたいと思う。なお、「御霊神社」のはじまりについては諸説あるようで、たまたま手にした雑誌「世界」11月号の「経済社会戯評」でも御霊信仰の由来について「この世に怨みを持った魂は、あの世にいけず、この世にとどまって災禍をもたらすから、これを鎮めるため時の権力者藤原氏が民を参加させて祭りを行うという神仏習俗的な神事で863年頃始まった」とあり、靖国神社はこの御霊信仰の系譜で『この世に幼い子を残し、年老いた親を残し、これからの人生を戦場で失って無残な死をとげた魂が、死ぬに死ねずにこの世に迷い続けるのを鎮めるためのものなのです。日本人が怨念を為政者への怒りに転ずるのを防ぎ、顕彰装置を国家神道をかりて作り、眠らせる装置なのです。』と分かり易く解説していた。

 西村先生は松平宮司の言葉を紹介しつつ「"愛国""憂国"を装った形で」社頭にむらがる歴代政権や遺族会・英霊をたたえる会などの政治利用を腑分けして、靖国神社は宗教法人に徹せよと主張されている。

◎今号のホットな話題は初岡教授が中国共産党の長老胡啓立氏の招きで北京に旅した報告である。文中にもあるが胡啓立氏といえば、かって胡耀邦第一書記の右腕であり、後継者とも目されていながら天安門事件で趙紫陽首相とともに引責辞任させられた共青団出身の大幹部である。今日、政界を引退して久しい彼の動静に注目が集まるのは胡錦祷主席以下共青団人脈が中国を支配しているからというだけでなく、「天安門事件」の再評価がからんでくるからでもあろうか。この際、私達は中国経済の大発展についてと同じように中国政治の民主的成熟化度にも視線を向けたい。

◎先日、神保町の岩波ホールでイラン・イラク合作映画「亀も空を飛ぶ」を見た。戦争で荒廃した大地にたくましく生きる子供達を描いたもので、ベルリン映画祭平和賞など数々の賞をとった感動の作品である。これから全国で上映運動が取り組まれるので一見をお勧めしたい。

 さらに当日の幕間では数日前にイラクの隣国ヨルダンでイラク医師団と会議を終えて帰国したばかりの鎌田実氏(日本イラク医療支援ネットワーク代表・諏訪中央病院名誉院長)と佐藤真紀氏(同事務局長)からスライドを使った現地報告があった。劣化ウラン弾によると思われる子供達の悲惨さは目を覆うばかりだが、イラクに出兵する自衛隊は1日1億円かかるといわれていながら、この子達への日本からの支援はNPOによる募金の細々としたものだけだという。情けないことである。

◎メールマガジン「オルタ」の創刊趣旨はイラク戦争の不条理に対する市民の怒りを表現することにあった。手づくりメデイアながら「オルタ」を充実させ、この現実に向き合うため各位に一層の御助力をお願いしたいと思う。   

                      (加藤 宣幸 記)