編集後記30

■編集後記

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オルタ30号;編集後記
◎「梅と桜と槿」は中国・日本・韓国で国民にもっとも愛されている花といわれている。しかし「国花」といことになれば、中国の場合、牡丹、日本は菊とい う説もあるが、いずれにしてもそれぞれが「風土」・「国民性」などをよく表徴 している。私たちは、この花々が咲き競う北東アジアに、隣人として2000年にわたる交流の歴史を共有している。日・中・韓、それぞれ国ごとには「歴史認識」を簡単に同じくするわけにはゆかない事情がある。しかし、古代からの「北東アジア地域」という視点で考えれば糸口もほぐれやすいのではと思う。この号では『妻をめとらば韓国人』・『友をえらばば中国人』の著書をもち、毎月のように日中韓三国を駆け巡っている篠原令氏に現代における、三国のからみ具合 の一端を捉えていただいた。

◎「北東アジア地域」の行く末を案じているとき、旧知の段元培氏(在北京)から鶴崎友亀君を通じて「中日関係の現状を憂う」という切々とした原稿が届いた。鶴崎君の紹介文にもあるように、段氏は少年の頃、来日し、大阪市立大医学部に進んだ後、国に戻り、中日交流促進に全生活を捧げたという「知日派」である。この5年間、「コイズミ変質狂」総理は日中両国民が営々と積み上げきたものを壊しつづけた。彼は間もなく権力者の座を去るが、両国民は消え去るわけにはいかない。2000年の歴史から見ればコイズミ時代は一瞬でしかない。私たちは絶え間なく、自分たちの手で身近なことから、人間と人間の「友好」を築き続けたい。

◎今月の書評は『現代世界を動かすもの――アメリカ一極支配とイスム・中国・ヨーロッパ』仲井斌著・岩波書店刊を東海大学教授で元共同通信社論説委員長の榎彰氏にお願いした。榎氏は共同通信時代、中東ベイルート・東欧ウイーンの支局長を歴任し、ドイツに25年と長い著者の仲井前専修大学教授とは懇意な間柄で、的確な書評をいただけたのは両氏を知るものとして嬉しかった。

◎知人の上梓といえば、「オルタ」に何回も執筆していただき、28号(3月20日)では巻頭論文で『ユーラシア世界から取り残される「小泉日本」』を寄稿してい ただいた久保孝雄氏(元神奈川県副知事)の『知事と補佐官――長洲神奈川県政 の二十年』の出版記念パーテーが6月9日、横浜で盛大に開かれた。横浜国大経済学部長として、分かりやすく説得力のある言葉で構造改革の論陣を張っておられた長洲教授が「地方の時代」開幕を華々しく宣言して知事に当選した日の感動は今でも忘れることが出来ない。まさに長洲神奈川県政は「革新自治体」の輝ける星であった。それを黒子として支え続けたのが久保氏である。本来が学者肌の久保氏は長洲知事に請われ県庁に入る前は構造改革派の理論家として佐藤昇氏などとともに盛んに活躍されていた。
 
 しかし、退官後 は一転して周囲も驚くような行政手腕を発揮され、県が設立したベンチャー企 業育成機構であるKSP社長として大きな足跡を国内外に残された。特に東ア ジア諸国に「サイエンスパーク」の設立を呼びかけ成功した功績は大きく日本 の誇りであり、関係諸国から深く感謝されている。「オルタ」でも追って書評 を予定しているが、是非、この機会に『知事と補佐官』(定価2625円・啓文堂 刊)の一読をお奨めしたい。

◎「オルタ」29号の憲法特集では斉藤隆夫演説全文や「九条の会」活動記録などを載せたためもあって47ページと多くなり、初岡昌一郎氏の「回想のライブラリー」(10)は本号に繰り下げていただいた。毎号好評でお待ちかねの方も多く筆者と読者に、ご迷惑をかけることになった。なお29号では ページ数や発信数が異常に多すぎたのが配信トラブルが多発したことをお詫 びします。

◎拙い編集やIT操作にもかかわらず30号まで続けられたのは、まず執筆者各位、特に毎号ご寄稿いただいている西村徹・初岡昌一郎・富田昌宏・南忠男・今井正敏各氏および再三、玉稿をいただく河上民雄・力石定一・羽村清雅・石郷岡建・榎彰・久保孝雄各氏や時に応じてご執筆いただく各位のお陰であり心から感 謝申し上げたい。

◎なお、この号からは西村徹先生のご配慮で、新しい執筆者高沢英子氏が女性の視点からのご寄稿を、また理学博士の木村寛さんにはWP入力に貴重な時間を割いていただくことになった。まことに有難く、「オルタ」前進の強力なエンジンが付け加えられた思いである。                     (
                   (加藤 宣幸 記)

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