編集後記35

■編集後記

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オルタ35号編集後記
◎北朝鮮による核実験については、オルタ34号でとりあえず編集部の考えを表
明したが、短い文章で、推敲も足りず必ずしも意が尽くされなかったとの思いが
強い。この号では、今までに「オルタ」で「東アジアの国際関係について」論じ
ていただいた7人の方で《北朝鮮の核実験と日本の対応を考える》の特集を組み、
問題をより深く掘り下げることができた。今回の核実験問題を考えるとき、東ア
ジアに非核地帯をつくり恒久平和を目指したい私たちにとってなんとも腑に落ち
ないのは、まず第一に国民を飢餓線上にさまよわせながら核実験を強行する金正
日の行動であり、第二には核保有大国の「ダブルスタンダード」である。自らは
核軍縮を棚上げしたまま、国を選んで核保有を容認したりしなかったりする身勝
手さでは強い説得力を持たない。私たちはいかなる核実験にも反対し、あくまで
核廃絶を訴えつづけていきたい。

◎なお、この号では《北朝鮮の核実験と日本の対応を考える》という特集を組ん
だため大幅に頁数が増え、好評連載中の「臆子妄論」(西村徹)「回想のライブ
ラリー」(初岡昌一郎)「人と思想」(富田昌宏)を次号に掲載せざるを得ませ
んでした。執筆者および読者にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び致します。

◎「デジタルメデイア」の「オルタ」はボランタリーで、ご寄稿下さる執筆者そ
して読者に支えられ号を追って充実してまいりましたが、10月中旬、「オルタ出
版室」から初めて「紙メデイア」への挑戦として刊行した『海峡の両側から靖国
を考える』(オルタ叢書1)も各方面から多くの反響をいただいています。
(「オルタ叢書発刊にあたって」でも別記)
 まず、海峡の向側・韓国全南科学大学・日本文化研究所金正勳代表から、いち
早くオルタ執筆者の高沢英子さんを通じて、この本の韓国語翻訳の申込みがあり
ましたが編集部としては著者や資料提供者の了解を得て原則無償でお応えしたい
と思っています。
 これは、一過性の「韓流ブーム」と違い、市民の持続的・重層的な日韓文化交
流を図りたいという、私たちのささやかな念願からではありますが、それにもま
して靖国問題を日中韓とくに韓国人の視座を入れて、共に問題の本質を考えたい
からです。

 さらに、海峡の向こう側からではありませんが「新華僑」と言われる在日中国
人の段躍中氏(出版社・日本僑報社社長)が主宰するネットメデイア「段躍中日
報」(http://duan.exblog.jp)に、この本が写真入りで大きく紹介されました。
段氏は、現在の日本には中国人が登録者約52万人、日本国籍取得者約10万人、
それに日本人と結婚した者を加えると約70万人いる。この人たちは日中に橋を
架ける有力なコミニケーターだから、もっと活用せよと主張します。その在日
中国人社会での有力なメデイアに、この本が取り上げられたことは靖国問題を
中国人とも共に考えたいという出版の企図が一歩進んだことになり、やがて理
解の輪は中国本土にも広がると確信します。
   
 さらに、国内の市民運動とは今月号にも事務局長の古川雅基氏から寄稿を頂い
た韓国人の靖国分祀を求める「在韓軍人軍属裁判を支援する会」
http://www.gun-gun.jp)との連携が始まりました。この会は活発に裁判闘争を
進めるだけでなく、日韓共同ドキュメンタリー映画『あんにょん・サヨナラ』を
制作し全国で上映運動を組織していますが、私たちとこの運動の目標は同じです。
 富田昌宏氏が副代表として活動する「太平山麓九条の会」やさらに千葉大学小
林正弥教授(ちくま新書「非戦の哲学」著者)が主唱する「『平和への結集』をめ
ざす市民の風」運動(http://kazefm/)、望月喜市北海道大学名誉教(今月号オル
タに寄稿)が主宰する北海道極東研究学会
http://www.ne.jp/asahi/kyokutouken/sono2/)からもこの本について強い支
持が寄せられました。私たちはこの一冊の本を手に、非戦・鎮魂・アジアの視
点にたって靖国を考える国内外すべての人々と、ネットワークをつくり連帯し
たいと思います。
(編集部 加藤宣幸 記)     
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