編集後記46

【編集後記】 

◎ ≪お詫び≫
  この号の巻頭論文では元朝日新聞政治部長で現帝京大学教授の羽原清雅氏に福田内閣について論じていただくこととし、ご内諾を得ておりましたが編集部加藤が論考の趣旨などの早期確認を怠ったため、羽原先生はこの企画がなくなったものと判断され海外出張に出られました。その結果、折角の企画を実現できませんでした。ここに羽原先生および読者に深くお詫び申し上げます。
  なお巻頭には西村徹先生が毎号連載されている【臆子妄論】の『集団自決と軍令』を移載させていただきました。これについても西村先生と読者のご了解をお願い致します。
  重ねての不手際を深くお詫びします。     

◎ 去る10月12日、『9条改憲反対 故浅沼稲次朗委員長追悼10.12集会』と『江田三郎没後30年・生誕100年を記念する集い』という二つの集会に出席した。それぞれ主催者の想定を超える多数の参会者があり盛況であった。47年前の10月12日、浅沼委員長は右翼テロリストの凶刃に倒されたが、この民主主義への挑戦を許した当時の政治的社会的背景には、その年の5月19日に岸内閣による新安保条約の自民党単独による強行採決という議会制民主主義への挑戦があったように思う。 安倍内閣による国民投票法、教育基本法などへの強行採決の連発は岸内閣のそれを想起させたが、私たちは、浅沼委員長の死を悼むことによって改めて9条改憲を阻止し、日本の民主主義を守ることを誓った。

 「構造改革」や「江田ビジョン」を提唱するなど、つねに日本政治の革新に挑んだ政治家江田三郎の「人間力」について没後30年の今、参議院での与野党逆転などともからんで、それを評価する声が高まっている。これを裏付けるように当夜の印象について長洲革新県政を支えた元神奈川県副知事久保孝雄氏から私に次のような感想メールがあった。『昨夜は感銘深い会でした。日本で社会民主主義が定着しないのは江田さん亡き後、この思想を人格的に体現する政治家がいないことが決定的な理由だと改めて思いました。飛鳥田、長洲時代、横浜で社会主義インターが開かれたとき、プラント、ミッテラン、ゴンザレスらに身近に接しましたが、彼らの発するオーラというか、人格的に圧倒される思いがしたことを思い出しました。』とある。私も同感である。なお、当夜の主催者が江田五月参議院議長であったことは、長い間の自民党一党支配体制の終わりの始まりを表徴するかのようで、それが会場全体に活気を漲らせていたのも非常に嬉しかった。

◎ 生活保護世帯は増えつづけて100万に達し、年収200万円以下の人々は1000万人を越えたという。反面、大企業はバブル期を超える空前の収益を上げ、しかも労働分配率は下がり続け、地方の疲弊は目を覆うばかりである。
  この異常な事態は6年半に及ぶ小泉・安倍政権が作り出したものだ。経済は新自由主義という名の市場原理主義、政治は靖国参拝・戦後レジユームからの脱却などを掲げた国家主義、そして外交は日米同盟強化という対米(ブッシュ)追従主義こそが日本をブチ壊したのだと思う。これを打開し、日本の新しい地平を拓くには、小泉・安倍政治からの完全な転換を図るしかない。
  基本的に小泉・安倍政治を継承する福田内閣では政策の微調整以上のことはできないから、国民のためには1日も早く解散し政権の交代を実現するしかない。
  この福田内閣について、かって官邸キャップとして福田康夫氏とも身近に接した羽原教授に豊富な情報をもとに論じていただき、読者の福田政権評価に資する筈だったが冒頭にお詫びした事情で叶わなかった。日を改め企画の実現をお願いしたいと思う。

◎ 好評連載中の初岡昌一郎氏による英語メデイアからの【海外論潮短評】は今月休載となり、代わりの韓国外交官梁世勲氏の新刊『ある韓国外交官の戦後史』を紹介していただいた。数奇にとんだ外交官としてのキャリアーにまつわる話も非常に興味深いが、著者が日韓両国の市民レベルの連帯について長い間の体験からまずお互いを蔑視しないこととの訴えは私たちの胸を打つ。

◎ なお、さきに【海外論潮短評】のロシア語メデイアについては日本大学石郷岡建教授が担当して下さることをお知らせしたが、ドイツ語メデイアについては東海大学榎彰教授にお引き受け頂く事になった。榎教授は、共同通信で長い間ベイルートやウイーン支局長などを歴任された中近東問題の専門家で元共同通信社論説委員長である。環境問題で世界をリードし、中近東にも歴史的に深い関わりを持つドイツの視点は、私たちを刺激すると思う。

◎ 次号のオルタ47号(11月20日)では連載もの以外では江田五月新参議院議長の「参議院議長として国民に訴える」(仮題)、榎彰教授の「中近東問題とテロ特措法」(仮題)。力石定一法政大学名誉教授の「CO2削減を地元環境のなかで求めよう」-(グローバルに考えローカルに行動しよう)ーなどや、新刊紹介では松下圭一法政大学名誉教授の近刊『市民・自治体・政治―再論・人間型としての市民―』を元神奈川県副知事久保孝雄氏にお願いしているのでご期待ください。 

                        (加藤 宣幸 記)

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