編集後記59

【編集後記】 

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◎ 欧州をはじめ世界の圧倒的多数はオバマ大統領の誕生を歓迎した。その中
で、ブッシュ一辺倒で盲従してきた日本の自民党が内心浮かぬ顔である。『チエ
ンジ』の波が日本に押し寄せる前に解散総選挙を目論んでいた麻生はテレ隠しに
「日米関係は変わらない」と繰り返すだけである。たしかに世界はオバマの特異
なキャリヤーと並々ならぬ才能に惹きつけられて沸いた。しかし歓声のなかには
「バイバイ・ブッシュ」のさよならコールが大きく混じっている。ブッシュは、
全く無意味なイラク戦争で10万余の無辜な民を殺し、新自由主義経済による規制
緩和の推進は世界に米国発の金融危機を起こし、今や大不況の波が世界を覆いつ
つある。まさにブッシュは世界を壊し、彼の前でプレスリー踊りを披露して追随
した小泉は日本を破壊した。今号では、この米国発世界金融危機の本質について
島根県立大学井上定彦教授に論じていただいた。

◎ 今や宮崎県東国原・大阪府橋下両知事の知名度は全国区だが、派手に立ち
回るTVタレント出身2人の行政には何か危ふさを感じる。それは多くの国民が
小泉ポピリズム政治に歓呼し、あとで臍をかんだ記憶が新しいからだろうか。
マスコミ特にTVメデイアと行政権力者が結んで「仕掛ける」と「世論」が動
くことが「小泉政治」によって立証されている。前者はTV人気で物産のセー
ルスに励み、図に乗って衆議院に色気を出し、一気に県民は白けた。ここでは
大阪府民の多数から支持を得ているかに見える橋下知事の行政手法について、
森田桂司氏に分析して頂いた。森田氏はかって大阪府下の八尾市で助役を勤め
られた地方行政の実務家である。

◎ こんな人物が武力集団のトップにいるとはなんとも呆れたものだが、驚い
ているだけではすまない。まことに危険である。昭和史において1928年の張作霖
爆殺事件をはじめ軍の暴走がいかに国を誤らせ亡国に導いたかは国民の誰もが知
っている。暴走は侵略戦争を引き起こし内外の無辜の民を多数殺戮しただけでは
ない。五・一五事件、二・二六事件などに見るまでもなく常にクーデターの危機
さえ孕んでいた。今回の騒ぎを聞いた米国の議会関係者は訪米中の民主党議員
に真顔で「日本にはクーデターの危険があるのではないか」と聞いたという
が、笑って済ませないものがある。これについて「オルタ」はさきに「オル
タ」56号の書評で取り上げた『近代日本の分岐点―日露戦争から満州事変前
夜までー』の著者で元朝日新聞政治部・朝日ジャーナル副編集長として活躍さ
れた深津真澄氏にその危険性についての緊急提言を頂いた。  

◎今月の「書評」はあえて「読後感」ということにして仲井富・木村寛両氏
にそれぞれ最近読んだ本の『兄弟』と記録絵画『北米日本人の収容所』について
自由に感想を書くという形で紹介していただいた。

◎「オルタのこだま」欄は記事についての読者の反応を載せることにしてい
るが、今号では西村徹氏の了承を得て由布在住の方から西村氏宛て感想メール
を掲載させて頂いた。なお、今井正敏氏の「三笠宮発言と田母神論文」は
「三笠宮発言」の経過については「オルタ」創刊号で富田昌宏氏が詳しく報告
されており、重複するので大幅に省略しましたのでご了承ください。

◎ 最近の「オルタ」にはたまたまホ-ムページで見たが面白そうだから購読
を申し込むという方が増えてきている。中には『そこらの雑誌より内容がある』
などと過分なお褒めをいただいたものまである。不特定の方からお申し込みを頂
くのは嬉しいのだが、同時に「手づくり」とはいえ、「オルタ」がメデイアとし
て背負う責任の重さを痛感させられる。
                             加藤 宣幸 記

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