編集後記64

【編集後記】 

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◎ 私たちはオバマ大統領が原爆使用の道義的責任に触れ、米ロが核削減条約
年内締結に合意したのを高く評価し、さらに核廃絶に途を開くことを希望したい。
  折から一方の核大国ロシアからプーチン首相が来日する。ロシアは原油値上が
りで急速に経済力を回復したが、再び世界金融危機でその経済は苦境にある。首
相来日の意図についてはさまざまな観測があるが望月北大名誉教授は、『世界経
済体制の危機と再編』の論考でダボス会議でのプーチン首相の発言を引き、将来
の複数基軸通貨制度の創設をにらんだ日本に対する戦略的布石であることを示唆
されている。
  なお、望月氏は『日ロ北海道極東研究学会』を主宰して活発に活動されており
、同研究学会では新年度の会員募集をしているので関心を持たれる方は年2000円
で一般電子会員になれるので是非du7-mczk@asahi-net.or.jpに問い合わせて欲し
い。

◎ 基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げる国民年金法改正案の参議
院審議がようやく始まった。しかし、これは年金制度の再構築という根幹にかか
わるものではない。これについて力石法政大名誉教授から、『公的年金の財政方
式は賦課方式を再確認せよ』と現行の積立方式から賦課方式へ根本的に転換すべ
きとの提起があった。欧米先進諸国はすべて賦課方式で日本だけが積立方式を固
守するのは何故か。消費税率引き上げ以外に途はないのか。いまこそ国民的な議
論を巻き起こすときではないだろうか。

◎ 書評1は『共生経済が始まる』内橋克人著(朝日新聞出版刊・1500円)を
生活クラブ神奈川顧問の小塚尚男氏に取り上げていただいた。小塚氏は長年、生
協活動家として著者が主唱する「連帯・参加・協同」の経済活動を実践してこら
れた立ち位置にいる。内橋氏は競争主義一辺倒の新自由主義経済にたいするオル
タナチーブとしての経済活動を一貫して主張してこられたが、これにたいする小
塚氏の評は机上の論を超えた重みを持つと思う。
 
書評2はオルタにたびたびエッセイを寄稿されている高沢英子さんが、このほ
ど上梓された『京の路地を歩く』(未知谷刊・2500円)を西村徹氏に連載中の臆
子妄論を休載して特に紹介をお願いした。西村氏は著者の京都に寄せる想いが歴
史・文学の深い造詣とともに美しい日本語で綴られていることを披露し、いつも
手元に置きたい一冊の本として強く推薦されている。

◎ 今月の「北から南から」は佐藤美和子さんの深センからのレポ-トが一時
休載される代わりに東北大学助手の徳田由佳子さんにシベリア・ノボシビリスク
市から北の息吹を伝えていただいた。東北大学は中国・朝鮮・日本・モンゴル、
シベリアなどの地域研究を目的として、文系・理系学部の枠を越え学際的な研究
を進めるためノボシビリスク市に「東北大学・東北アジア研究センター」の連絡
事務所をつくった。徳田さんは事務所が'07年末に臨時閉鎖されるまでその駐
在員で、事務所は学者村アカデムゴロドにおかれた。ちなみに、ここはつくば学
園都市のモデルになったといわれている。
 
◎ 今年も4月10日2時から東京・神田の学士会館で第3回「'09オルタの集
い」が開かれ、執筆者・読者約60人が参加して、和気藹々と「オルタ」63号の刊
行を祝い交流・歓談した。会は初岡昌一郎氏(姫路獨協大学名誉教授)の司会で
、加藤宣幸が開会の辞を述べ、河上民雄氏(東海大学名誉教授)から挨拶と工藤
邦彦君追悼の言葉があり黙祷をする。竹中一雄氏(国民経済研究協会顧問)から
は最近の日朝関係について、久保孝雄氏(参加型システム研究所代表)からは金
融危機後の世界情勢に就いて話があり、細島泉氏(元毎日新聞編集局長)の発声
で乾杯した。江田参議院議長もオルタ執筆者として国会審議の合間を縫って駆け
つけられ、会は生活クラブ神奈川顧問の横田克己氏が中締めし4時過ぎ散会した

◎ オルタ61号(1月20日)の久保孝雄氏の論文『日本沈没を防ぐ年』が中国の
雑誌『領導者』(総第26期)に「オルタ」執筆者篠原令氏の斡旋で全文が訳載
された。この雑誌は部数こそ2万部と少ないが胡錦祷氏もたまには目を通すとい
われる指導幹部向けクオリテー雑誌だ。ちなみにこの号にはオバマをはじめ各国
首脳の新年メッセージやキッシンジャー・ブレジンスキーらの論文が載っていた
。昨年、「オルタ」が刊行した『海峡の両側から靖国を考える』の韓国語版が出
版されたのに次ぐ朗報で、東アジアに平和と真の連帯を築こうとする市民メデイ
ア「オルタ」にとっては再度の嬉しい知らせであった。

◎3月28日、オルタ執筆者の荒木重雄氏が主宰する社会環境フオーラム公開講座が
《いま福祉・共生を考える》をテーマに東京・駿河台の明治大学で開かれた。東
邦大学看護学部の細谷幸子氏が『イスラム社会の福祉とボランタリーセクター』
、静岡県立大学短期大学部の今井朋実氏が『外国人介護士の導入事情と課題』を
講じられた。
  これを主催する「社会環境フオーラム'21」は今後とも一般参加が可能な公
開講座を定期的に開く予定なので広く「オルタ」読者の参加を期待したい。
(次回は本号催し案内参照)
                         (加藤 宣幸 記)

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