編集後記67

【編集後記】 

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オルタ67号 編集後記
◎今月の巻頭には、戦後64年を迎え「敗戦と被爆という1945年体験」を共有する
世代の責務として、戦争の記憶を持たない世代の人々に私たちがどのような歴史
認識を持つべきかを自らも陸軍の一兵士として8月15日を迎えた東海大学名誉
教授河上民雄氏に語っていただいた。河上氏はかって日本社会党国際局長・衆議
院外務委員会委員として活躍され、1989年11月9日にベルリンの壁が崩れ
る直前の8月にはポーランド・ハンガリーなど激動し緊迫する東欧諸国の現場を
訪問して、政府要人との貴重な対話を重ねられた近現代史専攻の歴史学者でもあ
る。「戦争と革命の世紀」といわれた20世紀を総括し、私たち日本人がどのよう
な立ち位置でこれからの歴史を歩むべきかを論じられた『時の徴(しるし)につ
いて』から私たちは多くの示唆を受けるはずである。

◎戦後の日米間には核持ち込み、朝鮮半島有事の米軍基地使用、沖縄への核再持
ち込み、沖縄現状回復費用負担など3つとも4つともいわれる密約があるとされ
てきた。一方の当事国であるアメリカがその存在を公表し、米国立公文書館など
で文書が入手でき、外務官僚OBがその存在を証言しているというのに、日本政
府はあくまで秘密文書は存在せずと、白らをきり通す。なんとも情けない。一国
の安全保障に関することは、出来る限り国民にその情報を正確に伝えたうえで冷
静に議論する必要がある。国民から信を失った政府に外交などはない。

間もなく「政権交代」によってこの茶番劇にも幕が下ろされるだろうが。特にい
わゆる「沖縄密約事件」では問題の本質を毎日新聞西山太吉記者の男女関係にす
り替え日本国民を愚弄した。これについて当時、読売新聞記者から社会党(当時)
横路孝弘議員の秘書になって、議会でその「現場」に立会われ、現在「沖縄密約
情報公開訴訟原告団のメンバーでもある日大教授北岡和義氏の貴重な回想といま
進められている訴訟の意図について寄せていただいた。

◎7月14日の参議院における麻生首相に対する問責決議案の可決により審議中の
法案が幾つか廃案になった。その一つに自公民3党で修正協議が進んでいた議員
立法の「児童ポルノ規制法改正」案がある。最近は内容が悪法であるにもかかわ
らず、名前だけは誰もが賛成したくなるようなネーミングの法律案が国会に提出
されることが多い。その典型的な例が障害者の自己負担を増やし、施設の利用を
難しくしてしまう稀代の悪法「障害者自立支援法」であった。このポルノ規制法
もその類である。ネット利用に詳しい日大講師の岡田一郎氏がその危険な内容を
指摘し、新たに成立する国会での慎重審議を特に民主党に提言する「自由権を有
名無実化させる児童ポルノ規制法改正案」を頂いた。

◎日本社会は小泉・竹中の市場万能・新自由主義路線で、格差・貧困が拡大し、
医療・介護も崩壊に瀕している。最新の「OECDフアクトブック2009」で
は日本のGDPに占める公的社会保障費の比率はG7諸国のなかで最低グループ
にある。もともと欧州諸国に比べ貧弱な介護福祉レベルの日本で、さらに一段と
厳しい状態にある在日韓国老人の介護問題にNGOとして長年取り組んで奮闘し
ておられる徐正禹さんに大阪八尾市の現場から、その実態について『高齢者でも
恋をする』と題する報告をいただいた。私たちはもっと在日の人々の実情に目を
向けなくてはと思う。

◎好評連載中の『臆子妄論』は執筆者の西村徹氏が大動脈瘤手術のため前号は休
載となりましたが、幸い手術は成功し、さらに喉頭がんの放射線治療も終了され
ましたので今月から再び連載されます。読者とともに心から快気を祝い、毎号の
健筆を楽しみにしたいと思います。
 
◎《催し案内》では派遣村の活動で有名な活動家湯浅誠氏が主宰する「NPO法
人自立生活サポートセンター・もやい」が、『今回の選挙を機に私たちの社会が
よい方向に進みますように』という趣旨で開催する『選挙目前!私たちが望むこ
と』集会のお知らせを載せました。読者各位の参加を期待します。
  
                   (加籐 宣幸 記)

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