編集後記79

【編集後記】 

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◎昨年の衆議院選挙では国民の手による初の政権交代が実現し、待望した非自民
政権の誕生に多くの友人たちの気分は高揚していた。しかし、1年もたたない今
回の参議院選挙での民主党惨敗には、怒りに燃える沖縄の人々の気持ちは当然と
しても、なぜか冷めた気分の人が多い。自民党政治への逆行こそ困るが、選挙結
果はさもありなんという感じなのである。

 最近のマスコミ論調には安保問題などで特に違和感があり、あまり頂けないの
だが、7月14日の東京新聞には『民主これが真の敗因?』という大見出しで《「
菅」に「官」のにおい》《はげた市民派の看板》《自民と同じなら「存在根拠な
し」》とのわかり易い記事が載った。私達の感じにも近いので紹介したのだが、
「オルタ」としては元朝日新聞政治部長で平成帝京大学教授の羽原清雅氏に「各
党が自己矛盾をさらした参院選」として緊急に参院選挙の結果を論じて頂いた。

◎この他、選挙結果については、初岡昌一郎氏から短評として「勝者なき参議院
選挙」という感想が寄せられた。「オルタ」ではこれを機会に、当面の政治経済
文化などについての「感想」「意見」を多くの読者から自由にお寄せ頂くため【
オルタのこだま】欄を常設したので奮ってご投稿下さい。読者相互の活発な議論
も歓迎します。ただスペースの関係で1回の寄稿はA4で2枚以内くらいの出来る
だけ短い原稿をメールで編集部宛にお願いしたい。

◎戦後政治の画期となった60年安保について、その現場にかかわられた河上民雄
・小島弘・篠原浩一郎の3氏に「体験によって歴史を見る」~60年安保から89年
東欧激動まで~」を生々しく語って頂いた。民雄氏の厳父河上丈太郎氏は安保デ
モの現場国会議事堂前で右翼の凶刃に胸を刺され重傷を負われたのだ。連載中の
「河上民雄20世紀の回想」の「河上丈太郎」(2)と合わせお読みいただき、
その年10月党首討論会の演壇で右翼少年に刺殺された日本社会党委員長浅沼稲次
郎氏などとともに多くの先達が日本の民主主義と独立を守るために生命の危険を
賭けて闘った歴史を是非若い人々の記憶に刻んで欲しいと思う。

なお、この企画は「公共哲学カフェ」グループとメールマガジン「オルタ」が共
同開催した始めての試みで、今後とも他の研究団体とのコラボレーション活動を
充実したいと考えている。

◎【農業は死の床か再生の時か】は宮崎に発生した悲惨な口蹄疫事件が再び起き
ないために濱田幸生氏が徹底検証されている。「オルタ」としては広く非農業者
の方々にも問題の本質が理解されるよう、この記事を連載企画としますが、同時
に濱田幸生氏のブログ「農と島のありんくりん」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/を読まれるようお勧めしたい。

◎【書評】ではジヨン・W・ダワー著『「昭和」~戦争と平和の日本~』を法政
大学院の飯田洋氏に取り上げて頂いた。ダワー氏はピユリツアー賞など多くの賞
に輝いた名著『敗北を抱きしめて』の著者として名高い米国の日本研究者だが、
日米関係の事あるごとに、日本のマスコミに「米国の意向」なるものをコメント
して、情報操作する「安保マフィア」とも「ジヤパンハンドラー」ともいわれる
「知日派米国人」とは一味違った知識人である。

 私たちが沖縄の基地問題を含めた、日関係の再構築を考えるとき、米国の知識
人と深い交流関係を保つことの重要性はいうまでもない。ダワー氏などの知識人
が現実の日米関係についてもっと積極的に発言して貰いたいと思う。

◎【祝辞】オルタ執筆者江田五月参議院議長が岡山選挙区で圧倒的な票差で当選
された。心からお祝いしたい。五月氏とは厳父江田三郎氏に知遇を得ていたので
大学生時代から親子二代にわたる交誼がある。参議院議長として「ねじれ」で苦
労され、また「逆ねじれ」では議長を退任されても参議院の長老として新たな活
動が期待される。まずはご苦労なことであるが、いつまでも健康で活躍されるこ
とを祈りたい。

◎【執筆者の活動紹介】
  オルタ執筆者の日大非常勤講師岡田一郎氏が『危機の時代を観る』(加藤哲郎
他編著・社会評論社刊)に「構造改革論争前史としての1950年代」を、また
『歴史評論』723号に「日本社会党と安保闘争」を執筆された。同じく執筆者の
法政大学研究員木下真志氏は『政治変容のパースペクテーブ;ニューポリテイク
の政治学Ⅱ』(丸山仁他編著・ミネルバ書房刊)に「日本政治―政治学の現状―政
治学の発展へ」を寄稿された。お二人のますますの研究精進を期待したい。

                                       (加藤宣幸 記)

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