■編集後記

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◎ 以前、この欄で「チェチェン問題等問題は山積していますが、私個人はロ シアの将来を楽観視しています」と書きましたが、北オセチア共和国で発生し たテロ組織による学校占拠事件以降、地方自治の否定と中央集権化がすすめら れており、ロシアの雲行きも怪しくなってきました。私の「楽観」があたるよ うに祈りながら、今後もロシア情勢を見守っていきたいと思っております。 (I.O)

◎「政冷・経熱」と言われる日中関係特集として、かって毛沢東・劉少奇・周 恩来・朱徳・陳毅・鄧小平・王震など中国共産党最高幹部の通訳を務め、滞日 15年、日中国交正常化にも大活躍した元新華社東京特派員劉徳有氏が来日講演 されたのを機会に、日中友好運動一筋に50年のキャリヤーを持つ、村岡久平氏 にもインタービューした。

  日中貿易の総額は日米のそれを超え、東アジアの平和維持も緊迫するのに、 この両隣国の首脳往来が3年も途絶えているとは、まさに異常である。主たる 原因が小泉首相のA級戦犯合祀の靖国参拝にあることは明らかなのだが、本人 は来年も参拝すると広言している。ここまでくれば「偏執狂」としか言いよう が無いが、こういうトップをもつ日本国民はまことに不幸だというだけではす まないのが国際関係である。   さきのサッカー事件に見るまでもなく、日中両国民の関係は2000年の交流史 こそあるが、ガラスの城のような脆さも抱えていることを認識すべきであろ う。数多くの民間交流が重ねられてはきたが、両国民のコミニケーション ギャップは意外に大きいのである。

  この際、単に中国側の「対日新思考」に期待して、問題を先送りするのでな く日本側こそ事態を深く洞察し、行動を起こす必要がある。  幸い、中国には胡錦濤・温家宝という革命第4世代と言われる国家指導者が 生まれ、その周辺には若い優秀な人材が集まっているという。わが国の知識人 ・言論人・政治家など各階の人がこれらの人々との知的な交流をつうじて相互 の認識を深め、新しい時代の日中関係を構築して貰いたいものである。

 歴史資料としては『同志社労働者ミッション』宣言・規約を同志社卒業後、 消費者運動一筋に歩みつづけてこられた野村かつ子さんから戴いた。この宣言 はわが国の社会運動とキリスト者とのかかわりを示す原典の一つとして貴重な ものである。この文書が手がかりとなって戦前・戦後の運動史、特に宗教者と 社会運動・政治活動とのかかわりについての研究が深められることを期待した い。

 オルタ7号では作者の都合で載せることが出来なかった富田さんの俳句が出 稿されて嬉しい。季節を感じ、農に勤しむ人間の匂いを嗅げる楽しみが大きい のである。(N・K記)