編集後記83

【編集後記】 

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◎いまや地球環境問題は人類が直面する最大の課題の一つである。当然のことな
がら私たちのオルタとしても重点的テーマでありながら、なかなか力が及ばなか
った。この号では念願が叶い、近畿大学生物学研究科阿野貴司教授の「地球環境
問題解決へのアプローチ」という論考を頂戴できた。これは去る7月24日、東京
明治大学で行われた社会環境学会公開セミナーでの講義に加筆して頂いたものだ
が残念ながら字数の関係で84号と2回分載になる。

◎なお「社会環境学会」は去る7月に前身の「社会環境フオーラム21」が日本
学術会議から「公認学会」の認証を受けて新たに発足した学会である。理事長に
はオルタのレギユラー執筆者荒木重雄氏、同じく理事に初岡昌一郎氏が就任され
ており、幅ひろく学際的な研究活動を目指している。会員は専門研究者に限らず
一般市民にも開放されているので、オルタとしても積極的に参加し研究活動の成
果を皆様にお伝えしたい。

◎かってのベトナム戦争がそうであったように、まったく無意味な戦争に血道を
あげ、あげくに無数の無辜の人々を犠牲にする米国とはいったいどういう国なの
であろうかか。その戦争はいかに始められ、誰が責任を負うのか。世界の人々は
心を痛めつつ注視している。イラク戦争という大愚行の検証活動がまず英国で動
き出した。

 当然日本でも組織されるべきだが国会などでの動きはまだ鈍い。アメリカに飛
んで米国議会要人から海外基地縮小提言の動きを聞き出した民主党齋藤つよし議
員は引き続き訪英し、イラク戦争検証活動を調査され、帰国後は院内外に運動の
組織化を呼びかけられている。その動きについてお聞きした。

◎今月の【河上民雄20世紀の回想】(10)は戦前「一切を棄つるの覚悟」とすべて
の植民地や特殊権益の放棄を主張した硬骨のジャーナリスト、戦後は確固とした
アジア観に立って日中国交回復を実現しようとした政治家石橋湛山回想の2回目
である。 興隆しつつある中国、国力が頂点を過ぎた米国との狭間で立ち位置を
決めかねている日本はいまこそ現代日本が生んだ大思想家の先訓に学びたい。

◎『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』は東大教授加藤陽子氏の著書名だ
が、これこそ昭和史解明のキーワードである。歴史書としては珍しくすでに20万
部を超えたというベストセラーを法政大学大学院特任研究員の山口希望氏に評し
ていただいた。
 
  中国経済の急激な成長の陰に異常な都市と農村の格差拡大があることはよく知
られている。しかし中国農村の実態となると知る人は非常に少ない。これを解く
手がかりの一つとして島根県立大学大学院北東アジア開発研究科の井上定彦教授
が『現代中国農村の高齢者と福祉』(日本僑報社刊)を取り上げた。

◎10月23日第一回社会環境学会理事会に出席し荒木重雄理事長の運営方針を謹聴
し、28日にはソシアルアジア研究会で民間国際交流の第一人者山本正氏の話を興
味深く聞いた。30日の「東アジアの安全保障と普天間基地問題」には朝10時から
出席していたが途中、妻の病状悪化の報に退席し、長年社会改革の志をともにし
てきた妻との永別に立ち会った。

◎11月10日から14日まで台北における第15回ソシアルアジアフオーラムに参加し
た。 メーンテーマは『アジアにおける経済動向の社会的側面―雇用と所得におけ
る公正と社会的保障』で日中韓台それぞれ2人の報告があった。(中国は直前に
参加不能通知があり提出されたレポートの代読)。 フオーラムは回を重ねたた
めか、参加者は国の枠を超え相互信頼の雰囲気のなかでそれぞれが直面する課題
について率直な討議を行った。
 
  なお、このフオーラムが15回を迎えた歩みについては、来月号のオルタに金属
労協(IMF-JC)顧問小島正剛氏に、そして連合総合生活開発研究所(連合
総研)副所長龍井葉二氏には今回日本側から報告した「日本における経済・雇用
を考える~「大転換」期における労働組合の役割~」を寄稿していただくことに
なっている。
  
◎【お知らせ】【オルタ映画評】を執筆して頂いている川西玲子氏が友人数人と
ブログを開いておられます。是非ご覧になってください。
タイトル「Make Your Peace」
http://myp2004.blog66.fc2.com/blog-entry-224.html

◎【お断り】中国の深センから佐藤美和子さんが毎号送ってくださる生活感溢れ
るレポートは現地でのPCが不調のため残念ながら今号は休載になりました。な
おアメリカからの武田尚子さんのご寄稿もPC事情不具合で掲載できずお詫びし
ます。

                  (加藤 宣幸 記)

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