【編集後記】 

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◎政治的に重要な沖縄知事選に伊波候補が敗れたのは非常に残念であった。しか
し、これで辺野古基地反対という沖縄県の民意が変わったわけではない。それど
ころか12月16日付け朝日の全国世論調査速報によれば、「日米合意を見直して米
国と再交渉する」とするものが59%になり地元だけでなく全国民が日米合意見直
しを求め出した。

 菅総理は17日に訪沖したが沖縄ではなくアメリカと向き合うべきなのだ。折か
ら、財政が逼迫するアメリカでも膨張し続け全世界軍事費の43%を占める米国軍
事予算の削減を求め、海外基地の縮小が論じ始められた。吉田健正氏に『沖縄知
事選挙と普天間基地問題』でこれらを鋭く指摘していただいた。

◎リーマンショック後日本の経済と雇用は少しずつ回復の傾向にある。ところが
「賃金抑制のメカニズム」が働いているかのようにマクロとしての賃金は低下し
続けている。これを打破するのに労働運動には何が求められるのか。気鋭の論客
である連合総研副所長龍井葉二氏に『日本における経済・雇用を考える』として
日本経済の現状分析と「労働運動から社会運動へ」の転換を論じていただいた。

◎【河上民雄20世紀の回想】は今月ご自身の回想で一応連載は終了した。長時
間のインタービューに応じて頂いた河上民雄氏と、これをまとめられた岡田一郎
氏に深く感謝したい。限られた時間で語り尽くせなかったテーマや将来へのヴィ
ジョンなどは改めて企画を考えたい。

◎東アジアの連帯は掛け声の段階から社会各層・各分野での実践と深化のステー
ジに入っている。オルタはこれらを積極的にお手伝いするため、今月から新しく
【東アジア連帯】欄を新設した。最初の記事として台北での「アジアにおける経
済動向の社会的側面」フオーラムの報告を小島正剛氏に、ついで東京と大阪で開
かれた「日韓社会企業セミナー」の総括を柏井宏之氏にお願いした。

◎書評ではオルタの執筆者篠原令氏の『中国を知るために』を元共同通信論説委
員長で海外勤務の長い榎彰氏に、同じく吉田健正氏の『戦争依存国家アメリカと
日本』を「伊達判決を生かす会」で砂川基地闘争勝利の経験を沖縄基地闘争に生
かすために取り組んでいる吉沢弘久氏にそれぞれお願いした。両氏の新著上梓を
オルタの読者とともに心からお祝いしたい。

◎11月26日は中国問題コンサルタント篠原令氏、12月3日は労働政策研究機構濱
口桂一郎氏の報告をソシアルアジア研究会でお聞きした。
 
  12月6日には和歌山県日高町での旧社青同OB会に参加した。日高町はかって
若者たちが漁民と肩を組み原発反対闘争を勝利した「古戦場」だ。名物クエ料理
を食べた民宿は反対闘争のリーダーが経営していた宿である。今は息子が継いで
いる。原発の賛否で二分された町も現在は住民一体で町起こしに取り組んでい
た。出席を予定していた12月12日総評会館での「安保50年同志の会」には妻の忌
日と重なったため欠席した。

 18日には横浜市社会福祉センターで開かれた『地域からつくる「新しい公共」
研究フォーラム』に朝10時半から4時半まで終日参加し、全国各地での取り組み
成果や問題点を聞き大きな刺激を受けた。(これについては稿を改めて報告を頂
きたいと思う)。

◎今年は、オルタ執筆者の方々が頻繁にマスコミに登場された。八つ場ダム流量
計算の誤りを指摘された関良基拓殖大学助教、尖閣問題で民主党細野議員と北京
に飛んだ篠原令氏、日中草の根交流に取り組む段躍中氏、内閣府参与で貧困問題
と格闘する湯浅誠氏などだ。
  
  勿論、政治家では前参議院議長江田五月氏、国交省関連などの大河原雅子議
員、農林副大臣の篠原孝議員、そして民主党国会対策委員長代理として活躍され
る斉藤つよし議員や社民党前議員の保坂展人氏がいる。
ますますのご活躍に期待したい。

◎今月はアメリカの武田尚子さん、中国の佐藤美和子さんのPCが回復し夫々入
稿して頂いたが、河西玲子さんの映画評と高沢英子さんのエッセー、河野貴司教
授の「環境問題解決へアプローチ」の続稿は都合により休載となったことをお詫
びします。今年も多くの方々からの励ましで毎月20日発行を守れました。心から
感謝し来年も決意新たに取り組む決意です。皆様よい年をお迎え下さい。
   
                         (加藤 宣幸 記)

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