編集後記95

【編集後記】 

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◎野田政権は「関係国とTPPの協議に入る」と表明したが、早速、米国から「例外
なし」と手荒な歓迎声明を受けている。TPPは農業だけでなく医療・郵政・保険
など日本の国のかたちをアメリカ基準に変えてしまう危険がある。小泉改革以
来、日本のマスコミはすっかり農業を「抵抗者」、財界を「改革者」に仕立上げ
ているが果たしてそうであろうか。

ナオミ・クラインが世界的ベストセラー『ショック・ドクトリン』(岩波書店
刊)で「徹底した民営化と規制撤廃、自由貿易、福祉や医療など社会支出の削減
などを柱とする経済政策は大企業や多国籍企業、投資家の利益に結び付き、格差
拡大や社会的緊張を増大させる」と鋭く指摘している。

今、アメリカ社会で格差問題など何が起きているかは「99%運動」を見るま
でもない。今号では濱田幸生氏に農業者の立場から【米国はTPPで日本の沃土を
狙っている】とTPPを論じ、初岡昌一郎氏の【海外論潮短評】ではアメリカ社会
の課題を「フオーリン・アフエアーズ」最新号でのアメリカの代表的ジャーナリ
スト、ジョージ・パーカーによる『アメリカの終わりか~不平等と社会的衰退』
を紹介して頂いた。

◎さらに【運動資料】ではTPPについて、前農水副大臣篠原孝氏のメールマガジン
が問題点を分かりやすく解明しているので同議員の了解を得て転載した。篠原氏
は元農林官僚でOECDに出向し、国際交渉の厳しさを体験され、『農的小日本主義
の勧め』『EUの農業交渉力』など著書が多数あり、早くからの『地産・地消。旬
産・旬消』の提唱者としても知られる民主党きっての農政通である。

◎ちょっとしたブータンブームだが、これはハンサムな国王が一般人から美貌の
王妃を迎え、国賓として新婚旅行を兼ねて訪日したという明るいニュースのため
だけではない。3・11以後の日本ではGDP一辺倒でよいのか。国民の真の幸福とは
何か。と改めて考えたいという気分があるからだ。

 インドと中国に挟まれた人口70万の小国ブータンはGNH(国民総幸福感)の提
唱で知られる。しかし、日本のマスコミには大分思い込みや伝聞が多い。これに
ついてちて現地に詳しく、憲法などをゾンカ語から直接研究されている埼玉大非
常勤講師坪野和子氏から、『ブータンのGNHと仏教思想―国家の自立とアイデイテ
イ発展―』のご寄稿を頂いた。

◎10月20日生活クラブ岩根邦雄氏を囲む会出席、21日ソシアルアジア研究会で大
崎佳奈子氏(前在中国日本大使館一等書記官)の『大使館勤務を通して見た北京
と中国』を聞く。24日東京・新宿のヒルトンホテルで世田谷区長保坂展人氏を励
ます会に出席。25日榎彰東海大学教授からEU・中近東情勢などを聞く。

 11月3日 衆議院第二議員会館で大原社研横関至氏から著書の『農民運動指導
者の戦中・戦後―杉山元冶郎・平野力三と労農派―』と山口希望・堀内庸一郎氏の
政治学会報告の勉強会を持つた。

6日『法然と親鸞展』鑑賞。7日神保町で宇野重吉が出演する東北映画紀行『心の
山脈』を観て原発禍で失われた東北の文化・自然を深く想う。ついでイタリアの
レジスタンス映画『やがて来る者へ』も観る。

 8日「オルタ」HPのリニアールについて木村京子氏のアドバイスを受ける。15
日明大で『ILO協同組合振興勧告採択10年―発展の軌跡と展望―』シンポジューム
出席、ILO駐日代表長谷川真一氏・前ILO理事中嶋滋氏や旧知の「生活クラブ風の
村」理事長池田徹氏などの話を聴く。18日ソシアルアジア研究会で菅直人夫人か
ら『首相官邸から見た日本政治』を聞いた。

◎26回連載された吉田健正氏の【A Voice from Okinawa 】は沖縄の視点から
本土のマスコミが伝えない米軍基地問題など読者に強い共感を呼んだが、著者が
体調を崩され残念ながら今月号で連載は休止となり、今後は随時ご寄稿を戴くこ
とになった。長い間のご執筆に心から感謝し、一日も早い回復をお祈りしたい。
         
【お断り】今月の羽原雅清「落穂拾記」武田尚子「ゆれる移民の国アメリカ」松
田健「アジアレポート」川西玲子「映画を楽しみましょう」は休載となりますの
でご了解願います。
                   (加藤宣幸 記)

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