■【運動資料】

要望書~東京中国人学校の設立

  日本新華僑華人会・東京華僑総会


加藤紘一先生 江田五月先生 太田昭宏先生

要 望 書

 1972年の日中国交正常化以来、今年はちょうど40周年にあたります。こ
の間、わが祖国は改革開放政策により、経済は飛躍的に発展を遂げましたが、こ
れには日本国による延べ3兆円にのぼるODAや様々な形での技術協力、近代化
へ向けての各方面への協力が中国経済の発展を後押ししたことは言うまでもあり
ません。一方、人的交流の面にも、この40年間のあいだに大きな変化がありま
した。

 両国人民の交流訪問は想像もつかなかったほど拡大し、深化しています。中で
も大きな変化は80年代以降、急速に増え続けるいわゆる「新華僑」の存在です。
古くから日本に居住している「老華僑」及び日本国籍を取得した「華人」を含め
ますと既に百万人近い華僑・華人がこの地に根を下ろし生活しております。
 
 昨年は辛亥革命百周年でしたが、横浜の中華学校の創立は1897年、神戸の
中華学校は1900年の創立でいずれも孫文先生の呼びかけに応じて当時の華僑
によって設立されたものです。又、長崎の中華学校が1905年に、東京中華学
校が1929年に、大阪中華学校が1946年に設立されていますが、以後、新
設校は一校もありません。現在、百万人近い華僑・華人の最大の悩みは子弟の教
育問題にあります。
 
 どこの国の親たちも、子どもたちに母国語教育を受けさせたいという願いは共
通です。しかし既存の中華学校の受け入れ能力には限界があり、かつ、学校経営
上直面する、日本の法的制度差別等の深刻な問題もあり、多くの華僑・華人は子
どもたちを日本の公立、私立学校に通わせるしか選択の余地がありませんでした。

 私たち華僑・華人は以前よりこのような現状に心を痛めており、本年、中日国
交正常化40周年を迎えるにあたり、是非、日本政府・財界・友好人士の皆様に、
東京中国人学校設立にご尽力していただきたくお願いするものであります。
 
 中国には「十年樹木、百年樹人」(十年先を考えたら木を植え、百年先を考え
たら人を育てる)という諺があります。華僑・華人の子弟の教育は、将来、中日
友好の架け橋となる人材を育てることであり、百万人の華僑・華人一人一人が多
くの日本人の方々と交流し、互いの文化を正しく伝える事ができれば、中日友好
として大変大きな力となり、ひいてはアジアの安定と団結、世界の平和に貢献す
るものと確信しております。

 中日国交正常化40周年という天の時に、都内に多数存在する公立小中学校の
廃校を利用し、地の利を生かし、中日友好に思いをいたす多くの各界人士の御協
力に支えられつつ、将来を視野に入れた東京中国人学校の設立を切に希望するも
のです。
 
 かつて日本は孫文先生らの辛亥革命の揺籃の地でした。そして日本に留学した
多くの清国人留学生が、その後の新中国の指導者として育っていきました。又、
遣唐使の時代には多くの日本人留学生、留学僧が唐の都長安で学んできました。
一衣帯水の中日両国は互いに尊重し合い、協力し合って共に新しい時代を築いて
いく必要があると思います。

 祖国を理解し、日本をも理解できる、そのような新しい世代を育てていくこと
は、中日友好の将来にとりましても重要で極めて意義深いことと確信いたしてお
ります。どうか東京中国人学校の設立に御助力を賜りますようお願い申しあげま
す。

2012年3月1日  日本新華僑華人会 会長 陳玳〓 (〓=王+行)
           東京華僑総会   会長 廖雅彦

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