都知事選挙結果と1本化論の敗北バラバラ論批判

【自由へのひろば】

都知事選挙結果と一本化論の敗北バラバラ論批判
舛添に迫る脱原発票 若者は保守支持が圧倒的

                       仲井 富

 即原発ゼロを掲げた細川・小泉の知事選参戦で都知事選挙は盛り上がった。マスコミや世間は舛添圧勝、脱原発派の敗北というがそうだろうか。次点の宇都宮と三位の細川の得票を合算すると、舛添の得票2,112,979(43.4%)に対して宇都宮・細川の合計得票1,938,657(39.8%)は肉薄している。2012年12月の都知事選に宇都宮が968,960(14.58%)だったことを思えば、得票も得票率も倍増加以上だ。両者ともに大健闘であったと評価すべきではないか。「細川なら勝てる。宇都宮では惨敗だ、ともかく宇都宮をやめさせて細川に一本化を」と最後まで宇都宮下しにこだわった一握りのひとたち。菅直人氏や周辺の非共産系学者、文化人、市民運動家などはこれをどううけとめるのだろうか。

 もう一つ見逃せないのが最右翼の田母神の得票だ。610,865(15%)で法定得票数の10%をクリアしたのは大善戦といえよう。しかも各紙の出口調査では20代で24%の支持を集め、舛添に続いて二位に入った。しかも30代でも細川を上回る17%で第三位だった。若者の支持が20代では舛添・田母神で60%、30代で55%。対する宇都宮・細川は20代では30%%、30代は36%と低かった。脱原発のみならず憲法改正、秘密保護法などにもつながる問題であり、軽視できない結果といえる。(14・2・10、朝日新聞出口調査)

図)朝日新聞出口調査にみる投票動向、無党派層は4候補に分散
 http://www.asahi.com/articles/photo/AS20140209002306.html

 「原発ゼロ」を掲げた2候補のうち、宇都宮健児氏は各世代から偏りなく得票したが、細川護熙氏は20代、30代の得票率が極端に低かった。20年前に首相を辞め、政治活動から遠ざかったためか、若年層にとって存在感が薄かったようだ。若年層で細川氏を上回ったのが田母神俊雄氏で、特に20代では24%の票を集めた。一方、60代は7%、70歳以上は6%と低率だった。戦争を知らない世代に浸透したのは、ネットを上手に活用したことが要因だろう。
 投票の際、どの政策を最も重視したかについて五つの選択肢から選んでもらったところ、「医療・福祉」が最も多く37%、「原発・エネルギー」は22%にとどまった。原発問題が最大の争点だったとは言い難い数字だった。
 原発を今後どうすべきかを聞いたところ、「今すぐゼロにする」21%、「徐々にゼロにする」63%、「ゼロにはしない」15%。「今すぐゼロにする」と答えた人はただでさえ少数派だったうえ、その投票先は細川氏に45%、宇都宮氏に37%と二分された。「徐々にゼロにする」と答えた人は53%が舛添氏に投票した。舛添氏は自民支持層の67%、公明支持層の83%から得票。宇都宮氏は共産支持層の84%、社民支持層の72%を固めた。民主支持層で細川氏に投票したのは45%にとどまり、舛添氏に28%、宇都宮氏に21%と割れた。無党派層は舛添氏に33%、宇都宮氏に25%、細川氏に24%、田母神氏に10%と分散した。(峰久和哲)

◆猪瀬の430万獲得が戦略 97万票の争いでは勝てない

 今回の脱原発陣営の最大の焦点は、細川支持に一歩化という民主・市民グループと、一本化の条件なしとする共産・市民グループの論争だった。しかし両者に欠けていたのは、細川・小泉の「即原発ゼロ」の強烈なインパクトをどう生かせば、首都の脱原発運動の拡大につながるかという戦略的な議論の不在だった。12年12月の都知事選挙では、猪瀬が430万票という史上最高得票で当選。次点の宇都宮は97万票、得票率14・5%に過ぎない。あとの候補者はすべて法定得票数に満たなかった。
 とすれば、細川の即脱原発の戦略目標は430万票の過半数をいかに獲得するかにある。97万票の宇都宮の票の争奪戦では勝ち目はゼロだ。430万の猪瀬票の過半数を獲得するために、従来の脱原発勢力がやれることはなにか。両者ともそういう議論をするのを聞いたことがない。「細川なら勝てる、宇都宮では惨敗だ。宇都宮を降ろして細川に一本化しろ」『菅直人ブログ』(1月9日)。相呼応して鎌田慧・河合弘之氏らも「宇都宮さん降りろ、細川に」と動き出し「脱原発知事を実現する会」を1月15日に発足させた。宇都宮氏は「細川氏ときちんとした話し合いもなしにお前やめろとは失礼だ」と断った。
 また細川氏側は「一本化の話し合いをするつもりはない」と断った。河合氏らはこれを受けて1月20日に「脱原発知事実現のために細川氏を勝手連的に事務所を作って支援する」と記者会見した。さらに投票日直前の2月3日、鎌田、河合の両氏を先頭に99歳のむのたけじ氏まで駆り出して「これは日本の政治、経済路線の転換点」と両者に一本化をよびかけた。「告示後になって、どちらかに『降りろ』と言うのは失礼では?」との報道陣の質問に、鎌田氏は疲れた表情で「再稼働や原発輸出が始まったら、泣いても泣ききれない。お願いするのは失礼じゃないでしょう」と応じという。
 河合弁護士によると、公職選挙法上、告示日の午後5時以降に立候補を取り下げることはできない。個人演説会などで立候補の辞退を表明し、別の候補への支持を呼びかけることも違反。要するに「ともかく宇都宮さんが下りたと言えばいい」という考えなのだ。だが両陣営ともにこれを拒否した。一本化に動いた方々に根本的に欠けていたのは、なぜ細川側が最後まで一本化を拒否したのかという内実を全く理解できなかったことと、直近の都議選、参院選結果がもたらした政治状況の認識だった。

◆菅や野田への細川氏の不信、再稼働・増設は原発容認と批判

 まず第一は、細川氏の民主党や菅、野田に対する不信感だ。細川氏は2011年の4月、朝日新聞で菅直人氏は総理の座を降りるべきだと述べた。その理由は、震災原発対応を含めて民主党政権への批判だった。この中で細川氏は「菅さんは己をむなしくして『正念場内閣』を作らないといけない。首相は谷垣さんでも、小沢さんでもいいぐらいの度量がなければできない」。記者が「今の話が、菅首相への一番のメッセージになったように思いますが」という問いに「さあ、どうかな。自分が可愛いうちは切腹できませんよ」と突き放している(朝日2011・4・13、「強いリーダーは時代が呼び出す」)。ちなみに細川氏は、2010年の菅対小沢の党首選では小沢氏を支持していた。

 東京新聞との対談では、野田首相にたいしては「11年に直接会って脱原発で旗印を明確にすべきだと強く迫った。だが明確な返答はなかった」と述べている。さらに「終息宣言は誤りだった。大飯原発の再稼働も疑問だったが、後の祭りだった」と語っている。(東京2013・12・11、「原発事故は文明災」)。また毎日新聞の対談で、より具体的に以下のように述べている。政治の師として泥鰌首相の誕生に協力したが、野田首相に原発推進策を転換させられなかった。11年10月、油絵の個展に足を運んだ弟子に「脱原発で旗幟を鮮明にすべきだ」と詰め寄ったが、まるで聞く耳を持たず原発事故の終息宣言を出した」と語っている(毎日2014・1・11)。

 参院選では菅氏が支持した大河原雅子は27万票で惨敗。連合東京は早々と舛添支援を決めていた。そういう手足も失った菅氏や民主と組んで勝てると思う方がおかしい。しかも原発ゼロを掲げながら、大飯原発再稼働、大間原発工事再開、原子力規制委員会が認めた原発は再稼働を容認という民主党の菅・野田氏らの「原発ゼロ政策」を細川氏は全く評価していないのだ。だから民主の支持要請も断った。民主都連は当初は舛添支持に動き、翌日は細川支持とまったく定見がなかった。民主党やその亜流の市民運動と組むという発想が生まれる筈がなかった。以下は細川氏のブレーンとして、今回の出馬にも参謀的な役割を果たした田中秀世氏の民主党批判である。菅・野田氏らとは根本的に相いれない、過去の同志からの批判である。

(注)1
●細川ブレーンの田中秀世氏の民主党政権総括への批判
 細川氏のもっとも信頼するブレーンの田中秀征氏(元経済企画庁長官、福山大学客員教授)は「民主党は果たして再生できるか」と以下のように述べている。

 民主党ははたして再生できるか? 衆院選惨敗の敗因さえ掴めない野党第一党の危うさ真の惨敗理由は「重大な公約違反」的はずれな民主党の衆院選敗因分析。
 海江田万里代表を本部長とする民主党の改革創生本部は、衆院選の大敗を総括し、党改革の原案をまとめた。そこで民主党は、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦3首相の責任を「トップによる失敗の連鎖」と厳しく指摘している。鳩山氏の米軍普天間移設問題での迷走は当然としても、党が指摘した、菅氏の「突然の消費増税発言」や野田氏の「解散時期を見誤った」とする失敗は本当の敗因を覆い隠すものではないか。なぜなら、民主党による昨年の消費増税を基本的には正当化しているからである。総選挙の惨敗は、あくまでも民主党の歴史的な重大公約違反によることは明らかだ。重大公約の1つは、消費税増税の前に官のリストラ(無駄遣いの根絶)を断行すること。もう1つは消費税増税を在任期間中には決めないこと。それは当時の最高責任者である鳩山代表がはっきりと証言している。この2つの公約違反が民主党の大敗を招いたのであり、単に「突然の発言」や「解散時期を見誤った」からではない。
 結局、増税反対派を締め出し、賛成派が残ったから、こんな的はずれな総括をしたのだろう。この総括ではとても民主党を離れた支持者は戻ってこない。徹底した行政改革をしなければ消費増税しないと約束した民主党と、一貫して消費増税を主張してきた自民党との二者択一になると、公約通りの自民党が勝つのは当たり前である。要は、政党に対する信頼の問題だ。「重大な公約違反」を率直に認めてお詫びしなければ民主党は二度と立ち直れない恐れがある。一度重大な公約違反をした政党は、「今度の公約は守る」と言っても、それを信じる根拠はない。率直に認めて謝るなら多少の希望は持てるが、今回の民主党の総括は正面から誠実に対応しているとはとても思えない。増税発言も解散時期も、単にその“タイミング”の問題として逃げている。(政権ウォッチ【第170回】2013年2月14日、田中秀征[元経済企画庁長官、福山大学客員教授])

●共産や山本太郎ら若い勢力を無視した一本化工作
 第二に鎌田氏らの政治状況の認識不足があげられる。確かに小泉氏が安倍政権に歯を向いて公然と「即原発ゼロ」と言い切ったインパクトは大きかった。細川氏を担げば勝てる可能性が高いという思惑もわかる。だが昨年12月都知事選以降の政治状況の大きな変化を完全に見落とした。衆院選挙の惨敗に次いで、昨年6月の都議選で民主は共産に次ぐ第4党に転落、7月の参院選挙では東京、大阪、京都とすべて議席ゼロとなり、変わって共産党が議席を奪還した。東京では共産党の吉良佳子約70万票、山本太郎約66万票、菅氏は地元では武蔵野、小金井で都議選完敗、党規違反まで犯して推した大河原雅子は7位で約23万票の惨敗だった。
 共産党や山本太郎の支持組織に正式な話し合いも、問題提起もしないで、わずか数日間で一本化できなくなったことを前提に「脱原発知事を実現する会」を発足させ、細川支持を打ち出した。両者のはざ間で、山本太郎は「投票に行こう運動」しかできなくなった。緑の党の比例区で三宅洋平は約18万票の個人得票数を獲得し、最多得票落選者となった。その三宅は「細川氏には百歩の距離を感じる。宇都宮さんをやる」と宣言した。2人とも名護市長選挙に3日間ずつ入って稲嶺勝利に貢献した。共産の吉良佳子氏も名護に駆け付けた。かりに一本化が必要だったとしたら、こういう若い力をまとめる努力が必要だった。
 「ばらばらだったから脱原発派は負けた、まとまれば勝てる」というのは菅氏やそれに追随してきた旧左翼の非共産市民派の言い分だが、共産や山本太郎は勝っている。敗けたのは原発ゼロを含めて有権者から不信任された民主党とその亜流の「生活の党」などである。民主党がなぜこれほどまでに敗北したのか。前記の田中秀征氏のようなまともな批判には耳をかさず。「脱原発の世論は6割以上ある。ばらばらだから敗けた。まとまれば勝てる」(菅直人ブログ)という責任逃れの総括を繰り返すのは、負け犬の遠吠えに過ぎぬ。細川陣営も議席ゼロの菅氏や民主支持派の人たちと組んでは勝ち目はない。終始一貫「一本化するつもりない」と断ったのは至極当たり前のことだ。

●一本化論がもたらした脱原派のコップの中の争い
 共産党を説得して一本化すれば勝てるという条件は都知事選の場合ありえなかった。自公は都議選完勝で地域をがっちり固めていた。参院選でも3議席を確保した。大阪の橋下打倒や名護の基地移設では、共産党は大きな戦力となったが、それぞれの地域の経緯と実情は異なる。保守層430万票の半数を取り込むためには、民主や共産と組んでは、過半数獲得の選挙戦略にマイナスになってもプラスはない。一本化に賛同した真面目な方々は善意ではあるが、このことがわかっていない。
 「ばらばら論」に乗って一本化論をふりまき脱原発陣営を混乱させた鎌田氏らの責任は大きい。鎌田氏は一本化によって、細川氏が勝利すれば安倍の悪政(秘密保護法強行採決、辺野古米軍基地建設強行、武器輸出解禁、原発輸出策動など)を止めることができる、と力説した。だが菅氏の民主党政権が、大飯原発再稼働、大間原発など三つの原発工事再開、沖縄の辺野古移転の承認、尖閣ビデオ流出で「秘密保全法」を準備したことが今日の「秘密保護法」に繋がった経緯など、すべて知らなかったわけではあるまい。それが「菅など元首相4人が脱原発で立ち上がったのは画期的。この千載一遇のチャンスを生かそう」と絶賛した。これに反対する者には「反ファシズム統一戦線」まで持ち出して、目先のことしか考えない愚か者だと批判した(東京新聞「本音のコラム」)
 即脱原発さえ言ってくれれば、過去の沖縄切り捨てや、日米同盟回帰の悪政はすべて忘れるということらしい。だが細川・小泉は鎌田氏が絶賛する菅や野田ら元首相を全く無視して、共に組むことを峻拒した。これからも組まないだろう。なぜなら菅や野田と組んでは保守勢力の過半数を目指す「即脱原発」の戦略は成功しない。有権者から否定された民主党の再稼働容認という「原発ゼロ政策」とは相いれないからだ。逆に菅・鎌田氏らにまといつかれることは、細川陣営の保守層過半数獲得という選挙戦略の邪魔になるのだ。大げさな記者会見で細川支持一本化を訴えたが「悪女の深情け」で、かえって保守支持層の細川支持の腰を引かせる役割を果たしただけといえよう。
 また脱原発陣営に不信感を煽り、無用な混乱を持ち込んだ。やりたければ「宇都宮下し」や「どこでも候補者を立てる共産党」と非難する前に、「私は今回細川をやります」とそれぞれが宣言し、それこそ勝手に、細川事務所のポスター張やビラ配りにでも参加すればよかった。脱原発陣営を二分する騒動を起こし「宇都宮では惨敗だ、細川一本化で勝てる」と言った人々は、宇都宮次点、細川三位の結果をどう総括するのか。

(注)2
●鎌田慧氏の1月28日の東京新聞「本音のコラム」の全文。
『デミトロフ』 鎌田慧 ≪「デミトロフ」といっても、チョコレートやケーキの名前ではない。ましてや「テルミドール」のような料理でもない。東欧ブルガリアの政治家である。私などの老輩には、デミトロフは「獅子吼(ししく)」という言葉とともに思い起こされる。獅子吼といえばデミトロフである。ゲオルギー・デミトロフは、1933年2月のドイツ「国会議事堂放火事件」の容疑者として逮捕された。が、ナチスの共産党弾圧を引き出すための、自作自演のでっち上げだった。ナチスの法廷に引き出されたデミトロフは、徹底的に陰謀を検証して、翌年には無罪を勝ち取っている。しかし、名前が記憶されているのは、国会放火事件によってではない。その2年後に行われた、「コミンテルン大会」での演説によってである。彼は独善的で公式的、現実には全く通用しない、排他主義的な同志たちを批判、大胆な反ファッショ統一戦線の結成を呼び掛けた。ナチスと対抗するための、多様で広範な、民主主義のための共同行動を熱烈に訴えた。その情景が「獅子吼」として語り継がれている。戦争に向かおうとしている、いまのこの危機的な状況にもかかわらず、広く手を結んで共同行動に立ち上がらず、あれこれ批判を繰り返している人たちに訴えたい。いったい敵は誰なのか、と。

(注)3
●なぜ、脱原発候補の統一が必要なのか 要旨(ポリタス、2014年2月1日)
 ㈰元首相が四人も、原発は駄目だ、自然エネルギーに転換しようというのを、嘘っぱちとはいわない。四人の元首相がそろって原発は駄目だ、ということに未来を感じます。世界に例のないことです。いま原発再稼働は日本の最大の問題です。安倍首相の人命無視のさいたるものです。それに恐怖を感じることなく、原発だけが問題ではない。他にも問題がある、福祉をどうするのか、というのは、難癖というものです。原発を止める力があれば、さまざまな問題の解決に向かうことができます。
 ㈪宇都宮に統一すればいいじゃないか、という意見もあります。それは贔屓の引き倒し、というものです。細川立候補は、原発反対運動を分裂させるためだ、という意見もあり、小泉は自民党と謀って市民運動を分裂させて、憲法を改悪させるんだ、という「卓見」もでています。現実を良くみてください。自民党が分裂しかかっています。統一して戦えば勝ち進められる絶好のチャンスがきたのです。
 沖縄の名護選挙の稲嶺勝利は、保守派や自民党員、自民党支持の財界人たちが、沖縄の総意を裏切った自民党を許さなかった結果です。でも沖縄の知事は公約を裏切ったじゃないか、だから細川も公約を裏切る、というのは、その厳粛な事実に背を向けた、あまりにも侮蔑的ではないでしょうか。民意を裏切ったものは、歴史的に批判されます。わたしは、都知事選での、大胆にして柔軟な、脱原発派、憲法擁護派候補の統一を訴えます。子どもたちに未来を残すために、ここはいま勝てそうな味方の候補に譲りませんか。(鎌田慧、ルポライター)

●サヨナラヨナラ鎌田慧さん」の投書と若者の声
 「原発ゼロ」どころか「議席ゼロ」の主犯の菅氏は、今回の都知事選の後も「無念残念、まとまれば勝てたのに、ばらばらになったから敗けた」(「菅直人ブログ」2月10日)と相変わらず脳天気な選挙総括を記している。鎌田慧氏の今回の動きは、彼の従来のスタンスからすれば、最も不可解だった。昨年6月25日、東京新聞の本音のコラムで、民主党の都議選惨敗を「憲法、原発、TPP、築地市場移転など政策は全く自民と変わるところはなかった。あたかも第二自民に終始したから愛想をつかされたのだ。二股膏薬の民主は分裂せよ」とまで言い切った。その第二自民の菅氏とともに一本化を先導し、「四人の元首相が組んで都知事選に勝利し、安倍の悪政阻止を」と大見得を切った。週刊金曜日2月7日号に鎌田ファンの佐々木洋子氏の「サヨナラ鎌田さん」と題する要旨以下のような投書が載った。
 「気骨のルポライター、鎌田慧氏の大ファンでした。あなたは、権力への怒りをペンにたぎらせて、対峙してきたはずではなかったか? 東北を含めてオリンピックを開催しようなどと、たわけたことをぬかした時点で、細川氏はアウトじゃないでしょうか。おまけにピッタリはりつく御仁こそは、「同胞」を一度は見捨てた(イラク人質事件)あの方、ですよね? もうお忘れですか?.本能的にムリ! です。あなたは絶対相容れないはずであった「命を弄ぶモノー権力」にくみした。サヨナラ、鎌田慧さん。私、あなたのファンやめます」。
 細川一本化工作がもたらした脱原発陣営の混乱について選挙に参加した若者からも痛烈な意見が見られる。「選挙総括」への原祐介氏のツイート。
 「あえて個人的な意見を付け加えます」。多くの「有名人」の皆さん。あなた方の世代が「敗戦の総括」をきちんとせずにずるずると後退し続けた結果、日本の大衆運動はここまで退潮したのだと私は考えます。「敗戦の総括」と「次回への展望」を有権者に示す責任を放棄しないで下さい。どれだけの人間が今回「一本化」に巻き込まれたのか、苦しんだのか、自覚の上での総括をしてください。それが年長者の責任ではありませんか?

 (筆者は公害研究会代表)


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