【コラム】
あなたの近くの外国人(裏話)(18)

韓国アカスリさんたちは韓国人とはかぎりません

坪野 和子


 みなさま。季節の変わり目って、特に体調にきますよね。整体師との接触が多くなりがちだと思います。またそういう気分であっても「クセになる」「時間がない」などということで、マッサージしてほしいと思っても、つい我慢してしまいがちだろうとも思います。今回は韓国アカスリのみなさんとの出逢いです。

1.あれ?? 中国語で話している?? …脱北

 アカスリ整体師さんと受付嬢が…なぜか私がわかりやすい四川方言と普通語まじりの中国語で会話していました。四川方言の受付さんそのものが珍しくて、しかも私の懐かしいことばでした。なぜ懐かしいかというとチベット自治区では普通語よりも四川方言を話す中国人・チベット人が多いからです。受付嬢の顔をよく見ると…たぶんチベット人の血筋だろうな…って。ただし、チベット語がはなせるかどうかは別なので、そして、たまたま隔世遺伝かもしれないので、ほじくるのは、やめました。

 アカスリ整体師さん、もっともっと複雑な事情で日本に来ました。実は脱北…でした。北朝鮮では小学校の教員でした。施術していただいている間に「私は教師」と中国語で言ったら、事情を教えていただきました。北朝鮮から中国を経て韓国経由で日本へ。アカスリの仕事で来日したのですが、彼女を理解できる日本国籍男性と知り合い結婚して定住。

2.あれ?? 中国語で話している?? …中国朝鮮族

 アカスリ整体師さんとマッサージ師さんが…。
 「おにいさん(センパイ)、今日けっこう忙しいよね。予約で満杯」
 東北中国語で話していました。マッサージ師さんと話したら、中国朝鮮族だとか。韓国アカスリの人脈で国籍関係なく同じ親族のつながりで日本でマッサージの仕事。

3.だって日本人の妻だし…

 もともとマッサージとは関係ない仕事をしていた…だけど、日本人と結婚して得やすい仕事がアカスリだった…とのことです。韓国語話者に対するエージェンシーによる研修があったり、日本に来てからはじめてアカスリの仕事をしたという女性は少なくないようです。
 施術はイマイチでも日本人の奥様なので、コミュニケーションという別のリラクゼーションはある意味技術でしょう。

4.えっ?? 本当に中国人??

 びっくりしました。中国朝鮮族ではなく、東北朝鮮族ではなく、さらにコリア血縁なし…中国人。
 しかも、コリア語も話す。パートナーがコリア系かと質問すると「Yes」が多いのですが「No」という方も…男女関係なく。(男性はアカスリでなくマッサージ整体師です)

5.全部リラクゼーションできて全部話せた「みどりさん」…プラウド全開

 なんと!!アカスリの仕事で来日し、日本人男性と再婚できたみどりさん。
 さすがに職人来日だけあって…全身のむくみを取ってくださいました。
 20年ちょっと前にアカスリのプロとして来日。そのとき、彼女はバツイチだったそうです。
 彼女はかなり技術に対するプライドがあるので、そして、合間に私のインタビューも理解できました。

 「私は25年前、アカスリの仕事で来日、この仕事のために日本に来ただ。だから、今、私が新しい人を教えているな。他の○○とか、私と違うでしょ??  私がカノジョたちを教えているだから」
 中国朝鮮族や脱北のアカスリさんに対して
 「…ああ、普通の日本人、わからないけれど、彼女たち、言葉ヘン、私たち日本長いからすぐわかる。日本人は韓国語で話しているなって思う程度しかわからない人、韓国語がわかる日本の人は少し言葉違うな、センセ(仕事が教師と話したから)あなたわかるな」

 それはともかくプロとして来日した彼女の施術は私にとって高いお金を出しただけの価値がありました。滞り、予想外の部分のコリ。発覚しましたから。

6.しかしながら国内雇用

 日本人の盲目の男性がおっしゃいました。「マッサージの仕事は外国人にもっていかれたね」
 あ…切ない…と思ったら、彼は私の予想とは逆にステキなことを言いました。
 「マッサージの仕事が弱者のためなら外国人の技術者にとって日本での活路であればいいかもしれない。
 いままでのような左膳さん…で甘えてもいけない。検校さん…こいつらわがままのかたまりだったから恥じなくてはいけない。
 俺は同じような障碍者のわがままや甘えが嫌いだ。外国人によって自分たちをおびやかしてくれることは歓迎だよ」

 (高校時間講師)

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