Photo Gallery by ますの きよし



2011年3月20日 87号 (29) ケマラ諸島ホエールウオッチ体験
ケマラ諸島ホエールウオッチ体験
3月11日は、東日本を中心に記録的な大地震と津波が起きた日ですが、偶然、ぼくは10日~12日、沖縄の那覇市にいました。
 特に11日は、ケマラ諸島ホエールウオッチに行きました。
 夏は北のシベリア海域に住むザトウクジラが、冬は温かい場所へと回遊して来ます。ケマラ諸島は波の穏やかな浅瀬なので、ザトウクジラの交尾・出産・子育てに適しているようです。
  朝8時過ぎ、定員60人の高速艇に約15人の予約客が乗り込み、出航します。クジラを発見すると、船は、その付近に停止しますが、波の揺れで、いつも何かに掴まっていないと危険です。一方、クジラは呼吸のため、海面に姿を見せますが、何処に顔を出すか、予測出来ないし、すぐ潜行するので、撮影は至難です。何度もチヤンスはありましたが、結局、お見せ出来る写真は僅かでした。15人の客の中、3人の女性は、冷えと揺れのせいか、船酔い気味で、エチケット袋を手に、うつむいていました。
  撮影の成果は僅かでしたが、クジラの咆哮を聞いたのは、忘れられない体験でした。テレビなどで、クジラが啼き交わす「ヒューヒュー」というような高音の合図みたいな声とは全く異なる、「グォッ、グォッ」という、ライオンや象が威嚇する時に出すような声がハッキリ聞こえました。クジラの近くには、ぼくらの船と同じサイズの3隻がいたので、子育て中のクジラが警戒するのは無理もないことです。やはり、そういう声を聞いてしまうと、「クジラを殺すな」という運動をしている人たちの気持ちがよく分ります。


2011年2月20日 86号 (28) 秋田県横手市の『かまくら』
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2月15~16日、秋田県横手市の「かまくら」に行ってきました。
  「かまくら」は普通、高さ約3m、直径約3.5mの雪の塊を作り、スコップの裏で叩き固め、その後、内部に人が数人座れる空洞を掘り、真ん中に火鉢、壁に祭壇を設け、水神を祀る行事の形を取り、客を招いて、餅を焼き、甘酒を飲んだりします。
  真っ白な雪に覆われた世界に、かまくらの中だけ、火の明かりと暖かみがあって、雪国の伝統文化の懐かしさを感じます。(画面のような、いろいろなかまくらが用意され、希望する人は、中に入って、焼き餅などを接待されます)
  横手に向かう途中、新幹線を北上で降り、ローカルな北上線で横手まで行きました。
  この電車は二両編成のワンマンカーで、ドアの開閉は乗客自身でします。途中、無人駅もあり、「無人駅では、、、しなさい」という注意書きがあります。万事、自動化されている首都圏の乗り物とは大違いです。
  2日目、ホテルから駅に行くタクシーの運転手に、「ぼんでん」(梵天)を見て行きなさい、と、本格的な秋田弁で勧められました。「ぼんでん」は派手な飾り付けをした神祭具で、高さは5mを越え、アイデアや出来栄えを競うコンクールとして催されます。そのコンクールの様子を、しばらくタクシーを降ろしてもらって、見学しました。


2011年1月20日 85号 (27)イカル
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昨年12月、奈良を旅行しました。法隆寺などのある地は「斑鳩の里」と呼ばれますが、この「斑鳩(イカルガ)」の語源は、昔、この辺りには、野鳥の「イカル」が沢山いたからだ、と言われます。
  ぼくは、野鳥図鑑でイカルを見たことはありますが、その頃はまだ、実物を見たことがなく、ぜひ実物を見たいものだと、法隆寺付近でも、キョロキョロ探しました。が、残念ながら、その時の旅では実物と対面できないままでした。
  年が明け、丹沢山麓の「葛葉広場」という、自然公園みたいな場所を散策している時、地上で木の実などを探しているイカルを見つけ、撮影したのが画面です。
  イカルは、アトリ科の野鳥で、太くて頑丈な嘴を持ち、堅い木の実でも、噛み砕いて食べます。皆さんも、林の中を歩く時、「斑鳩の里」の語源になったイカルに出会うかもしれませんね。


2010年12月20日 84号 (26)カササギサイチョウ
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  今年6月末から7月初めにかけて、マレーシアのランカウイ島とクアランプールを訪れました。多分、10回目くらいと思います。この島で、体長1mくらいの「ベンガルモニター」と呼ばれる野生の大トカゲに会うのを楽しみにしていたのですが、残念なことに、約1年前から姿を見なくなりました。蚊の駆除のため、ホテルがかなり入念に殺蚊剤を散布していて、大トカゲのエサになる小動物なども一緒に駆除されたのかもしれません。仕方ないので、今回は、専門家のガイドが案内してくれる、半日のバードウオッチに参加しました。
  海抜900mのGUNUNG RAYA山を車で登りながら、時々、車を降りて歩き、バードウオッチする、という、74才のぼくにも出来る野鳥探しです。この散策で、写真は撮れなかったけど、翼を広げると3mにもなるという、オオサイチョウ(英語名:Giant Golden Hornbill)が熱帯林の上を飛翔する姿を何度も目撃しました。ぼくは、知床で野生のオオワシ(翼を広げると2.5m)も見ましたが、それより大きなオオサイチョウが熱帯に棲むこと自体、恥ずかしながら知りませんでしたので、かなりびっくりしました。オオサイチョウは雑食ですが、時には、ヘビを咥えて、樹の幹に叩きつけ、弱ったところを呑みこむ激しい一面もあるそうです。
  このオオサイチョウの親戚筋で、サイズはずっと小さいカササギサイチョウは、ぼくの泊ったホテルの庭にもよく現われるので、知っていました。(画面は、そのカササギサイチョウです)大きな嘴の上に、犀の角に似た角質の鶏冠を持つので「サイチョウ」の名がついたようです。


2010年5月20日 77号 (25)スロベニアの雪割草
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日本の東北などの山地でも、雪解けの季節に可憐な花を咲かせる雪割草が見られますが、今回、ぼくは3月下旬、スロベニア、クロアチアなどアドリア海沿岸4ヶ国を旅行して、あちらの山地に自生する雪割草、サフラン、原生種と思われるクリスマスローズなどを見てきました。この地域は、昔のユーゴスラビア連邦が、ソ連崩壊後、いわゆる「ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争」を経て、今は六つの国に分かれています。民家の壁などに残る弾痕など、悲惨な内戦の傷も残っていますが、自然は、人間界の争いに巻き込まれることなく、その営みを続けていました。残雪の見られる山の斜面などに、鮮やかな紫色のサフランが群生していたりするのを見ると、溜息が出るほどです。雪割草は別名「スハマソウ」または「ミスミソウ」の名を持つキンポウゲ科の花です。


2010年3月20日 75号 (24)銀葉アカシア
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神奈川など首都圏で、真冬に咲く樹の花は、ロウバイ、梅などがよく知られていますが、オーストラリア原産の銀葉アカシアもその一つで、画面は、1月下旬に秦野市内で撮りました。見上げるような大木になるタイプで、秦野市内では、この樹を庭に植える方は少なくありません。アカシアと聞くと「アカシアの雨がやむとき」という、1960年頃発売された西田佐知子の歌を思い出される方もいるでしょう。あの曲で歌われた「アカシア」は、実は、北米原産の「ハリエンジュ」(今では「ニセアカシア」と言う人もいます)のことで、日本や中国では6月頃咲き、散るときに花弁が雨のように降るので「アカシアの雨」という歌詞になりました。花の名前は、学名は一つだけと決まっていて、他にニックネームはいくつあっても構いませんが、画面の花は、学名がアカシアです。他に、画面の花に似ている房アカシアもありますが、それは、英国やフランスで「ミモザ」と呼ばれます。ちょっと呼び方がややこしいで、気をつけましょう。


2010年1月20日 73号  (23)ホトケノザ
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春の七草の一つに「ホトケノザ」がありますが、そちらはキク科の、ちょっとタンポポに似た花で、これから述べようとするホトケノザは、シソ科で、全く違う植物ですので、混同されないようお願いします。シソ科のホトケノザは、早春に群生して、時には、休耕田一枚分を紫の絨毯のように覆い尽くすこともあります。が、ぼくの住む神奈川県の、比較的温暖な場所では、1年を通して空き地などにひっそりと開花していることもあります。画面は、冬にひっそり咲いているものを撮ったものです。極く小さな花ですが、この花の構造は、ご覧のように、意外に複雑です。素人のぼくには、なぜ、こんなに複雑なのか説明出来ませんが、多分、繁殖戦略のため、花粉を小さな虫に運ばせるのに必要な仕掛けなのだろうと推測しています。


2009年12月20日 72号  (22)ハキダメノギク
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「オルタ」読者の中で「ああ、ハキダメノギクなら知ってるよ」と仰る方は、何%くらい、いらっしゃるでしょうね?実は、ぼくは極く最近知ったばかりです。晩秋の畦道を歩いていて、フト、小さな、小さな花に目がとまりました。よく見ると、花弁のつき方が、ちょっと変わっていて、三つの小山を持つ5枚の花弁で構成されています。最近のデジタルカメラは、直径5mmくらいの花でも撮れるので、撮影して調べてみました。熱帯アメリカ原産で、日本には大正時代に入ってきた帰化植物の一つで、発見された場所がゴミ捨て場だったので「ハキダメノギク」という、やや不名誉な名前をもらっているようです。


2009年11月20日 71号  (21)皇帝ダリア
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 この数年、急に、この花の愛好者が増えたようで、近くの民家の庭で見かけることも多くなりました。11月は、花が少ない季節だから、ちょうど良い、ということもあるのでしょうね。メキシコ原産の、背の高い花で、さつま芋状の球根から竹のような茎が伸び、4mくらいの高さに、大輪の花をいくつもつけます。ダリア(Dahlia)の名は、リンネの弟子Anders Dahlから来たもので、メキシコの国花でもあります。メキシコは、北回帰線が国を横切る国で、熱帯と亜熱帯の中間ですが、高原は意外に気温が低く、そのため日本の11月の気温が開花に適した温度ということになりました。ところで、日本にダリアが持ち込まれたのは1840年代で、牡丹に似ているため、当時は「天竺牡丹」と呼ばれたそうです(昔は天竺=インド、唐=中国で、日本にとって「唐・天竺」は「遠い世界」と同義)。


2009年10月20日 70号  (20)北海道コムケ湖のサンゴ草
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ここで述べる「サンゴ草」というのは、アッケシソウとも呼ばれ、海水と淡水が混じる北海道の紋別から網走にかけての汽水湖付近の湿地帯に生育する植物で、葉が無く、茎が9月後半から10月にかけて、紅くなるために「紅い珊瑚」のように見えるものを指します。能取湖畔のものが有名で、立派な木道も設けられていて、観光客は足下を気にしないで撮影したり出来るようになっています。が、ぼくたちが行った2009年9月24日は、色がややくすんでいて、地元の人は「潮をかぶったせいかも」と説明していました。その後、人の手が全く入っていないコムケ湖畔にも行ってみました。それが画面です。木道も無く、近くまで行けないのですが、明らかに、能取湖畔のものより鮮やかな色です。(能取湖畔のものは、画面の手前の、ややくすんだ色のものに近い感じでした)コムケ湖のサンゴ草と、能取湖のサンゴ草の色の違いが、たまたま、その時の気象条件の違いによるものか、または、立派な木道が設けられていること等、人為的な問題が関わっていることなのか、通りすがりの観光客にすぎないぼくには判断出来ませんが、とりあえず、 今年9月下旬に見てきたままの事実を報告しておきます。


2009年9月20日 69号  (19)ギンヤンマの産卵
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9月中旬のある日、ぼくは家の近くの池で、ギンヤンマの雌雄が産卵しようとしている場面を見つけました。カメラを構えて観察していると、この産卵が、呑気に見物していられるような、楽な産卵ではないことが分りました。池の水面下では、大きな鯉がお腹を空かしていて、うっかり水中に産卵すれば、すぐ呑みこまれるばかりか、親のトンボだって、安全とは言えない様子なのです。メスは、慎重に、睡蓮の葉と葉の間に、鯉に見つからないように産卵しようと試みるし、前方に連結しているオスも、メスに協力する姿勢を見せますが、なかなかうまく行きません。困難は、それだけではありません。空中には、もう1匹のオスが舞っていて、あわよくば、連結しているオスを追い払って、自分の遺伝子を残すチヤンスを狙っています。画面は、そのオスが左から突進して来た場面で、産卵中のカップルは、それを避けようと羽ばたいています。こういう時、カップルは連結(タンデムと呼びます)したまま、空中に舞い上がり、旋回して再び睡蓮の葉の上に戻ります。こんなことを何度も繰り返していました。人の出産も大変ですが、自然界も楽じゃないなぁ、と思いました。


2009年8月20日 68号  (18)カムチャッカの花たち
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7月末、カムチャッカのフラワーウオッチに行きました。北海道から北東方向に、千島列島を辿ると、その先にあるサツマイモみたいな形の大きな半島です。総面積は、日本より少し大きいのですが、ぼくらが歩いたのは、その極く一部、アバチャ山麓の原野で、6輪駆動のオフロード用車に20人が乗る、かなりハードな旅でした。冬は-30℃で厚い雪に埋もれますが、夏は逆に+30℃にもなり、蚊の大群に悩まされました。一帯には、日本の北部の高山でも見られる高山植物「チシマクモマグサ」や、カナダなど北米に多い「インディアン・ペイントブラシ」など、多彩な花の競演が見られました。画面は、日本の軽井沢などでも見られるヤナギランで、広い原野一面がピンクの絨毯を敷き詰めたように見える様子は壮観でした。焼け跡に群生する意味と、遠くから見ると、原野全体が紅く燃えているようにも見える、という両方の意味から、英語名はfire weedです。


2009年7月20日 67号  (17) アカエリトリバネアゲハ
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日本で、普通にぼくたちが蝶を見る目線は、立った位置からまっすぐか、または、やや下向きになることが多いと思います。足元の草花の蜜を吸いに来る蝶を見る場合が多いから。でも、場所が熱帯雨林となると、話が違ってきます。強い太陽の光を受けて、熱帯の樹木は競って上に葉を広げ、その分厚い葉が造る屋根の下は、昼でも暗くなります。すると、熱帯の樹木は、明るい樹冠に花をつけるものが多くなります。花の蜜を吸いたい蝶は、熱帯雨林の樹冠上を飛翔する強い羽を持つ方が有利になります。こうして「トリバネアゲハ」族の蝶は、名前通り、鳥の羽のように大きな羽を獲得しました。世界最大の蝶と言われるアレキサンドラトリバネアゲハは全長280mmの羽を持つと言われます。画面のアカエリトリバネアゲハは、それほどではありませんが、日本の蝶に比べると、明らかに、飛行機の翼に近い形ですね。中米コスタリカで、熱帯雨林の樹冠観察目的で作られたケーブルカーに乗ったことがありますが、そこで、雨林の樹冠上を飛翔するモルフォ蝶を見たことがあります。環境によって蝶のイメージも変わるし・u栫A人の文化も異なるのは当然ですね。
(この画像は、クアラルンプールの蝶園で撮りました)


2009年6月20日 66号  (16) アイラトビカズラ
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この不思議な雰囲気を持つ花のことを新聞紙上で知ったのは1997年頃で、図書館で地図を調べたりして、翌年の5月、一人で熊本まで会いに行きました。初めて実物を見た時の印象も忘れられません。藤の花のように棚造りされていましたが、藤よりもずっと密集して葉が生い茂るので、花の咲く棚の内側は、雨戸を閉め切った室内のように真っ暗。その中に、画面のような色の花が咲いていました。伝説によれば、源平合戦の折、相良寺に火が放たれ、寺の観音様が、この木に飛び移って避難したことから、この名前がついたとされます。国の天然記念物に指定されていますが、2000年に、佐世保市沖の九十九島(の中の時計島)にも自生していることが発見されました。画面は、今年5月、相模原公園で撮ったものですが、多分、時計島で発見されたものの種を栽培したものかと思います。原産地は中国長江流域で、学名はムクナ センペルビーレンスです。言い伝えでは、この花は「優曇華」(うげんど)とも呼ばれ、稀にしか開花せず、開花すれば国家的事変があるとも言われたようですが、国の天然記念物に指定され、手厚く保護されるようになってからは、毎年開花しているようです。


2009年4月20日 64号  (15) カワセミの雌雄
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「翡翠」という漢字を見て、皆さんが最初に思い浮かべるのは、鳥のカワセミでしょうか?それとも、宝石のヒスイでしょうか?漢字の「翡翠」をよく見ると、どちらの文字にも「羽」が入っていますね?そうなんです。中国で最初に「翡翠」の名を貰ったのは、鳥のカワセミなのです。この鳥は、羽が輝くような青で、腹などが赤茶色です。それで、青を表す「翠」と、赤を表す「翡」の二文字を貰ったようです。その後で、その鳥の色のように、赤、青二つの色を持つ宝石が「翡翠」と呼ばれるようになりました。(日本で採掘されるヒスイの石は青緑系の一色なのでピンと来ないかもしれませんが、中国の「翡翠」は原則として二色だそうです)さて、画面は、神奈川県の平塚総合公園で今年3月に撮影したカワセミの雌雄ですが、どちらが雄で、どちらが雌か、判りますか?答えは、嘴の下側が赤いのが雌、黒いのが雄です。人間の女性も口紅をつけるので、人間と同じ、と覚えると、覚え易いかも(笑)。


2009年3月20日 63号  (14) 蔵王の樹氷
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今年3月1日に蔵王のロープウエイで山頂駅(1,661m)まで登り、樹氷を観て来ました。単純頭のぼくは、それまで、樹氷とは、トドマツなどに降り積った雪が寒さで凍りついたものだと思っていました。それなら、寒い地方で木の上に降り積った雪は樹氷になりそうなものですが、そういうぼくの理解は基本的に間違っていたようです。樹氷が出来る要件は、まず濃い霧が発生すること、その濃霧が強く冷却されて樹木に衝突し、凍結したものが「樹氷」なのですね。蔵王は日本の樹氷の名所ですが、それは日本海で発生した霧が、北風に吹き流されて、高山に生えるトドマツにぶつかることで、樹氷形成に必要な条件が整うからだ、ということでした。ぼくは若い頃、結核で病弱だったので、スキーなどやったこともなく、73才にして初めて冬の蔵王を目のあたりにし、樹氷の意味と、英語で「アイス・モンスター」と呼ばれる、その奇妙な姿を学ばせてもらいました。


2009年2月20日 62号  (13)瓢湖の白鳥
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今年2月上旬、新潟県阿賀野市の瓢湖に白鳥を観に行きました。もともと農業用水池として造られた瓢湖に、シベリア方面から越冬のため白鳥が飛来するようになったのは1950年からで、最初は個人がエサをあげているうちに飛来数が増え、54年に国の文化財に指定、昨年はラムサール条約にも登録されました。コハクチョウ、オオハクチョウ合わせて6千羽が飛来すると言われ、他にオナガガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロなど無数の水鳥が集まります。昼間は近郊の田園にエサ探しに出かけますので、観察は朝夕が良いかもしれません。JR新潟駅から車で20分くらいの距離です。


2009年1月20日 61号  (12) 山梨とメジロ
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ぼくの住む団地から南東に車で20分くらい走ると、平塚総合公園という、広い緑地帯があります。ここには、ヤマナシという名前の大木があり、春には白い桜のような花が咲き、秋には、直径2cmくらいの実をつけます。果物として食べる梨の原種と言われますが、ぼくらが食べても、甘みも無く、食用には無理です。今年09年の1月3日、そこに行ってみました。木の枝には、冬というのにまだ落果もせず、鈴なりに実が生り、カラス、ヒヨドリ、ムクドリ、エナガ、シジュウカラ、メジロたちが、それぞれの声で啼きながら饗宴の最中です。太い枝には大きな鳥が、細い枝には小型の鳥が、食べても食べても尽きない豊穣の果実に沸き立っているかのようです。公園の掃除に来たオジサンたちも、こんなに沢山実が生ったのは見たことない、と話しています。地上の人間たちは、世界不況に慄いているというのに、、。


2008年12月20日 60号  (11) マナヅル
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日本は温帯なので、1年中、日本で生活する野鳥の他に、冬期だけ、シベリヤなどの厳しい寒さを避けて日本で越冬する「冬鳥」と、夏に、熱帯を避けて日本で過ごす「夏鳥」と、二つのタイプの渡り鳥がいます。鹿児島県出水市は、秋から冬にかけて、沢山のナベヅルとマナヅルが越冬する市として有名です。ナベヅルは鶴としてはやや小型で、色彩も地味ですが、マナヅルは、有名な丹頂鶴より10cmくらい小柄なだけで、目の周りが赤く、見た目も華やかな鶴です。彼らは、夜は休耕田や湿地帯など浅い水の中に立って眠り、犬などの外敵が近寄ると、微かな水の動きで危険を察知すると言われます。食べ物は、保護活動をしている人たちが毎朝、用意してくれるので安心です。画像は、08年2月、出水市で撮影しました。


2008年11月20日 59号  (10) パロボラーチョ
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この花を初めて見たのは2001年4月にブエノスアイレスに行った時です。現地では「Palo borracho」(直訳すれば「酔っ払った棒」)と呼ばれています。花のサイズは百合くらい。それが大木に鈴なりで咲いていますから、凄い迫力です。この木の幹は、ビヤ樽のように真ん中が太くなっているので「酔っ払った棒」という名前をもらったのでしょう。その後、ロスアンゼルスでも9月に見たし、ポルトガルでは10月に見ました。そして今年11月19日に沖縄の那覇市で見ました。つまり、北半球では、9~11月にかけて咲くのですね。原産地は南米で、日本名は「トックリキワタ」です。画面は、日航那覇グランドキャッスルの庭で撮影しましたが、東南植物楽園にも何本か咲いていました。前に「熱帯三大花木」のことを書きましたが、もしも「亞熱帯三大花木」というものがあるとしたら、この花は、ぜひその中に加えてもらいたいものの一つです。


2008年10月20日 58号  (9)アオサギとダイサギ
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今年の9月、佐渡で人工飼育された朱鷺が試験的に、自然界に放たれました。国産の朱鷺は既に絶滅し、中国の好意で中国産の朱鷺を人工飼育したものの一部を放鳥したのです。一度壊れた自然を回復することが、いかに大変なことか、この例からも分かります。さて、画面は、ぼくの住む秦野市から平塚市に向かって流れる金目川でエサを探すアオサギとダイサギです。前者は日本に棲むサギの中で最大。少し青味を帯びた羽を広げて飛ぶ姿は美しく、今のところ、国内の各地で観察が可能と言われます。ダイサギは、一般に「白鷺」と総称される白いサギ類(コサギ、中サギ、大サギなど)の中では最も大型で、ご覧のようにアオサギと並んでも遜色ありません。これらの野鳥が、佐渡の朱鷺の悲劇を繰り返すことなく、飼育施設ではなく、身近な川や沼のほとりで野性のまま生きられる環境を、いつまでも残したいものです。この川は、天然アユや、天然ウナギも遡上すると言われますし、上流域には、源氏蛍の棲む湿地帯もあり、その更に上流は農地も多く、農薬汚染の不安にも絶えず脅かされています。安全な食料も確保しなければならないし、自然環境も守りたい。贅沢な望みかもしれませんが、その狭い道を、皆で探る努力をするしかないと思っています。


2008年9月20日 57号  (8)オオゴマダラ
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日本国内で、野生で観察できる蝶としては、最大級のオオゴマダラを紹介します。日本では、宮古島、石垣島など南西諸島に生息し、大きな羽をゆっくり動かして、優雅に飛翔します。こんな優雅な飛び方では、天敵の野鳥などに捕食されるのではないか?と心配になりますが、この蝶の幼虫は、有毒なアルカロイドを含む草を食べて育つので、自分の体内にも毒を蓄積し、彼らを食べた天敵は、吐き出して苦しむことになるのです。つまり、ゆっくり飛ぶことで天敵に「私を食べると、あんたも苦しむぜ」と警告しているわけですね。(同じく優雅に飛翔する「ジャコウアゲハ」も、やはり有毒です)また、オオゴマダラのサナギは、輝くような黄金色で覆われていることでも知られます。これもやはり、自分を食べようとする天敵に警告するためでしょう。毒蛇が概して派手な模様なのと意味は同じで、共通のメッセージは「私に近寄るな!」です。なお、画面は、2006年に宮古島の蝶園で撮影しました。


2008年8月20日 56号  (7)ジャカランダ
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前回は、「熱帯三大花木」の一つ・鳳凰木を載せましたので、今度はジャカランダを紹介します。この花木は南米原産ですが、南アフリカのプレトリア、オーストラリアのシドニー、北米ロスアンゼルス、マウイ島、ハワイ島、メキシコ、ケニアのナイロビなど、移植された世界の各地で鑑賞できます。温帯で湿度の高い日本の気候には適応が困難と言われますが、神奈川歯科大学構内や名古屋の某民家など、開花に成功した例も少数ながら知られています。画面はメキシコのチャプルテペック公園で2006年3月に撮影したものですが、南半球では10~11月、北半球では3~6月と、地域によって開花期にかなりの幅があるので要注意です。また、スペイン語圏では、JAをハと発音するのでハカランダになります。(花屋さんの店先で、小さな植木鉢のジャカランダを見ることがありますが、冬をどう過ごすか?確かめた方がよいと思います、念のため)


2008年7月20日 55号  (6)鳳凰木
画像の説明
ホウオウボクは、マダガスカル原産の花木で、画面のように、真っ赤な花をつけ、バンコク、ホーチミン、ホノルル、沖縄など、熱帯、亜熱帯の各地で、並木などとして植樹されています。画面は、サイパンのスーサイド・クリフ(平和記念公園)で、今年6月に撮影しました。昔、日本軍が南方に進出を図った頃、日本の兵隊は「南洋桜」と呼んで、故郷を偲んだと言われます。ちなみに、画面の平和記念公園には、十字架と観音像を組み合わせた記念碑が建ち、「国籍を問わず、亡くなられた数万人の人々の霊を慰めるため」と書かれています。余談ですが、このホウオウボクは、紫のジャカランダ、赤いアフリカン・チューリップと並んで「熱帯三大花木」の一つに数えられ、「火炎樹」とも呼ばれますが、アフリカン・チューリップを火炎木と呼ぶ人もいるので、ぼくは、混同を避ける意味で、「ホウオウボク」の名称を使っています。


2008年6月20日 54号  (5)ラバーナム
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ぼくは72才の年金生活者ですが、NPO法人「野の花ネットワーク」で少しボランティア活動をしています。2003年5月末、車椅子の方2人を含む6人のチームで、カナダのバンクーバーに行きました。主目的は、バンドゥーセン植物園のラバーナム(日本名:キングサリ)のアーチを観ることでした。北米は比較的「バリアフリー」が進んでいるので、トロリーバスも車椅子のまま乗降出来ます。ぼくはその一年前にも、ここを訪れて、開花の時期など、失敗のないようにチェックしておきました。旅の好きなぼくは、自分が車椅子生活になっても旅をしたいし、そのためには、元気なうちに、車椅子の人のお手伝いをして、必要なことを勉強しておこう、と思ったのです。人はパンのみにて生きるにあらず。ワクワクするような楽しみを分かち合ってこその人生と思いませんか?


2008年5月20日 53号  (4)交尾中のナミアゲハ
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小型の蝶の交尾は、ぼくも何度か見たことがありますが、ナミアゲハのような大型の蝶の交尾を見たのは、この時一度きりです。07年9月、四国をぐるりと回る旅の途中、小さな公園を横切ってツアーバスに乗ろうとした時に気付き、バス集合時刻もクソ食らえ!で、シャッターを何度も切りました。殆どの観光客は、神社、仏閣、景勝、ガイドが説明する遺跡以外は、さして関心を払わず、野鳥、蝶などは「知るもんか」です。が、ぼくは逆。不信心なので、神や仏には平気で背を向けますが、野生生物となると、「追っかけ」に変身します(苦笑)。なお、画面の上が雌で、下が雄です、念のため。


2008年4月20日 52号
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オルタの読者の中で、鶯の啼き声を知らない、という方は少ないと思いますが、逆に、鶯の姿を見たことがある、という方も、やはり少ないのではないでしょうか?ぼく自身も、10年ほど前、初めてメジロの写真を撮った時、「鶯を撮った」と言って、恥をかきました(笑)。日本では、抹茶色を「ウグイス色」と表現する習慣もあって、メジロを鶯と思い違いすることも起こる得るわけですよね。実際の鶯は抹茶より地味な色で、華やかな啼き声の割りに、木陰に姿を潜めていることが多いようです。今年4月、神奈川県の相模原公園を散策中、偶然、目の前の枝に鶯がとまり、例の美声で啼き続けてくれたので、本物の鶯の写真を撮ることが出来ました。犬も歩けば棒に当る、というヤツでしょうか。


2008年3月20日 51号
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コブシと言えば、白い6弁の花を連想される方が多いと思いますが、画面のシデコブシは淡いピンクの花弁が十数枚開きます。中国原産種の多いモクレンの仲間の中で、本種は日本原産。しかも、東海地方の一部にしか自生せず、われわれ一般人が目にするのは公園などに植えられている園芸種です。(野生種は宅地造成などのために絶滅が危惧されています)なお、シデの名は、神前に供える玉グシの「四手」に似ていることからつけられたと言われ、別名は「姫コブシ」。


2008年2月20日 50号
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桜と言えば、ソメイヨシノが最もポピュラーですが、ぼくの住む神奈川県秦野市に近い松田山の南斜面には、2月下旬から3月初めにかけて、「河津桜」が華やかに咲き、近隣から沢山の花見客が訪れます。この河津桜は、東伊豆の河津付近が発祥の地と言われ、花弁が大きく、濃いピンクの花をつけるのが特徴で、花をアップで撮るのに適しています。一方、ソメイヨシノは、つける花の数が圧倒的に多く、満開の時の迫力には、息を呑むものがありますが、どこに焦点を合わせたら良いか、意外に撮影アングルに頭を悩ませる面もあるのです