【コラム】あなたの近くの外国人(裏話)(82)
「私の国」の話
「ここはどこ?わたしはだれ?」こんな台詞をドラマなどで記憶を失った人が発しているシーンを若いころ、何回も見たことがある。今は「ここは誰?わたしはどこ?」というらしい。本当に「ここはどこ?わたしはだれ?」というのだろうか?どうやら記憶を失った場合「ここはどこ?」は確認のために本当に発する言葉なのだそうだ。言葉が通じない場所でもそうなのだろうか。
「あなたはだれ?」
「あなたは何じん?」
「あなたの国はどこ?」
「あなたどこから来たの?」
外国語の教科書は挨拶し、こういった質問に答える、または自己紹介をするところから始まるものが多い。では試しにわたし自身に問う。
「あなたはだれ?」「わたしはかずこです」「は?お前は名前か?私の名前は和子と申します、だろ」っとラサでチベット語の修辞法の教授に言われたことがあった。
「あなたは何じん?」「日本人です」母方の家系図によれば平安時代からは間違いなく日本人である。父方には家系図がない。古代出雲支配の地域で盆地出身だ。下顎が出ている特徴がある。両親とも縄文人・渡来した大陸や半島の難民である弥生人どちらも私の遺伝子に入っているだろう。一応は日本人判定でいいだろう。特別永住者の人たち(コリア半島・台湾籍日本在住)も海外に出ると「日本人」と答える人が多くパスポートを見られて面倒くさい質問をされているところを目撃したことがあった。
「あなたの国はどこ?」「あなたどこから来たの?」「日本」これが今回の主題である。
1. アメリカ国籍
トランプ大統領が言っている移民政策やハーバード大学留学生などが不思議でならない。トランプ大統領自身祖父がドイツからアメリカに出稼ぎに来て父親が移住したのだから。アメリカ人はネイティブ・アメリカン先住民である。侵略して奪った土地に集まった欧州からの移民、奴隷として連れてこられたアフリカ人、鉄道建設労働に来た中国人、日系人を含むアジア系、ラテン・アメリカ、私が中学生だった頃は「人種のるつぼ」、文化多元主義で「人種のサラダボウル」言い方が変わった。
最近知り合った在留2年弱のアメリカ国籍の男性。日本人女性と結婚し、赤ちゃんが生まる予定日が過ぎているので無事出産しているだろう。どこかの国でインターネットで知り合って結婚のために来日したのだろうが、事情はおいおい伺うことにしたい。その彼だが、まず苗字が変わっている。ルーツ不明なのだ。そうしたら彼の父親が国籍取得の際に自分で考えた苗字なんだそうだ。さらに訊いてみると、アメリカ生まれアメリカ育ちだが人生の長い期間、香港で過ごしたらしい。さらに、インド・ネパールでもそれぞれ3年ずつ暮らした経験もあるとのことだ。そしてまたアメリカに戻ってきょうだいと暮らしていたそうだ。彼のルーツはネパールだということがわかった。中国人などがアメリカ国籍目的で出産のために行くのではなさそうだ。両親または祖父母が出稼ぎ的にアメリカに行ってそのまま彼はアメリカで生まれたのだろう。最初に知り合ったときは「英語しかできない」と言っていたが、ある日、私が広東語で数を数えたら彼が香港在住年数が長いことが分かった。家庭内言語でネパール語もヒンディ語もできることが分かった。「英語だけ」と言ったのは潜在的にアメリカ国内の差別に起因しているような気がした。
2.アフリカ人・出身
国際交流・理解の出前授業。中央のアフリカ出身の音楽ができる男性とご一緒した。彼もまた日本人女性と結婚し、知り合った当時は子どもの教育は奥さんに従うけれどその先が心配だと言っていた。「あなたの国の説明をしてください」彼は…はっきり言って私でも説明できるような内容をパワーポイントを使って説明していた。ううん、実感が湧くような説明ができなかった。なんのことはない、彼は人生のほとんどをフランスで過ごしていて、結婚して日本での生活が長い。アフリカでの記憶はほとんどないし、内戦や独立でぐちゃぐちゃなところで国外脱出したのだからいい思い出はない、とはいわないが少ないだろうと思う。「あなたの国」を紹介してほしい日本の団体。知らないけれど本人もこれを機会に自国を知りたいのかもしれない。
3.チベット人・ネパール人・ブータン人
亡命チベット人は間違いなく「私は国がない」と帰化したどの国籍でも言い放つ。パスポートがネパール(※国籍がなくても買える)であっても、アメリカであっても、オーストラリアであっても、スイスであってもだ。インド在住の場合、国籍取得せず難民のパスポートを持っている。現在、多くの自称チベット人は外国生まれだ。1959 年にダライ・ラマ法王と同時期にインドに逃げた人たちは65歳以上となる。その後も様々な事情で国境を越えて帰らない人たちが大勢いる。アイデンティティをつないでいるのはチベット仏教である。これは少数派の別の宗教信者であってもそこにある。これは中国人民であると、しかしチベット人としか言わない人たちも共通する。
ネパール人。今、日本ではベトナム人・中国人に次いで多い。もともと自国で故郷(ふるさと)への執着が薄い。ネパール系インド人、ネパール系ブータン人など当たり前。
ブータン人。チベット領だったがラサ中央政府や大寺院への反発が強く半独立して、インド属国的な位置で独立を保っている。州になったシッキムとは異なる。ブータン人も様々で東の人たちは「チベット人と変わりないね」と言う。独立国の誇り、文化の誇りが強い人たちはSNSで王国の一員であることをアピールしている。農家さんも侮ってはいけない。GNHは政府の対外的な宣伝材料だったのではなく、庶民の「あるべき国の姿・理想」だということだ。電線を地下に埋めることに成功した。庶民が政治を動かした。ささやかな願いではなくブータン人の強さによるものだ。
ここからはネット上の友人の支援・新刊紹介で彼らの思いを伝えたい。ただ英語なので読むのに面倒くさいが。
4. 環境ドキュメンタリー制作したいブータン人写真家 ツェチュウ・D・ウォンさん
日本に短期留学経験がある。ブータンの環境問題で今まで写真でアプローチしてきたがドキュメンタリー制作でアプローチしたい。今まで国連に子どもの給食を訴えるドキュメンタリー制作の協力をした。私が最も関心がある高僧タントン・ギャルポの架けた歴史的遺産の橋も新年のお祝いも含めて自分の動画を作りたい。ほとんど機材が乏しくて海外からの要請による仕事をしていた。ほぼ19900の支援がほしい。詳細は本人の日本語で「私はブータンのドキュメンタリー映画制作者であり、30年間のドキュメンタリー映画制作の経験があります。 この会社、または日本の優れた企業に、資金や機材の提供による支援をお願いしたいと考えています。もし私の作品にご興味があれば、試写用のフィルムのURLを送信します。ご高覧の上、ご検討よろしくお願いします」彼はこの後、具体的な必要経費を明示しました。
5.チベット人:対中国への新刊リリース
もう、申し訳ないんですが、政治に関与したくない。彼自身、オーストラリア帰化だし、私、中国どころかアメリカからの「手紙」をポストから盗まれた経験がある。そこから始まって「怖い」がたくさんある。中国人の教え子たちが私と関係があることで大使館から縁を切るように求められたことも何回もある。私はチベットはもとより、ウイグル、モンゴル、香港、台湾と関係がある。また日本の関係者も中国に対して何かあるようで私を利用したいと思っているらしい。だが、今回は長年の友人がリリースした英文新刊を紹介する。
https://x.gd/AKZyI
(2025.6.20)
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